皇都にTakeoff 朝日を浴びて
色々あった洗面所を超えて、今朝食を取る為の部屋に辿り着いた。
「今回は会場とかじゃあないんだね」
「いちいち会場でご飯食べると後片付けが手間だからな。私がするわけでもないけど」
他愛のない話しをしながら部屋を確認する。朝食を食べる部屋は昨日の晩飯を食べた会場とは別の所のようだ。外から見た感じはあそこよりも小さいように感じる。
「おはよう皆の者、待たせたな!」
「おはようございます。遅れて申し訳ない」
「おっひゃー、昨晩はエロエロだった?」
「おはようアルカ、それにレイと言ったか、そして貴様ッいい加減にしろ!」
「応、おはよう! そして落ち着けやゼム。このレディのお口は、基本ジョークしか飛び出てこないビックリ箱なのは、昨日会った時から悟らされたことだろうに」
晩飯ぶりに会ったのに、アクセル全開の玖珂と、昨日と同じくその不真面目な態度に不快感を表す純魔族のゼムリウスさん。そして、もう玖珂の性質を悟りなんとも言えない表情になっているのがヴァンパイアのアルカディアスさんである。
昨日の夜会時晩飯に飲み物を貰いながら聞いたが第三・帝国の前身となった新・魔王軍を設立した時に仲間になった最後の決め手は、自分と同じく前三文字であだ名をつけるとアルカになるから親近感が湧き、アルカンナさんの仲間に入ったとか。
うん、最後の決め手とは言え、その様な適当でいいのかと思ったのはあの時は思ったものだ。
ただ、ディアス(アルカディアスさんのあだ名)さんはこちらを向いてやけにぎょっとした目を向けている。何かあったのだろうか?
「やー……レイ? お前さん朝、快適に起きられたんだ? 吐いたりしなかったのか、頭痛は? アルカ看病とかした?」
「うん? いや、気持ちよさそうに寝てたし、起きた時も別に何もなかったぞ?」
「挨拶遅れてしまい申し訳ありません、皇帝。そして、ディ・ア・スさん!? また、何か善からぬ事でもしたんですか。奥様にいいつけますよ!」
「てめっヤメロよ。お前は俺のおふくろか! 後、最近結婚した新婚の仲壊そうとすんじゃねー」
ディアスさんは、俺の何かを心配してくれたようだが心当たりがない。思わず首をかしげながらこちらをじろじろ見てくるディアスさんに後ろから近づいてくる人がいた。
ブロンドの髪を持つ貴公子然とした青年で種族は人間のシグムント八世と言う人である愛称はシグだったか?
ここより東南の大国のフリージア公国の公主であり、今は近年の情勢が微妙に安定していない為、この皇国に会議等を行う為、集結している状況にあるとの事。その為もしかしたら気が立っているのかもしれない。
ただ、会場内の雰囲気が喧噪の元がシグさんとディアスさんだと分かるとまたかと言う感じで気にしなくなってるのでいつも通りの可能性の方が高い。
それでも争いを止めるものは出てくるわけで、
「クダラナイ争イハ、止メヨ」
重い甲冑の音を響かせて、二人を制止する人物。別にケンカが始まりそうになかったのに止めた辺り、個人的な事情なのだろうかフルフェイスでは表情すら読めない。
「……」
「何か?」
「イヤ……」
その姿以外何もわからない謎に包まれている皇帝の懐刀、名前はアッシュそれ以外、本当に分からないらしい。その人が何かこちらを見ていたような?
やはり、皇帝以外の大魔王の血筋と言うのは気になるのだろうか?
