幕間2 trial operation
「うん、この反応は? そうか、なるほどな」
ほの暗い研究室で本来の住人ではない少年の声が響く。その声は幼いながらも理知的でどこか子供であって子供ではない違和感を聞く人に与えるだろう声だった。
ただ、異常なのはその少年のいる場所と姿だった。培養液の詰まった黄色試験管のような物に少年は詰められている。広さは人間二人が入れるかどうかと言った所でとても窮屈そうだ。
次に肉体。ギリギリ少年である事が把握できる程度状態であり、人間であると推測できるのは右目があって口があって髪の毛っぽいものがあって。そして、全体のシルエットが人型を形成しているすぎないからだ。他の部分は何か培養液の色と同じ色で発光したスライムのような流動体になっている。
その姿は不気味としか言いようがなく、本人もどうやら行動し辛いようで身体を試しに動かしては気味の悪そうな目つきで自分の身体を眺めている。
「おい、良いから誰か来い。いるのは分かっている」
彼は、人型を形成する前から何となく把握していた自分の身体をこの様な姿にした男女を呼び寄せる。
その声に反応したのか男性の方の老人がとてつもないスピードで駆けてくる。顔がすっごい興奮しているのと、重要そうな機器があるところで走っているので相乗され何処か危ういと少年は考えていた。
顔の左側がグニャグニャしてる為、解り辛いが若干怯んでいるのが分かる。正直姿さえマトモならば数少ない少年の少年らしい姿だったのだろう、今の姿では不気味なだけだった。
「なんと! なんとぉー!!」
「落ち着け……うん? どこかで見たような?」
少年は自分の姿をへんてこにしてくれた人間に文句の一つでもつけてやろうとして呼びつけたのだが、相手があまりにも興奮しているせいで落ち着かせるのに力を使う羽目になっている。目を輝かせて呼吸を荒くしているその姿と、さっきから「なんとー」しか言っていないので若干不気味に思っている。
ただ、落ち着かせようと声をかけていく中で、彼はその老人がどこかで見た事があるような感じがしている誰だろうか?
「ふみゃ、ふみゃ、どうしたんですか~先生~」
今度は女性の方が寝間着姿に枕を抱えて老人とは違う方向から出て来た。とりあえず老人の方は研究室か何かで、女性の方は仮眠室か生活区域なのだろと彼は把握した。
「見ろ! 見ろ! 研究は成就しそーじゃぁああ!」
「うるさいですよぉ。どうしたんで、えっ! ぇええええええ!」
男女二人の興奮が続く。抱き着いたりハイタッチしたりとどうしてもこちらの声を聞いてくれない。少年は何とか動かせる左側の手で頭を抱えながら一人彼らが落ち着くまで思考にふけている。
自分がどうしてこのような身体なのかとか、自分に似た魔力が二つある事や、それに近づく大きな魔力を持つ者と不気味な魔力を放っている物質に対して聞けぬまま、今日この日を終えたという。




