始動 皇都凱旋
そして俺たちは魔導列車に乗ったテレザははしゃいでいたものの、俺たちチキュウ組や事前に父さんから話を聞かされていたエニグマにとっては正直普通の列車でしかなかったので「へー、早い早い」程度でしかなかった。
黒い車体にどこか懐かしい蒸気機関の列車のような形には驚かされたものの乗ってみると普通の列車である。まぁ、魔力で動いているから排気ガスとかの観点で見ればクリーンでとてもめずらしいものであったと思う。
だが、乗客の子供が列車の中を走り回っていたり、感動しながら乗っている創作物に出てきそうな乗客がいた事の方が俺たちにとっては新鮮だった。
うん、似たようなものでありすぎるって言うのも考えようである。新鮮味がない。
「普通の列車だったね。悪くはないけど」
「僕にとって聞いていたせいか感動が薄いな、便利だなーって感じかな?」
「だな、俺的には乗ることによってもっと故郷の事を思い出すとかあると思ったけどなかったな」
「皆さん、もっと感動しましょうよ! 早かったじゃないですか。すぐ着いたじゃないですか!」
「「だって元の世界にあったし」」
バシバシ、ブンブンとでも聞こえてきそうなほど手を振っているテレザやたら興奮している。
うん、一か月くらいたってるっぽいけどまだ忘れかけてるわけでもないから俺たちチキュウ組はあんまり感動が無い。景色で雪がなくなったな? 程度であんまり感動が無い。
「う、ううー良いですよー私は感動しましたし!」
エニグマもそんなに珍しい感じがしなかったのか盛り上がっているのはテレザだけであり彼女はその為、少し疎外感を味わっているようだった。感受性の高い子だなーとほのぼのしてしまう。
「しかし、ここが皇都か」
魔導列車の駅も石造りであったにもかかわらず、元の世界の列車の駅を彷彿させた。駅弁もみんなで買ったがウナギのベントーもおいしいし、服屋もあった為、が流石に止めておいたこの手の店って髙いしので別の店にする。脱線したが本当に元いた世界の駅に近い。
「ひはひ、ほへは」
「……」
「凄いですね。レイさんあそこ! アクセサリーショップなんてありますよ?」
「ああ、そうだな。結構高そうだけどな」
チキュウの駅にちかい。
それは玖珂も感じてるようで、いつもの軽口をたたかずに周囲を観察している。手に持った飲み物とたこ焼きっぽいものは見ない事とする。
あーんとかやりたいんだろうけど俺の頬に当てるな。
熱い。
珍しい建物に感動しながら歩くテレザ、チキュウに近い建物に少々驚きながら歩く俺と玖珂、そして、何故かさっきから黙って歩いているエニグマと結構ここでも色々とありそうである。
考え事をしながらも駅を出たわけだが、本当に人が多いな、ここ。駅の中でも思ったが今まで以上の人の多さだ。みんな、はぐれないように気をつけような。特に「玖珂!」
さっそく身内から離れてこの人通りの多さの中で食い物を買いに行こうとしていた玖珂を見つけてとっさに手を引っ張る。
「へーき、私は気配で人の位置が分かる」
「俺たちが分からないんだからむやみに歩くなよ……」
「いや、そもそもお金渡してたのって服と装備を調達するためであって別に買い食いをする為ではありませんよ?」
「気にしないで安物ですませる」
「他人に責任を負わせるのではなく自分が持つ姿勢は素晴らしいけどな……」
「目的地が近づいてきたとはいえ装備はきちんと整えてよ、ただでさえ寒くなるんだから」
玖珂の素敵な言葉に俺たちは頭を抱えながら装備の重要性と次行くところの寒さについて説明した。
「言うの忘れてたけど私、ある程度なら魔力の膜で相手の攻撃とか気温の変化とか防げる」
「そういう重要な情報は早めにいえよ」
流石にイラついたのでベアクローを玖珂に行う。これがレイ君なりの愛なんだね。とか怖い事言い出したがもう無視する。そう言えば皇都に着いたがここから何処に行くのだろうか?