昨日の晩飯時にも鎧を外してなかった。その姿はかなりシュールだったのは言うまでもないローストチキンとか良く食えたよな。
「いや、アッシュ、昨日の事でちょっとな」
「確かに、レイ殿も不都合はなさそうですし、ここで荒立てる事でもありませんか」
頭に手を当てて説明するディアスさんと少々感情的になりすぎたと反省するシグさん。
今までの貴公子然としていた態度から判別し辛かったがどうやらシグさんはけっこう直情型の委員長気質っぽいなーと先ほどの会話から読み取れた。苦労とか結構してそうである。
そのような会話を見守っていると後方から靴音が二つ聞こえる。何処か聞いた事のある足音だ。これは確か。
「なんか騒がしいと思ったらレイ。君達かかおはよう」
「おはようございます。皆さま、とりあえず無事そうですね。レイさん」
後ろから声が聞こえる。そう言って来たのはエニグマとテレザだ。晩飯ぶりにあったが玖珂も含めて服装が変わっている。
「よ、おはよう」
「皆の者、各々語りたいこともあろう。しかし、そろそろ円卓の席につけ朝食をとるぞ」
その言葉で、色々あったが皆、席につく。
入口の前でたむろしてたのは確かにこの大陸の最高位の住人とは思えない光景だったし、アルカンナさんも諌めるよな。
すでに席についていた人や、席についていたのに立ち上がっておしゃべりしていた人、先ほど来たばかりの人の人が改めて円卓席に着き直し、朝食会が始まった。
ちなみに俺の隣は玖珂とテレザが着いている。更に向こうの玖珂の隣がエニグマである。流石に玖珂を自由にすると何しでかすか少し怖いからだ。
綺麗な音楽が奏でられる中で運ばれる料理に舌鼓を打つ。
食事が終わり次第何をするかね。
「ありがとうございました」
食事を終え、メイドの人達が食器などを片付ける。俺はメイドさんにぺこりと頭を下げると相手の方も頭を下げ返してきた。
「さて、食事も終わったし、おーいレイ! 街に繰り出そうぜ! 案内してやるよ」
「あっ私も私もー!」
ディアスさんがいきなりこっちに手を振って声をかけてくる。嬉々としているのも相まってまるで野球にでも誘われた小学生気分だ。面白そうなのか玖珂は真っ先に自分も連れてけと、ブンブン手を左右に振って自分の存在を告げている。
「……」
テレザも微妙に行きたそうにしている気がするのは気のせいか?
「テレザ、行くか」
「はい! 楽しみですね」
まぁ、無視するわけにもいくまい。
もじもじしながら手をぐっぱーして、大分ゆっくり近づいてきたテレザに声をかける。すると元気な声で返事を返してきた。そのテンションの変わり方はよほど行きたかったんだなーという事が傍目にもわかる。
「おっ嬢ちゃんも行くのかじゃあどこ行くかねー」
「ありがとうございます。ディアスさん」
「おいおい、昨日さ……じゃなくて飲み物やった時に言ったろ。俺も敬語はいらねーよ」
結局、俺とテレザと玖珂にディアスで行く事になった。ディアスに言われた通り敬語は止めておく。
まぁ、その時の会話の際に何か言葉を詰まらせていたようだが気にしないでおくべきか
「ああ、ディアス。解った」
「おっし。それじゃあまずは」
ワイワイガヤガヤと目的地について共に考える。やれこういう所行きたいだの、観光地としてベストなのは何処だーだの食い物は何処がおいしいのかーだの。
まるで修学旅行に行く前日のようなテンションになっている。だが、しかし、忘れてはならないディアスはこの国ではどのような立場の人間であるのか。
「君のまずは、政務ですよ? ディアス」
当然、政務が待っている。お疲れ様ですシグさん。そもそも俺たちが持って来た北の地の反乱に対する下準備などもあるのだ。ディアスに遊んでいる予定などない。
「知るか、行くぞ、レイ! テレザ! 玖珂!」
ガシっと両脇に抱えられる俺とテレザにこの場所に詳しくもないのに先頭に歩き出す玖珂が速攻とでも言わんがばかりに扉を開けて、窓を開けて空を飛ぶ。
「えっ? え?」
「良いのかよ?」
ディアスさんは吸血鬼だから飛べるのは分かるし腕力もあるのだろう。しかし、玖珂、お前……空飛べたんだ。
「みんな早くディアス隊長に続くんだ! 鬼が来る!」
鬼はディアスさんだよ。そう言いたいが、怖くて後ろが見れない。分かるのは俺に対してではないものの刺さらんばかりの怒気を感じる。どうなるんだろうか……
空飛べるけど玖珂は結構遅い 歩く速度くらい




