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この大地を統べる現皇 アルカンナ

 城門を抜けて城に入った俺たちは案内役によって謁見の間まで案内される。応接室とか、待合所見たいな所を通さずに案内されているがこれが普通なのだろうか?いまいち解らない。


  「私、玖珂・ユミとその他三人は、こうしてお城に招かれるのであった。さて、ここではどの様なおいしいものが振る舞われるのだろうか」


 とても素敵な事を言っている玖珂に流石に呆れる俺たち。城内なのだから黙って歩きなよ。


  「ユミさん、流石にここで食べ物を振る舞われるのは無いかと思いますよ?」


  「テレザー、付き合うな。ユミが図に乗る」


 案内役の人も呆れているのかこちらを向くとき苦笑いをしている。テレザも流石に突っ込まずには居られなかったのか苦言するが、俺が止める。こいつの場合、分かっててやってるからな。


  「君たちね、一応、皇城なんだけど?」


  「んっんー、一応ではなくここは間違いなく皇帝アルカンナ様の皇城なのだがね」


 エニグマの言葉に謁見の間付近にいた将校らしき人が反応する。うん、怒られるよね。なのでとっさに謝ろうとしたがエニグマがその人に対して話しかけていたので場を見守る。昔なじみだろうか?


  「君、か久しぶり。それでは、例の噂は本当みたいだね?」


  「本当かどうかは知らん。だが、仕えるに足る上司だとは思っている。どの様な事情があって今更あの穴倉から出て来たのか知らんが粗相はするなよ。庇いきれん」


  「その手の心配はいらない。かな? でもありがとう」


  「ではな」


 会話を終えた将校はこの場から立ち去って行く。


 案内役の人は先ほどからエニグマと彼の間をおろおろと見守っていた。多分相当な地位にいるんだろうな。あの顎鬚将校さん。


どうすればいいのかわからないそのような感じではあったが、こちらもエニグマの個人的な知り合いなのでどうすればいいのかわからない、その為会話が終わるまで待っていたのだ。


  「エニグマさん先ほどの方は?」


  「魔王軍(爺さん)の頃からの仲間、か」


  「うん、そうだよ」


 テレザが聞く。流石に俺も気になったので答えが簡潔になるように聞いてみた。案の定、昔の頃からの仲間だったらしい。その為、現皇帝について探ってみたとの事。


  「んぐんぐ、へー」


  「ユミ……まぁ、いいや。それよりみんなそろそろつくそうだよ」


 もう、ユミに対しては誰も何も期待しなくなってきたな。そう思いながらも俺たちは案内役に導かれ謁見の間、扉付近に着いた。さて、現皇帝にあってエニグマはどの様な会話をするのかねェ?



  「アルカンナ様。客人をお連れしました」


 「ご苦労、下がってよい」


 ぺこりと頭を下げて退出する案内役。しかし圧倒されるな。プラチナとブロンドの髪の毛が入り混じるのはハーフの証だろうけど、その奇妙な髪の色が似あうのは何も面構えが美しいと言うだけではあるまい。


  「「「「「「「……」」」」」」」


 それに、周囲の人たちも気になる。七人いるその人たちは全員という訳ではないがある程度、種族が違っている。被ってそうな種族は人間二人くらいだろうか? 後、この中に皇帝も魔族に含めれば魔族が二人になるな。


 こちらを見極める為黙ってるんだろうけど怖いな。右側の人間の金髪の青年なんかは優しそうだけど。


 この人達を従えるている事も、カリスマを増幅させているのか、その時として奇抜にうつる髪型もその人の為に誂えた天の采配であるかのように錯覚させる。


  「そのように怯えなくてもいい。金髪の少女と、そして祖を同じくする少年よ」


  「お、いえ、私の事を何か知っておられるのでしょうか」


 つい、このような言葉しか、出てこなかった。テレザも圧倒されている。エニグマは普通そうに礼をつくしている。


 玖珂に関しては一応、形ばかりではあるが儀礼と言う物を心得てはいた様だった。(まるで校長先生の長話に付き合う最前列の生徒みたいな印象を受けたが)