エニグマと相談しようと思ってエニグマを探す、するといつも通りこの都市の地図を買ってきたエニグマが俺たちに合流してきた。
「宿屋とか何処にします? 師匠とと泊まったオススメがあるんですけど」
「うーん、いやこの調子だと多分、宿屋に泊らなくていいと思うよ……」
「へ?」
そう言いながら地図と町なみを見比べてにらめっこしているエニグマに俺たちは何事かとエニグマの方を見る。しかし、エニグマは地図を見ながら考え込んでいる。何があったのだろうか?
「レイさん。エニグマさん何があったのでしょうか?」
「更年期障害?」
「テレザ、すまないが解らない。後、玖珂は黙ってようね」
エニグマが地図を見ながら駅近くのベンチに座ってしまったので動くに動けず相談し合う俺、含む他三名。途中で食い物買に無駄使いしようとする玖珂を止めながら俺たちはエニグマが何かを決めるのを待つ。
「駅、……だし正攻法でいいかな? よし、決まった」
エニグマは何かぶつぶつ言っている思う所があるのだろう。しかし、それも長くは続かず、定まったようだ
「決まったんですか?」
「やっと動くのか?」
「ごめんごめん待たせたね。目的地はあっちだよ」
俺たちは何か決まったようであるエニグマに尋ねる。するとエニグマは謝りながら目的地が決まったとある方向を指をさし、俺たちはその方向を見る。
「あっちって確か……」
指をさされた方向を見る。アレって多分、一番目立ってるから皇帝の城だよなぁ?
さて、つきました。皇城の門付近に、途中で玖珂の服買うのにドタバタしたけどそこはもういいだろう。俺とテレザは超疲れたけど気にしない。
「あのダサいマントをようやく脱げる。この幸福よ!」
「……覚えといてよ。ユミ」
流石に自分で選んで長期間取られていたものを馬鹿にされたのはイラついたのか静かに怒るエニグマ、流石にヤバいと思い俺たちは止めに入る。
「落ち着けエニグマ。玖珂の暴言なんぞ今に始まったことではないだろう?」
「そうですよ。気にしていては始まりませんよ? それより皇城にどうやって入るんですか?」
ナイスな会話の逸らし方だ。それに俺も気になる、どうやって入るんだ? 正直、駄目だしされた時の事を思い出すと入れない気がするんだが。
「うん、大丈夫だと思う。まぁちょっと待ってて」
? そう言うとエニグマは二人の門番のうち一人の方に向かう。
「止まれ! 皇城に入るには特別な手形がいる。入城したいならそれを先に確認させて貰おう」
予想通り止められたな。そして俺たちは手形や入城許可証のようなものを持っていない。一体どのような手段で入るのだろう?
「皇帝に魔導列車の件で来たと伝えておいてよ、アレの『設計図』いや、計画書の関係者が来たってさ」
「そうか魔導列車の関係者か、良いだろう。少し待っていろ」
そう言うと門番は門の横に備え付けられた小屋に入って行った。アレ、警備の人が入る部屋みたいなものなんだろうな。
「なぁ、魔導列車の件がなぜ俺たちに関係あるんだ?」
「前、話したと思うけど?」
「いや、聞いてませんけど」
魔導列車の件に対して俺とテレザが突っ込む、多分俺は聞いたが話してないよ。独り言だったじゃん。そのように俺が言ったら、「アレー」と首を傾けてエニグマが言い出した。
「そもそも、私はその時期では優雅に霜の付く木の周辺でキャンプしてた」
「いや、お前アレはキャンプじゃないし優雅でもなかっただろ……」
門番を待っている間、事情について聞こうとして他愛もない会話に移行してしまう。何処となく言い渋っている感覚もあるので深くは俺もテレザもつっこめない。
ついでに、玖珂は一切気にしてない。忘れられるのが嫌なのかたまに会話を遮っているだけだ。
「話は通った。良いだろう入れ、魔導列車の客人とはいえ粗相は許されないぞ」
話が通ったことに驚いたが流石に皇城に入る事となったので俺たちは黙って入ることにした。
さて、ここではどのような事が待っているのだろうか?
まぁ、似すぎてたら意外と感動できない




