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色んな話が終わりました

  「なるほど、完全な源世覚醒は済んでいない所を見ると失敗したのか」


 玖珂を見ながらアルカンナさんが言う。玖珂はプイっと顔をよそに向けている。気にしない方向で行こう。完全な源世覚醒者って見ただけでわかるものなのか?


  「その通り、だから気づけなかったわけでもあるけどね。不完全な状態で強行してしまったわけだからこうなるのも必定かな?」


  「そんな事、言ってたねー失敗だの、南にいる奴らに見つかったら不味いから始末するだのその為にワタシ南に逃げてきたようなものだし?」


 玖珂は呼吸を整えた後。エニグマの言葉で思い出したようかの国で何があったのかそう話だす。どうやら玖珂は、やはり不完全な状態で行われていたから暗殺されかけていたようだ。


  「聞いてませんよ?」


  「いや、聞かれてないし」


 まぁ、それに聞かれてたとしても絶対に話しそうにないっぽいしな……だから


  「一応、推測できたから聞かなかった。はぐらかしそうだし」


  「わぉ、以心伝心?」


  「それ、はぐらかすつもりって事ですか……、良いですよーどうせ仲間はずれですよー」


  「よしよし」


 俺の言葉にこちらを向き、ふざけたように返す玖珂。エニグマも俺も気づいていたので、やはりテレザだけ仲間外れの状況なのでサメザメと言った感じで沈んでいる。皇帝? 共感したような顔でテレザを見ないであげて。


 まぁこの話に関してはテレザは情報量少ないし、仕方ないよ。エニグマがテレザの背中をポンポンと叩き慰めている。


  「しかし、だとしたらあの国には制裁を与える必要がありますね。陛下」


  「ああ、そうだなやらかした事がやらかした事だけに、国の解体も視野に入れる必要がある」


 金髪の人間である幹部の人がかの国に対して処置を行う必要があると言い、アルカンナさんがその処罰について考えていた。


 国の解体とか、凄いこと言っているがそういえば完全に覚醒したチキュウ人は神に匹敵する力を持っていると聞く。不法に核爆弾所持して使おうとしていた。とかのレベルじゃないんだよな……


  「そう、それを待って欲しいんだ」


  「理由を聞いていいか」


 アルカンナさんの処罰その延期についてエニグマが提案をした。そうだな、今それをされると俺たちが困る。そして当然、理由が聞かれた。


  「うん実は……」


  「なるほど、わかった。そういう事なら仕方ない」


 俺たちは今までの経緯の中で話してもよさそうな所を語った。俺はその話の中でこの世界に修行に出されている事になり、腰の剣はその証として持ち帰る事、最終試験で自分の世界に自力で帰る必要があり、その情報を集める為に、少しだけ処罰を待って欲しい事を告げる。


 少し、自分の境遇がカッコよくなってるがあながち間違いでもないので許して欲しい。俺の説明の番でこれを言った時、テレザがアレって顔してたのは少々ヤバかったけど大丈夫だろうと信じたい。


  「いつもながらの事だが、ナナセ様はでたらめな事ばかりする」


  「リクドウ親衛隊……聞いた事があります。古い時代の強兵達ですよね」


  「アイツらが暴れまわっとるのか、世も末かの……」


  「旧魔王軍の中で最も穏健派だったと聞いていたのだが……」


  「どの様な組織でも頭を失えば自然と統制がとれなくなるものと言う奴だよ」


 やはりと言うか、最高幹部を含めて色々な意見が飛びかってしまった。ほぼ、俺の父親関連の話に染まているのが居づらい。その中で、アルカンナさんは静かに考え事をしている。


 さて、皇帝の決断はどうなるのだろう。




 結果として二か月後にプラティナセルマに対して通告する事になった。その時、玖珂も一緒にいなければいけない。


 だが、置いてこうとすると、ぶんぶん首を振って嫌がった。凄いな、風切り音が聞こえてくる。


 仕方ないので、俺たちが玖珂を預かる事となった。こちらの仲間も、あちらの人達も仕方ないなと言った感じで諦めていた。一人預からなくて安心しているようにみえるひとがいるが。