  「くす、本当に貴方は叔父上に似ている部分もあれば似ていない部分もあるのだな。言葉は最低限の礼儀さえあれば崩していい、身内ではないか。名前を聞いてもいいか」


 その言葉に俺も、テレザも気を楽にした。エニグマは元々気にしていなかったのか態度を変えず、玖珂は校長の話を聞く後列生徒のような感じになっている。


  「……」


 うん、左側の純魔族っぽい人が不快なものでも見たというように睨んでるからやめてね玖珂。


  「分かりましたありがとうございます。俺の名前はレイ、六導レイです。ご推察通り、六導ナナセの次男です」


  「テレザ・キャスタニエです」


  「初めまして、エニグマだよ」


  「玖珂ユミです。よろしくお願いします」


 俺たちは思い思いの最低限の礼儀をつくして挨拶をする。流石にここで玖珂はボケはしなかったようで安心した。


  「そうか、レイにテレザエニグマにユミか、改めて名乗ろう。私の名前はアルカンナ、皆の尽力もあってこの大陸の三代目統一皇帝をしている」


  「いいえ、全ては皇帝の尽力あってのようなもの」


  「人間と魔族の融和は我々先祖代々の願い。それを成す為に皇帝の元働くことは、当然の事です」


  「水臭いこと言うなよ。統一前からの友人だろ? 俺たちはっさ?」


  「貴君ラ……客人ノ前ダゾ」


  「いいのではないか? そこの小娘なぞ大層自由に振る舞っている」


  「とはいえ、客人の前ですし、黙っていた方がいいだろう」


  「皇帝も、久方ぶりあった身内と咲く話の華もあるだろうしな。了解だ」


 最高幹部っぽい人たちがついつい言葉を一言ずつ喋ってしまっていた。それだけ照れ臭かったのだろう。意外とアットホームな職場なんだなー、微笑ましい空気が流れてしまった。


 しかし、わざわざ指摘される程度には気に障ってるようだから気をつけろよ玖珂。そう言って玖珂を睨みつけるが肝心の玖珂は我、関せずとそっぽを向いる。あいつ目を逸らしやがった。



  「ゴホン、所で何故、訪ねてきた? 魔導列車の件なら多分想像通りだぞ?」


 皇帝もこの空気には少々照れが入るのか流れを変えようと本題に入る。確かに俺も気になる。エニグマは何の為に訪ねてきたのだろう?


 皇帝のその言葉に、エニグマは粛々と言葉を紡いだ。


 「その件に関しても聞いておきたいんだけどね。僕としては他にも聞いておきたいことがいっぱいあるんだよ」


  「おい、エニグマ」


  「エニグマさん。流石に失礼ではないかと思いますけど……」


  「おっいいぞやれやれー!」


流石にヤバいのではないかと思いとめる|俺たち(俺とテレザ)、いい加減黙ってるのにも飽きたのか煽る玖珂。


 うん、お前は確実に黙ってろよ。仕方ないので後方にずれて玖珂の口を押える。「いやぁ……」 急に色気のある声で抵抗してきたが気にせず口を押える。初めて会った時くらいならヤバかったが今はもう気にならなくなってきた。


  「ほう……」


 玖珂に良い思いを感じてなかった純魔族の男性は玖珂の口を押えた行為だけで俺に対して好感度が上がっているのか感嘆の声を上げていた。すいません、そこまで不快だったんですね。


  「いいレイ、テレザよ、何かな、かつて祖父の側近であったエニグマよ」


 皇帝も玖珂を華麗にスルーしたスゲーな皇帝。そしてやはりエニグマの事は知っていたらしい。俺は驚かなかったがテレザは驚いていた。


  「まず、感情の問題ではっきりさせておきたい事がある。君が本当にあの方の血縁かどうか、そして次に君の言っていた魔導列車の件。何故、駅は何故ああもかつてナナセが書いた設計図通りなのか? って事さ」


  「ふむ、やはりその事か、叔父上の設計図の件で来たというから知っていると思っていたのだが……」


 アルカンナさんはエニグマの言葉に意外そうにした後、神妙に言葉を返した。うん、叔父上? もしその言葉を本当ならアルカンナさんは……


  「いいだろう、別に隠しておく必要性はもうなくなったしな。私は確かに大魔王の血筋だよ。この地に呼ばれたチキュウ人の母と魔王の実の息子である父から生まれたハーフだ」


  「そして、設計図に関しては直接託されたのだよ。死にそうになっていたところを救ってくれた叔父上から直接な」


 なるほどね。実の息子の方の子供だったのね。なんでわざわざ隠してたのかわからないけど出自についてはハッキリしたはずだ裏付けはまだ取れてないけど。そして、父さんよ本当にフリーダムに活躍してるなぁー。



 そう、考え事をしている中でさっきから何故か周囲が静かである事に気が付く。


 見回してみると、魔族を中心に長寿っぽい奴は唖然としていた。どういう事だ?

