茶番で良かったと思う事
回復魔法に関して当然の疑問をテレザが口にした。それに対する答えは説明し辛い。とりあえず当たり障りのない事教えておくか……
「何か頭に使い方が湧いてきてやり方は覚えた。多分これからも使える。魔力があればな……」
「まぁ、今もそうかは知れませんけど魔力レベル5ですものね。とりあえずありがとうございます。玖珂さんやエニグマさんが居ませんけど勝利したんですよね?」
その言葉は安易にこの状況を認めたくないという言葉が含まれていた。そうだ玖珂は死んだ、エニグマは行方不明こんな状態が勝利なんて言えるのか? 渡した『アレ』の意味も無く死にやがって……クソ。
「レイさん……手」
その言葉にようやく自分の手が痛い事に気付く。握りこんでいたのか手が痛い。
「俺がもっと早くあの力を手に入れてさえいれば…」
「レイさん……落ち着いてください」
心に詰まっていたことが湧きあがる。そうなるともう止められない。周囲さえ見えなくなる。
「あんなにも早く終わったのに、なんで、なんで仲間を失ってから手に入るんだよ!! こんなの漫画だけで充分だろ。 ふざけんなよ!!」
「僕は自分に出来る事はしたと思うよ。ベルセリカが強かった」
フォローさえも耳に上手く入らない。失った奴がデカすぎるだろ。どんな状態だってよ。
「それでも玖珂やエニグマが生き残ってなければ意味がないだろう」
「それでも本当に漫画みたいだった。かっこよかったよ。私の死で覚醒とか女冥利に尽きる」
「レイさん、そんなことありま……アレ?」
さっきからテレザ以外の言葉が聞こえている気がするが何かあったのだろうか。そう思い俯いていた顔を上げるとそこには変顔をしていた玖珂と笑みを堪え切れずにこちらを見ていたエニグマ。それをウロウロ見ていたテレザがいた。