  「すみません。俺たちの為に」


 あらゆる事で迷惑をかけている。こちらのせいばかりではないし、こちらが情報を持って来た為、早めに終わるものもあるだろう。


 しかし、それでもこちらの都合を優先してもらっている。申し訳なさで、俺の顔も見れたものではなくなってるだろうな……


  「レイさん……」


  「レイ、こういう時はな身内を頼れ。私はお前の姉のようなものなんだぞ」


  「あっありがとうございますアルカンナさん」


  そのように沈んでいた俺に、テレザは声をかけてくれた。多分、どう接すればいいのかわからなかったのだろう。声も若干小さかった。だが、俺の申し訳なさをかき消すように、アルカンナさんは言葉を投げかけてくれた。


 皇帝としてではなく、ただ身内として、身内の不幸をどうにかしてやりたいと、だから国家間の問題を自分の都合で延期させてるとか気にする必要はないんだよ。と、優しく微笑みかけてくれた。春の太陽の様に優しい慈光を思わせるそれは、俺の心を癒してくれた。

  

  「話は纏まったみたいですね」


  「うん、あっついでにもう一ついいかい?」


 そうした俺たちのやり取りを見守った後に、他の玉座に連なる七人の幹部は今後の予定について厳かに話し合おうとしていた。そこに、エニグマが手を挙げて割って入っていった。今までの話し方と違いやけに軽いのも気になるが、何かあるのだろうか。ほとんど話すべき事は話したと思うが?


  「それに関して言わなくていい。用意してある客間をつかえ、案内役を寄こそう」


  玉座上でアルカンナさんはため息をついて、何かを察したような、呆れたような顔でエニグマを見ていた。そしてそう言ってきた。ああ、だからホテル泊まらなくて良いって言ってたのね……


  「エニグマさん、図々しいと思いますけど?」


  「えーさっきレイと私は家族だって言ってたし」


  「私はもしもプラティナセルマに一緒に行く事になってたらここに泊まらされてたから大丈夫」


 流石に、居心地などが悪いのか、苦笑いを浮かべながらエニグマに苦言を述べるテレザ。それに対して別にいいジャンとでも言うように手を振りながら笑って答えるエニグマ。それに便乗して言葉を発する玖珂、ポーカーフェイスと言うべきかいつも本当に表情が変わらねーなこいつ。


  「申し訳ありません。何から何までありがとうございます」


  「陛下の身内ですし、こちらの都合で呼んでしまった方もいるようですし気にしなくていいですよ」


 テレザが前でエニグマと玖珂の対応に四苦八苦している時に、俺は最低限の礼儀として謝意を述べる。この言葉にもう先ほどまでの必要以上の気負いはない。




 あるのは、身内が図々しい事を言ってしまった気まずさだけである。



 それに対して幹部の金髪さんは気にしなくていいと涼やかに微笑んで対応してくれた。うん、なんと素晴らしい仁徳のある人だろうか。その言葉にますます感謝の念を深めているととっさにすぐ前の人間から言葉が発せられる。


  「そうそう、ドーンと構えていればいい」


  「あはは、ユミさんは構えすぎです」


 そう、玖珂が無表情に近いドヤ顔と言う訳の解り辛い顔でそう宣言した。その言葉で謁見の間にはとても嫌な風が流れる。みんなももう慣れたのか呆れてこそいるが気にしなくなってきた。 テレザの応答だけが無味に響、俺たちはもう無視して、案内役を待ったのだった。



 話は終わり未だ昼だがとりあえず今までの疲れを癒す為、案内役に連れられて今晩泊まる客間に案内される。ついでに案内役さんを先頭に、エニグマ、テレザ、俺、玖珂の順で城の廊下を歩いている。


  「へー凄い綺麗でなんというか、良い静けさに包まれた城だね」


 ここに来る時はやはり、緊張をしていて周りを観察する余裕がなかった。今、改めて見ると壁などの基本的に城に使われている物質を上手く調和させている感じがする。


 まずは、黒いというか玄い? 床や壁がシックな雰囲気である。通路だけかもしれないけど装飾品も少ないがまったくないという訳でもなく、客を飽きさせない様にもできている、落ち着いている感じのというのだろうか。本当に改めて歩いてみると良い所だな。と言うのがこの城の感想である。


  「まぁ、余裕がなかったけど改めて見てみると本当に良い場所だね」


  「ありがとうございます」


 エニグマの感想に案内役の人が暖かな微笑みを浮かべ、簡素だけど丁寧に感情を込めてお礼を言う。単純な言葉にこれほど感情を込められるとはなかなかに質の高い案内役が務めているんだな。


