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旅支度

「これってまさか」


 「ねぇ、レイ君の方が知ってるんないのかこれ」


 「なんなんですかこれ」


 馬車の発着場と聞いてこの町の中央広場にある、特殊な石でできた小屋に着いた。広さ的には結構広く馬車にここまで施設が必要なのかと驚いていた物だ。俺たちの方の入り口からは地面が見えなかったからなぁ……


  「レイさん、地面に面白い物がありますよ!」


 「ああ、面白いものがあるね」


 「本当にな」


 本当に、馬車って聞いたのになんで「コレ」が地面に引いてあるのかな? そう、俺たちが話していると後ろから足音が聞こえる。


 「やぁ、『魔導列車』に興味がおありかな?」


 カツカツと革靴を大理石らしき意思にに響かせて、こちらの会話を聞き分けた声が響く。声は渋いのに、やたら快活と言うか子供っぽい。まるで自慢の玩具を説明したがっているかのように浮かれている。


 「ええ、明日乗車するもので」


 「魔導列車? ってなんですか?」


 メンドクサイと言うのにエニグマがわざわざ訪ねてしまう。すると、黒い服に帽子を被ったお爺さんがこちらにとうとう本格的に声をかけてきた。ああ、やっぱりコレ、列車の線路なんだ。


 エニグマと俺は、列車と聞いて改めて地面に引かれた物が線路である事を知る。エニグマが知っているのは多分、父さん関連だろう。


 そして、聞いたこと無さそうだったテレザは話について来れず、顔に?を乱舞している。


 「御嬢さんたち魔導列車を知らないのか。よし、儂が説明してやろう」


 テレザが疑問を口にした時、話したがっていたのかお爺さんがいきなり、説明し始めた。テレザがあわあわと言った感じで手を振りながらお爺さんの話を聞いている。テレザには悪いが俺たちも気になるので黙って聞く。


 巻き込まれたくもないので少し距離を取りながら。


 ある程度時間がたち、(基本的にテレザが)お爺さんから得た知識をある程度まとめてみる。まず初めに魔導列車は今年で来たばっかりのできたてであり、現皇帝が政策の一環として都市間に引いては地方間にインフラを形成するために作成したものらしい。


 本来なら大々的に発表するつもりだったが試運転段階であり、ここと皇都以外にも線路を引く段階で発表するとのつもりらしいとの事。


 試運転の場として現皇帝が皇都と生まれ故郷であるここを繋ぐことを選ばれた。試運転故に魔導列車が一か月に四回のみで線路も列車自体も細かく調整しているらしい。


 列車も線路も調整中と聞いて大丈夫か気になったものだが、この世界において自立して動く陸の交通機関は初めての試み故に仕方ないとエニグマが補足してくれた。


 ただ、俺の疑問としては馬車からなんでいきなり列車を作るようになったのかである。ただ、エニグマには少々心当たりがあるのか、現皇帝が列車を作っていると聞いて考え込んでいた。


 ただ、ぶつぶつ聞こえてくる言葉に耳を傾けていると何かしら思う事がある。


 「そういえば、ナナセが列車を再現しようととしてたっけ、流石に基礎機関と設計図ぐらいしかできなかったようだけど……」


 ああ、父さんこの世界で列車を造ろうとしてたのか、あの人、年齢一桁くらいだったんだよな?



 父さんの伝説に改めて疑問に思いながらお爺さんの話を聞く。そろそろ終わりそうだ。


 「故に、栄えある初代駅長をこの町長である儂が担うに至ったというわけじゃ。わかったかな? 嬢ちゃんたち」


 朗らかに声が響き渡っている。傍から聞いても、テンションがマックスギガ盛な町長に良くテレザは応対できているなと感心する。


 「う、うーわかりました」


 テレザは勢いに押されて話を聞いていたので、多分あまり理解できてないだろうな。冷や汗かいてるし。それにしても、うん、あんた町長だったんだ。


 沢山の話を教えて貰ったことは事実なので、三人で感謝の言葉を述べて町長と別れる。名残惜しそうにしていた町長にテレザはびくついていたが俺たちは気にせず宿屋付近の雑貨屋に行く。さて防寒器具を買いに行くぞ!


   「レイさん、エニグマさん。私の事、囮にしましたね」


 肩を怒らせてテレザは語る。当然と言えば当然だが、魔導列車発着場での事を俺とエニグマは怒られた。


  「すまん、すまん」


  「すまん、すまん。じゃなくてですねー!!」


  「そろそろ、防具兼衣服屋につくよー」


 テレザが起こっているのを宥める俺とどこ吹く風のエニグマに怒る気力も失せたのか先に店に入っていく。まぁ店に入って何分間かしたら落ち着くだろう。それが、俺とエニグマの見解だった。今までの経験からの判断だった。


