戦場前の安らぎ
「ん、おはようタクシー。この気配って……」
「おはよう。ああ、なんで二つ、後ろと前からするのかは分からないけどな。後、降ろすぞ誰がタクシーだ」
この空間について考察しながら延々と言うほどでもないくらいの距離をある程度の距離を歩くと嫌な気配が後ろと前からし始めた。なんだこの気配、同一の気配が後ろと前からし始めたのも驚きではあるが二つというか一つの気配にだけ心当たりがある。
「多分、この気配が後ろと前に有るのは前後で進んでいる距離が一緒だからだと思います」
「つまりこの道に入った時点で仲間と一緒に動いてるだけで前後のどちらかである限り目的地に進んでるって訳か、嫌な空間だねここ」
「ああ、そして感じた覚えのある気配間違いなく奴だよな……」
顔を見合わせ、円陣を組むように話し合う俺達、この空間に詰められた理由が少々だけなら分かったような気がする。
まるで、ネズミ取りみたいな空間だな。一度はいったら出られない所とか本当に、後ろと前から主張する気配に煩わしいものを皆で感じながらある程度の試行錯誤をしてみる。特にエニグマは相手にこちらがいるのも気づかれても構わないとでも言うように光弾を乱射しているが躱された訳でもないのに当たった様にも感じない。
「ある程度予測通り、直接どちらかに行かなきゃ攻撃は届かない。か……」
「こちらにばかり有利な世界という訳ではないんですね」
本当にこの世界なんだろうな。あちらはこちらを知覚できず、こちらはあちらを攻撃できない。まるでこちらとあちらを戦わせるために作られたようだ。あちらから攻撃とかして来ない辺りはとりあえず、創った奴とあそこで待っている二人は完全な協力関係ではない。
「忍者とか絶対、正々堂々とかできない奴だからこんな平等空間と作る奴と相性とか絶対悪い」
「暴剣は自由に行動できないの嫌ってるからあいつが張れるようになったというのもない。セルベンがわざわざ張ったという想像もできない。他の奴が張ったら暴剣に斬り殺されている可能性がある」
「それ聞いてますと、あの二人を駆除する為に私達とあの二人をこの空間に閉じ込めたように感じますね」
「「「「はははははははっはははっははっは」」」」
もしそうならふざけんなと言いたくなる想像をテレザが言った辺りで笑いが響く。三人ほどやけくそだが一人だけ本当に笑っているモノもいる。
「行くか……」
「はい」
「ああ」
「えいえいおー」
とりあえず限界まで近づいて行ってそこら辺で装備整えるか。後、五十歩くらいかな。
一歩、二歩と進み四十歩位で止まる。見えない障壁、と後ろと前から発せられる殺気にはそこそこ精神の消耗を感じるのは流石に誤算だったがまぁ、別にそこは良いだろう。ここで装備を整える。皆で軽くて丈夫、そしてここでは気温が寒くない場所なので耐寒装備ではなく、各々の持っている装備の中で最もアイツラにあった装備ができるこれは最大の利点だろう。これは後、十歩くらいと言うのも含めてなんというかその……
「ゲームのボス戦みたいだね。ぶっちゃけ」
「ああ、倒さなくちゃいけない奴の目と鼻の先で装備を整えられるところが正にな」
「分からなくもないけど気をつけて集中を切らさない様に」
くだらないたわ言の言い合いは緊張がほぐれる。玖珂の茶々がいつもより心強く感じるのだが、それを察知してかドヤ顔晒してきたので玖珂に感じていた好感はあんまり感じなくなり、好感のプラマイはトントンである。
「あの? ユミさんは戦えるんですか?」
装備関連での準備を終えて一息ついた後に行くかと話し合った小休止。その間に、テレザが玖珂質問を投げかけた。
今思えば当然の疑問だが今更過ぎる気もする。しかし、次の戦いは今まで以上の戦いになりそうな気もするのでそこんとこどうなんだろうか聞いておきたいのも分かる。すると意外な言葉が返ってきた。
小休止は十五分でそれがすんだらいよいよ決戦だというのにブルーシートに獣皮の敷物引いて寝転んでいた玖珂はテレザの質問に意外な答えを返す。
「ああ、戦えるよ多分、テレザや平時のレイ以上には」
等と供述してきやがった。俺やテレザ以上と言うのは意外だ。もしも、本当なら色々と突っ込みどころがあるが。
「じゃあなんで前回は戦わなかったんだよ?」
エニグマが当然な事につっこむそうだ戦えるなら当然あの時戦うべきだった。何故、戦わなかったのか? それに対してエニグマは玖珂の方を見ながら回答を待つ。
俯せに寝転んでいる玖珂の表情は俺達には分からない。だが、しかし玖珂は二秒ほど質問されてから沈黙を貫きその後、話し始めた。
「守られるお姫様気分を味わ痛いぃいい本当の事、言うから海老ぞりやめてー」
