心休まったが故に整理する事 地固まって
「うわー綺麗!!」
テレザが感嘆の声を上げている。俺たちは余った時間でテレザの希望した観光する事にした。正直、そろそろ心の休養必要だしな。そう、三人で決めた時に、やたらテレザが飛び跳ねながら喜んだ時は扱いに困ったのは言うまでもないだろう。
その際受付で観光に適した場所はと聞いた時、「それでしたら、この町から北西の森が観光スポットとして今の時期綺麗ですよ」と言われた。
受付さんの話ではこの時期のこの森はちょうど良い感じに霜が付き夕方には天然のイルミネーションになっているらしい。
と言われ来てみたがテレザの言う通り、きれいだ霜に反射して赤い光がキラキラと色どりを付けている。
「へーこれは凄いね」
「綺麗だな。本当に」
本当に綺麗だ。あっちでもこれと似た様な物があるかもしれないが町に近い場所というとあまり想像できない。
「これ見れただけでもこの冒険について来たかいがあったと思います」
テレザが言うと少々考えさせられるものがある。そういえばテレザは師匠の言いつけでくっ付いて来ただけなんだよな……
なのにここまでついて来てくれた。ゼリウスと戦っていた時も危険こそ相手が配慮してくれたから無かったものの、疲労も酷かったはずだ。それにも関わらず俺を癒してくれた。改めて、そのありがたさに気付かされる。
「テレザ、今までついて来てくれてありがとう」
「うん? はい、なんでしょうか」
「いや、無理やりつき合わせているような物なのに感謝をしていなかったように思ったからさ」
だから、改めて付き合ってくれてありがとう。確かに、テレザに伝えたかった。そしてエニグマにも。
それを伝えるとテレザは困ったようにうつむいた。何処か赤くなっているようにも見える。エニグマは頬かきながら照れている。
「これが俺の気持ちだ。今の俺がここにいるのはエニグマ、テレザ、そしてアルヴァ、お前たちがついて来てくれたからだ」
腰の剣にも語りかける。そうだ、こいつも味方なんだよな。そう剣に手をポンポンと叩く。
「うん、僕も君と一緒に行けてよかったよ。じゃなきゃかつての仲間の暴挙を知らずに剣のお守りのみして、いずれ剣を奪われていたからね」
俺の言葉に澄ました顔でエニグマがいう。その後顔をそむけている所で顔が赤くなっているのは照れているからだろう。そう言えば俺たちはこうやって生の感情をぶつけ合う事すら最小限にやってきた気がする。
旅立った時はこの世界で生き抜くための技術を学ぶので精いっぱいだった。テレザの故郷では情勢を確認する事と、新しく出た情報に頭を悩ませていた。エリジアでは話に聞いた親衛隊に襲われた。
冷静でいられるって事は本当に大切な事なのだという事が初めてわかる。今こそ絆を深める時期なのかもな。
エニグマの声を聞き、今までの事を回想しているうちにテレザの顔が上がっていた。
ただ、未だ視線が中空を右往左往しているように見える。ある程度時間がたち、落ち着いたのかこちらを見る。エニグマこちらを見て笑ってるのはなんでだい?
「私も、私も皆さんとこんな冒険が出来て良かったと思います。今まで言う機会はなかったし、それほど楽しい事もなかったけど、それでもとても貴重な経験だと思うから、だから! レイさん、エニグマさん、お互いに頑張りましょう!!」
「ああ、ありがとう。これから頑張って行こう!」
「今更、僕たちはあの時から運命共同体だよ。良くも悪くも、ね」
深呼吸をしてテレザがしどろもどろになりながらも言葉を紡いでいた。彼女の真摯な言葉に改めて心地よい物が胸に去来する。その言葉に対する返事が簡素になってしまった事には俺自身も少々動揺していたからだろう。
その中で、エニグマの言葉に少々引っ掛かりを覚えるものの、まぁ今はこの心地よい連帯感に溺れていたい。
「皆さんもっと奥に行ってみませんか?」
「いいんじゃないか? まだまだ晩飯には時間があるし、エニグマはどうだ?」
「いいんじゃない、面白そうだし、休める時に休んでおく。遊べる時に遊んでおくことも必要だよ」
確かにその為にここに来たわけだしな、今ここでテレザの言葉に頷いたのも間違いではないだろう。ただ、ここからトラブルに巻き込まれる訳だが、別にその事についても後悔はない。何故なら、奴もまたこれから先ともに行く最高の仲間となるのだから。
「凄いですね!」そう言いながらこの場を走り回るテレザにそれも仕方ないと周りを見回す。もはや日も沈み、夜になりかけの黄昏時、周囲に天然のイルミネーションはもはやない。
それでも、ここは凄い。ちょうど良い感じに生き物が住めそうな広場に、ここから大きな岩が見れる。なんというかここは、「すんごい場所ですよね!」とテレザが聞いてくる。自然の美しさに本当に感動しているようだ。なのにエニグマは、
「秘密基地って感じの空間だね? いや、キャンプ地かな」
等と言いおったのでついつい俺も
「子供の頃、こういう場所に秘密基地確かに作ったなぁ」
と返してしまった。故にテレザの反応も
「いや、そういう所に感激していたわけではないんですが」
こうなるのはさもありなん。
改めて言うテレザは純粋に自然の美しさに感動していたのだろうが、エニグマは受付で聞いていた事前情報と今も残っている地面の焚火の後に、明らかに人の手が入っていそうな空間に対する感想を述べていた。所属していた部隊は遺跡に行く事が多く、レンジャーのスキルが必須であったが故の感想だろう。それ故に、テレザとエニグマの感想はすれ違っていた。
まぁ俺も小学生の時に似たような場所で秘密基地造ったことあるからそれを彷彿させていた場所に心を重ねる。さっき一体となっていた俺たちの心は見事バラバラになったのだった。
そこまで大層なものでもないな。単純に感想がすれ違っただけだね。意見の食い違いゆえかテレザは悲しげに肩を下している。
「いやいや、ごめん、ごめん。一応僕たちもわかってはいたんだけどね」
まぁ、最初に悪乗りしたからねエニグマは、先に謝っていた。
「確かに良い場所だよな。岩もいい味を出している」
俺も続けて先ほどテレザの欲しかったであろう答えとそれに付属する自分の意見を言った。
テレザもそれに満足したようなのか冷静になって自分が少々子供っぽかったのを恥じているように見える。まぁこちらの私見だが、そう遠くはないだろう。
「しかしあの岩場、確かに気になるね」
エニグマはそう言って岩場の方に向く、それに習いテレザも岩場に目を向ける。
「確かに気になりますねー」
「どうせここまで来たし言ってみるか?」
「熊とかいたらどうするんですか?」
確かにクマなどが住処にしてそうだ。しかし、何となくね。
「何か、よんでる気配がするんだ」
「えっレイさん。いきなり何か受信でもしました?」
結構失礼なこと言ってくるテレザだが俺も言われても仕方ないのでスルー。
レイ、そこまで気になるなら行ってみるかい? 僕も気になるし、とエニグマが岩場の方に指を指しながら言ってきた。
とりあえず、三人で話し合った。テレザもここまで俺たちが気にしてるので気になってきたみたいで先ほどとは違い賛成してくれた。
さぁ何があるのかな? おれは妙な気配のする岩場まで木々の根を跨ぎながら直進する。
今思ったら迷ってた時期くらいしかスケジュールに穴が無いからね
この子ら
そして自然あふれる場所に行った時秘密基地作成した人多いんじゃないかと思う