  「いらっしゃいませー」


 店員の声が響く。中央の見やすい所には衣服が置いてある。まぁ当然だな。防具は店の奥の方らしい。すでに奥の方にテレザがいた。


  「故郷で着替えたはずなのに、また別の地域でも衣服になる防具の身長をしなくてはならなくなるなんて……」


  「テレザ、気候の違う地域に行くなんてそういうものだろ?」


  「まぁ気候の影響をなくする魔法はあるけどかけ続ける方がもったいないし、もしもの時危ないからね」


 テレザは防具の方でうんうん唸っていたので声をかける。未だ怒りを引きずっているようではあったが、流石に冷静になってきたのかとりあえずこちらの声に耳を傾けているようだった。


  「まぁ、今回も各自で防具を買っていくか」


  「僕には必要ないけどね」


 そう言えばエニグマが来ている服以上の防具は無いんだよな……腐っても魔王軍機密部隊の所属だった為、そう簡単に今の防具以上のスペックを持った物は無く防寒具として上に羽織るものを探す程度である。


 エニグマのノースリーブのレオタードみたいな黒い服どうやって腕とか肌露出してる部分守っているのだろう?


  「まぁ、こんな感じでいいかな」


 考え事をしているうちにエニグマの方は終わったみたいだ。俺も早く見つけないとな。


 店員さんに聞き、鎧の場所に行く。あまり今までの物と変わりがないように思うが大体が軽くて丈夫のようである。ただ、その分コストが割り増しになっている気がする。


  「悩むな」


 正直、フルプレートの鎧もカッコいいし、防御に不安があるので捨てがたいのだが、俺が着ているとまともに動けない。

 着なれていない為、身体が動かしずらいのだ。

 これは雪国ではさらに顕著になってしまう。その為、悲しいが今回も鎧は軽装に限る。


 胸元までの銀色の物を探してその下にローブのような物を羽織りる。黒を基調に赤い文様の物だ。安いが長持ちするものらしい。当然防寒性も高い。これに手袋とすべらないようにスパイクの着いた靴も新調する。


 これで俺もある程度、皇都への準備が整う。さて、後はテレザかどうなるんだろうね?


 どうやら、あちらも終わったようだ。合流場所としてあらかじめ決めておいた店の入り口付近の試着室前につくと全員そろっている。


 「みんな着るもの決めたみたいだね」


 こちらに気付いたのかエニグマが俺とテレザ見て話しかけてくる。そういうエニグマの衣服はあの服装の上に何かピカピカしているフード付きの黒いマントだった。魔方陣が付いた手袋とエニグマ曰く防護術式を背中に魔方陣で付けている実用性のあるものだった。


 「そのピカピカしたのはなんですか?」


 買い物している間に完全に落ち着いたのかテレザがエニグマに聞く。多分そのピカピカしたのは……って確かそれ!


 「防刃処理の為の鉱石」


 「高いよねそれ、こっちでは何円か知らんけど確かその鉱石高いよね?!」


 「まぁー結構なお値段でした」


 手で丸を作り桁を作る法外というほどではないが明らかに高い。「それ、大分高いですよね」エニグマにテレザが言う。本当にな。ただ、所持金の大半はエニグマが漁ってきた遺跡の物品で出来ていたので無駄使いさえしないのであれば文句も言いづらい。


  「まぁいいや、テレザは何かったんだ?」


 そう言ってテレザの方に向く、エニグマには文句を言い辛いので他に確認をしておく、前の法衣との違いが生地が厚いフードが付いている文様が変わった。他の装飾品は手袋している靴がブーツっぽいくらいしか違いが見えない。


 「どうでしょうか!」


 その癖、おしゃれになったでしょうとドヤ顔晒しているテレザにどう反応返していいのかわからない。


 「フード追加したんだな」


 すっごい無難な事しか言えなかった俺を許してくれ天国の父さん。(注意! 死んでません?)


 その俺の言葉にテレザは満足したようで「そーなんですよフード可愛いでしょう!」なんて言ってくる。ただ、その反応にエニグマが呆れたような懐かしいような独特な反応していた。


  「姫様みたいなすっ飛んだセンスだなぁ」


 ものすっごい小さな声でそう言っていた。姫様? 俺にとって叔母にあたる人だろうか。


 「まぁ、みんないい感じの服装じゃないか? これなら雪国でも大丈夫かね?」


 「はい、レイさんも格好いいと思います」


 「昔の騎士団思い出すね。古臭いけどいいと思うよ」


 人のセンスを古臭いとか、古臭い人に言われたが、自分でもそう思うから仕方ない。


 黙ってておこう。そんな事よりも今後の予定だ。


 「次は雑貨屋か?」


 「いやまずはここで、首に巻く物を買って雑貨屋では着火剤なんかも買えばいいかな?」


 そう、俺とエニグマが相談する。今後の予定と聞いてテレザはいきなり押し黙り、うーんと言っている。なんかいい予感はしない。


 「レイさん、私、思い出しました! 早く終わらせましょう」


 テレザ? 君は何を思い出したんだい。まぁ、何かは俺も覚えているが、思い出しちゃったんだぁ。買い物はまぁこんな感じだろう。早めに買ってテレザに思い出したことをさせてやろう。


 こうして俺たちは、自分たちの装備を整えて置いて行っても大丈夫な雑貨類のみホテルに寄せて観光に向かう事となった。

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