 エニグマは口をわなわなさせている。その中でようやく言葉を一つポツリと口にした。


  「あの方、子供作れたんだ」


 その一言に、ウソだろとか、鬼のかく乱と言う奴か、何より人間だと? いえ待ってくださいそう言えば伝承で聞いた事があります。と皆が矢継ぎ早に言葉を言う事態に陥っている。


 その情景に俺とテレザは圧倒された。そしてアルカンナさんは「やっぱりこうなったか」と言って雑談のちょうどいい区切り場面を見計らっている。


 場こそ混乱しているが会話自体は一切崩混乱していないのは多分みんな、エニグマと同じことを思っているからだろう。いったいどんな人だったんだ? アルカンナさんのお父さん。


  「はぁ、皆の者、静まれ!」


 このままでは話が続かないので、アルカンナさんは周囲に冷静になる事を呼びかける。


  「私は、貴方の出した質問には全部答えたが、まだ聞きたいことはあるかな?」


  「正直、あれだけで全部聞けたとは思わないけど二つとも信憑性はありそうだし良いよ。駅が出来てるって事は本当に『完全版』の設計図と基礎機関を貰ってるって事だし、確かに顔つきも似てるしね。つり目とか」


  「まぁ、魔導列車の辺りは色々あったからな……叔父上も言ってたがそんなに似てるのか?」


 先ほどまでの冷静な美女と言う雰囲気はどこ吹く風で消えて行って仕事に疲れ切ったキャリアウーマンみたいになってしまった。ごめんなさい。うちの父さんとエニグマのせいで。


  「ああ、アルカンナ。あの人の目つきの鋭さは間違いなくお前に受け継がれているよ」


 純魔族の男性がそう言って懐かしそうにアルカンナさんに伝えている。うん、純粋な感想なんだろうし、多分叔父さんの事を思い出して思いを馳せてるんだろうけどその言葉は多分……


  「私は女である前に皇帝なだけであって、女である事を捨てているわけではないんだが、傷つくぞ……」


  「あはぶっ」


 やはり、傷ついたアルカンナさんに玖珂が追い打ちをかける。こいつ、今の所ロクな事しねーな。仕方ないのでまた口をふさぐ。やめろ舐めるなくすぐったい。そしてキモい。


  「玖珂ー、黙ろうねー気にすることはないと思いますよ」


  「そっそうですよ。女の私から見ても十分魅力的な方というか、その美貌で悲観されたらどう接していいかわからないです!」


  「私には劣るがな、むーん、んーん」


  「外見だけなら一理はありそうだけどねー 黙れよ、ユミ」


 フォロー入れてる隙に、口をふさいでた指を逆に口の中に入れる事で隙間を作り、口の中に入った指を吸われた事による気持ち悪さ(と少しの快感)でつい手を放してしまった。


 その後の事は聞いての通り、なんとか口を再度ふさぐことに成功する。


  「ふっ……なんだ。お前らはわざわざ私をいじめに皇都まで来たのか……」


 しかし時、既に遅し、アルカンナさんはずーんとでもいいそうな位気配が沈んでいた。


  「玖珂のいう事は七割妄言だから気にしなくていいよアルカンナ。所で本題がある」  


  「ほう、なんだ、言ってみろ」


 エニグマの言葉に素早く頭を切り替えるアルカンナさん。こういう所は政治家だな。


  「北の地方にあるかの国がチキュウ人の召喚を行った形跡がある」


  「なっ」 「いつかやるとは思っていましたが……」「フム……」


 チキュウ人の召喚が行われた。その言葉にアルカンナさん含む、この国の最高幹部の人達に動揺が走る。やはり、チキュウ人の召喚は禁忌らしい。


  「そうか、あの地がまた召喚を行ったか、その様な気配があったから圧力をかけていたのだが無駄になったのだな」


 かの国、俺たちが行こうとしている国。その国が玖珂の召喚を行ったのであろうする事をエニグマが説明する。


  「その答えはイエスでありノーだね。その証拠がこの子さ」


  「ふ、アレ喋っていいの?」


 玖珂もこの話に関わるべきだと思い、俺は口を塞いでいた手をどける。どけた瞬間に玖珂は深呼吸をする。




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