エピローグ sacrifice
「こっここは」
あの時の戦場で彼女、ベルセリカはレイの光に包まれて死を覚悟していた。であるのに吹き飛んだはずの身体はきちんとここにある。ただ、肉体がかすれている感覚があるのでいきなり『敵の方が』消えた事は、助かったと言えるだろう。
「何が起こったんだ?」
先ほどの戦闘も含めて彼女は疑問に思っていた。楽しくはあったのだが急に強くなった敵にそもそも最初っからいきなりどこかに拉致されたのだ。どうしてこんな事に、なったのか生き残った今、急にふつふつと疑問が湧きあがる。あの空間に関してどこか懐かしく優しい感じだったので気にしなかったのだが。
その中で彼女は思う、そう言えばアルムス(忍者の名前)は気分が悪い場所とか言っていたな。それが無ければあそこまで追い詰められるようなことは無かっただろう。
「まぁ楽しくは……誰だ!」
唐突に出て来た強大な気配にその方向に顔を向ける。こんなにも強い気配強いのに気付かなかった故に、その気配が妙に懐かしい錯覚があったのでどうしても反応が遅れた。
「フム、確かに時代は流れているようだ皆、成長しているね」
「そうなんですか? せんせー」
「ふぉふぉふぉ、あれから百年流れておりますからなぁー」
人影は三人、見覚え有るのは二人だが同時に三人である。
「貴方は……何故ここに? 何故、居られるのですか……!? そうかこの世界は!!」
「ん、いる理由は死ねないからって言うのが一番近いかな まぁこの世界を創った理由は互いに平等に戦ってほしかったからかな?」
少年はそうベルセリカの言葉に答える。そう言って差し出された血の付いた皇国軍の紋章に、あの結界が張られた理由は分かった。しかし、ベルセリカには他にもいっぱい言いたい事や聞きたい事があったのだが、言葉が出てこない。その中でベルセリカをじーっと見ていた少年がポツリと声をかける。それはまさに彼女にとって死刑宣告だった。
「所で、君もう長くない事わかってるだろう?」
「やはりそうなのですか」
命の消える感覚がある。そうか、だから魂が掠れている感覚があるのかと彼女は思う。心当たりなら先ほどの少年と戦った時からだ。
「では、あの時の約束を果たしていただけませんか?」
「君を拾った時の約束か……」
それは殺し合いの約束、戦いの果てに尽きたいという悪鬼羅刹の誓い。
「ええ、最後は貴方と戦って終わりたいという約束です」
「……思えば拾った時にその様な名前を付けてしまったのが悪かったのかもしれないね」
少年が死にかけた少女を拾った時、生きたいとばかりに目をギラつかせて襲い掛かってきた。その有様を見て面白いと思い拾ってきた。その際に名前が無いので咄嗟に付けたのが彼女の名前『ベルセルク・セリカ』意味はセリカは天の ベルセルクは勇敢なるものという意味がある。 少年は自分に襲い掛かってくる彼女の勇ましさに『気高き勇士』という意味を込めてベルセリカと名付けた
「私にとっては誇りです。この名前のまま貴方と再会できてよかった」
「そうか。では、尋常に!」
「ええ、殺し合いましょう」
彼女はいや、少女には今だけ言いたいことがあった。昔っから言えなかった大切な事。それは……あえて胸に秘める。今はただこの幸運に浸りたいから、また会えたキセキを称えたいから。
周囲はこの結果になると分かっていたのか黙って見守る。結果はいずれ分かるその時は、また新たな戦いの幕が上がっている事だろうと知っているからだ。




