幕間 indication
レイ達が忍者と戦ってなんとか勝った後、この地下室でも決して小さくはない変化が訪れていた。
ボコボコ ボコボコ
「ふぇ? あれ? これって元からこんなんだっけ?」
シリンダーのような培養容器に収められた人型の発光物体はまるで呼吸でもするように口当たりの部分から気泡を上げる。微量な変化とは言えないそれに真っ先に気付いたのは弟子の女性だった。大急ぎで資料室で資料を漁っていた先生を呼びに行く。
「先生ぃい! 溶液の中の人が、人になっていますよ!」
「ブツブツそも、マーティウスの奴が研究ブツブツさえ、燃ブツブツれば。ってなんじゃい!騒がしい」
探していた先生は棚の近くに椅子を置いて、座りながら資料を読んだり、探したりしていた。集中している時は大きな声で呼びかけた方が良い。彼女がこの老人の弟子になってから約十年間で学んだことだ。
「先生! 先生!」
「プロフェッサーと呼ばんかい!」
老人はプロフェッサーと呼ばれなかったことにご立腹なのか言葉をついつい遮ってしまう。かつてもあったが、最早様式美なのかもしれない。
「そんな事よりも! 例の装置の物体、人型になっています」
「なんじゃと!? それを早く言わんかい! ゆくぞー」
言ってましたよぉーという弟子の声も聞かずに老人は持っていた資料を先ほどまで座っていた簡易椅子に置き、そそくさと資料室から容器の方に向かう。老人とは思えないほど軽快な走りで彼は容器のある研究室まで走って行った。
「まさか、ここまで明確に人の形を取り戻しているとは……まるで何かに呼応しているかのようじゃな」
老人は容器を見ながらそのように呟く。そうあの箱の中身を保持培養するために容器に詰めた時はただの丸い物体だった。流石にここまで早くこの形になるとはどうしても思えないのだ。外的要因が無ければ
「あの、先生これっていったいなんなんですか? 改めて聞かせてください?」
かつて聞いた時は少女にとってははぐらかされた気がしたのだ。故に、明確に実験が進んだ今こそ、改めて先生にこれの中身を聞くチャンスだと思った。しかし、
「待っておれ、この調子であれば近いうちにその答えは分かる。ふふ、はは。そう近いうちに、な」
老人はまた弟子の話には答えずに培養容器の中を見る。
その中身もまたこちらを見ている事に気づきながら……