 ゆっくりとだけど疲れも飽きもしない速度で廊下を歩いている。そのお蔭か俺たちは来る時にはできなかった城を『見て』ではない『鑑賞』して歩くという行動が出来ている。


  「これは気を遣わせてしまったんですかね」


  「多分ね。感謝しておこうじゃないか」


 テレザがこのような案内役を付けて貰った事に改めて、この城の住人に、そして皇帝であるアルカンナさんに迷惑をかけてしまっている事に申し訳なさそうに顔を陰らせている。


 だが、気にするのもそれはそれで相手の心遣いを無にしてしまっているような気がする。それは、皇帝の謁見の間で経験した事だ。だから、俺は言った感謝しておこう。気にしないのではなく、気を負わずに、ありがたく受け取る。その心意気が大切だと思うから。


  「ですね」


  「まーね」


 俺の言葉の真意を察してくれたのか、気を持ち直し前を向いて歩いているテレザ。ある程度進む足に力が宿っている。これなら大丈夫そうだ。玖珂の底ぬけた相槌もきっとテレザを和ませる為にやったのだろうなんだかんだで優しい奴だし。


  「どうぞ、こちらでございます」


 案内役の人間っぽいおねーさんは、俺たち四人を奥のほうの部屋へと案内した。何故、奥の部屋へと案内されたのかわからなかったが今なら納得できる。大きな窓があり、厚いカーテンとレースのカーテンだが、シンプルなデザインながら綺麗な華模様の物が掛かっている。


 シンプルだが綺麗な場所だ。何よりも程よく広く四人でもちょうど良い。ただ、うん、おかしいな。


  「ねぇ、案内役さん? 個別に部屋とか貰えなかったの?」


 そう、エニグマの言う通りだ。ここまで大きなお城ならわざわざ俺たちを纏めなくても個別の部屋が与えられるはずである。図々しいから突っ込めなかったがなんでわざわざ同じへやぁ!


 しかし、案内役さんはにこやかな顔でエニグマの言葉に返答をした。


  「皇帝陛下からその問いに関して言付けを預かっております。『お前ら、図々しく私の城に上り込んできたのだから文句を言うな。まぁレイ、君は従弟だ。もし、その部屋が窮屈だったならば私の部屋にでも来るか? フフフ』との事です」


 そう言う案内役さんのアルカンナさんの声真似はとても良く似ていた。わざわざ似せる必要はないと思うのだが表情まで似せていたという事は意外とお茶目さんなのか? この人。


  「あわわ、部屋に招かれて何があるのでしょうか?」


 テレザは先ほどの発言の中で俺がアルカンナさんの部屋に招かれる部分に反応している。顔を赤くして何かを妄想している。頬に手を当てて呼吸が荒い気もするのは気のせいだと思いたい。


  「へーやるじゃん」


 玖珂は何時もの無表情だが何か目が光っている。お前も何を想像しているんだ。


 そして何より長い口上ありがとうございます案内役さん。アルカンナさんは多分、身内と話したいだけだろうな。姉さんと同じ身内好きの気配がするし、皇帝と言う重圧から家族との触れ合いに飢えてそうな気配がするのだが、きっとこいつらにわからんだろうしなぁ。


  「仕方ないか。流石にこれ以上は贅沢だしね」


 エニグマは案内役さんの言葉に納得したのか反論はしなかった。



 ただ、そこからこちらを向いて『素敵』な顔でとあることを告げてくれた。


  「部屋を広く使う為にも君には皇帝の部屋に言ってもらうとしよう!」


           うん?



  「という事で案内役君。よろしく頼む」


 そう言って、エニグマはすっと案内役の方に向いて手を上げて伝える。


  「「え」」


  「分かりました。それではレイ様。そう陛下には伝えておきますね」


 その言葉に俺とテレザは中央にいるエニグマの方に顔を向けて驚くが、案内役さんはそれを気にせず俺の意見も聞かずそれを了承と受け取り行動に移す。


 足取りを軽くし、綺麗な前の町どこかで見た木材で出来た扉の前に立ちこちらを向く。一々の行動が素早いのは俺に反論の時間を与えない為なのだろうか?


  「それではレイ様。食事が終わり次第、陛下の部屋にお連れ致しますので準備は済ませておいてください」


 そう言った後、綺麗な礼をして速やかに楚々と部屋を出る。呆けてる場合じゃない。そう思い俺も扉を開けて外に出る。



 しかし、そこには誰もいなかった

ついでに案内役さんはメイドではなく実は皇帝付の秘書の一人です。 メイド好きの方、申し訳ない

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