ふざけ始めた上に、もしも本当だったら余り許せそうにもない事を言い出したので柔軟の意味も兼ねて身体を反らしてやった。
これは一応マッサージの一種であり足に多大な負荷を与える運動する前に行うものだ。客観的にはプロレス技に見えるそれは見た目通り一時的な痛みは結構強い技であり、その後に血行が良くなり足及び腰が動かしやすくなる技だ。流石に足にダメージが残る技は今できないしな。
「一応聞く本当の理由は?」
「という事は今回は戦闘に参加できるという事ですか?」
誰も止めようせずに話の続きを促す辺りに玖珂の人望が伺えるがそれらの言葉に対して口をもごもごさせて返答しようとしていたのでマッサージを止める。
「痛かったけど途中から気持ち良かった……単純な話し武器を持ってなかった私、こう見えてクレー射撃やライフル・ピストル射撃のメダリストと互角の腕前……素行不良で大会には出られなかったけど」
確かにあの時は散弾銃や最低限、銃の形がしている物など持ち合わせていなかった。得意な獲物があるならともかくない状態なら少し変わった女の子程度の実力なのだろう。
「なるほど。で、肝心の武器は?」
「昨日結構、金が手に入ったので大枚はたいて魔剣と呼ばれていたリボルバーを賞金の大体のお金を払って手に入れてきました」
「凄いですよ! この銃って武器、魔力が桁違いにあります!」
「ふ、ふーん凄い。コレ、世界では銃は最近でき始めた武器な上それを魔剣を造る際の技法で出来た試作生産型だからってやけに高かった。その分威力十分、お値段も十分」
そう言って玖珂は天に二丁のリボルバー拳銃を掲げた。銀の十字架が象られた銃と二つの三日月が象られた銃だどこかノズルが普通の銃と違う気がするが余りわからない。
ただ、偉そうにしている玖珂と銃の魔力に驚きながらそれをみているテレザが印象的である。
しかしそれでもテレザや俺以上と言うのも気になる。銃弾なんかよりも剣の方が強いとか馬鹿な事言うつもりもないし、武器が凄いのも分かるが何故そこまで言い切れるのだろうか。
まぁいいや、思考するのを止めて玖珂の方に向く。玖珂もそれが分かったのか天に掲げるのを止めてガンベルトに銃を二つ収める。それも買ってたんだな。
「という事は期待してもいいわけだ?」
「ふっ任せて! デストラ・ドゥーオクレシェンテとシニストラ・シルバークロイツの前に敵は無い!」
「なんか若干心配だけどユミも戦力として数えられるようになったのは嬉しい誤算だね?」
エニグマが皆を見回してそう言う。確かにその通りだ手数が増えるのはそれだけで助かる。そして、エニグマがわざわざ皆を見回したという事は、
「時間か?」
「ああ、それじゃあ雑談も終わったし行こうか?」
そう言って皆立ち上がり、休止の為に出していた物を片付ける。準備が完全に整った。主に玖珂の物だが……
「みんな必ず勝って帰ってこようぜ!」
見回してみれども皆、顔に覚悟が満ちてる。わざわざ確認する必要もなかったかもしれない。
「うん」 「おー」 「当然だよ」
だが、俺がそう言うと皆も頷き思い思いの言葉を重ねる。さてそれでは行こう!
世界の境界を超えるとそこには大きく円状に開けた広場があったそれはどこか闘技場のようにも見えるが広さは多分、半径千メートル位だろうかそこそこ広いように思う。戦うなら狭い気もするが。
「へー貴方達がゼリウス倒したガキ共と。おやぁ、そこにいらっしゃるのは老頭児のエニグマさんじゃあ、ありませんか。老頭児なのに見た目通りの奴とつるみ始めたのかな?」
「……(下品な女だ)」
「その二刀流、猿真似は彼だけじゃあなかったのか」
一歩二歩と歩みと覚悟を重ねて敵のいる舞台にこの空間の中心部だと思われる場所に進んでいくするとそこにはわざわざ二人して中央に突っ立ていた忍者と暴剣と呼ばれているであろう人がいた。予想以上に口ぎたねーなオイ
バカにされた故かそれとも純粋にそのスタイルに疑問でも感じたのかエニグマがかつてゼリウスさんに正体をばらされた時くらいのテンションで暴剣さんを見ている。本名は忘れた。
戦闘スタイルは女性の方は逆手と順手ではあるが変則の片手剣二刀流で忍者の方は多分だが前とスタイルは一緒であるはずだ。しかし、気になるのは左腕の剣どこかアルヴァと似た雰囲気を感じる。
「皆、特に左腕の剣には気をつけてくれ」
俺の言葉に頷く三人誰もが違和感を覚えるそれには注意を促す。それ以外にも言っておきたい言葉があったがそれをいう事は視界に接近する銀色の閃が許さなかった。
「もういいでしょう? はじめようぜ!」
戦いの幕が開ける




