午前の出来事 魂の休息
昨日はぐっすり寝たので疲労も抜けた。うん良い朝だ。所で俺は昨日部屋の端で寝ていた。いや別に男だから端に寄せられたとかではなく元々、外が見られる窓際が好きだったのだ。
そう昨日主張した時エニグマには呆れられた。「親子って本当に似るよねー」との事である。ついでにテレザは窓から離れた暖房のそばにベッドを寄せた。「良くレイさん夜中に窓際なんかで寝れますねー」とか言いながらわざわざベッドを暖房の近くに寄せてまで暖まりに行っていた。
エニグマは消去法で中央に寝てたはずである。
うん、情報整理終了! だよねーそうだよねー 所でさ、この俺のベッドの上の膨らみは何さ? 「うーん」
音がスースーと聞こえるので間違いなく中に誰かいるそしてとても暖かいそして。
うん、柔らかいね。周りに他の人いないネ?
エニグマかテレザかそれとも第三者か?
「おはようーごじゃいます……」
顔をごしごしこすってこちらを見る。こちらからは寝ぼけているように見えるなぁー、応、テレザだったよ。なので「起きろ」そう言って俺はテレザの頭をチョップする。
「ふにゃ!」
良い声を出して鳴いたな。こっちに倒れこんでくるので抱きとめる。流石にドキドキするので早く目を覚ましていただきたい。
しかし、びっくりしたよマジでどうして入っているんだよ。
くすくす、ぶはぁ そう密閉された空間から漏れ出した音が聞こえる。主に入り口付近の服とか入ってそうな空間から……
「そこぉお! クローゼットの中ぁあ!! 聞こえてんぞ、おい!!」
そう言うと、クローゼットの中から未だなお、顔を笑みで歪ませたエニグマがバーンと戸をあけて出てきやがった。
「いやー昨日ゆっくりベッドに背を付けて考え事してたらさ。テレザがトイレに行った後に寒いからってすでに暖まっているベッドに向かって、つまり君のベッドに行ったからさ。これはおもしろそうだと思ってクローゼットの中で見張っていたってわけだよ」
未だうすら笑いをしながら説明してくるせいか知らんけど、エニグマの微妙に解り辛い説明をイラッとしながら聞いていた。
うん、古精霊は寝なくてもいいとは聞いたし、夜中には良く番をして貰ってたけどさ。こんな所で発揮するとはね。
起きてすぐ、自分の服を取りだし俺の後ろに回ったテレザは少し恥ずかしそうにテレザが着替えを速攻でしているらしい。多分、とりあえず防御力を上げたかったんだろう。衣服的な意味でも精神的な意味でも。
恥ずかしながらも「うう、ごめんなさい」などと言っていたがテレザは別に謝らなくてもいいよ。蒲団とかはぎ取られてなかったし、理不尽に怒られてもないから俺に損はない。
はは、と笑っている目の前の年長者をどうしようかと考えている。が、着替えを終えたテレザにこれを止められる。
「い、いえ私が悪いのでエニグマさんを叱るのはーどうかと」
「いいのか、間違いなくコイツまた続けるぞ」
「否定はしないね。僕はそういう所あるし」
お前、エニグマも余裕が出来てくるとこういう所があるよね。いたずら好きの享楽的な所がある。
まぁ今までピリピリしてこの様な事は出来なかったので多分いい傾向なのかもしれない。
「はぁ、いいよ。わかったよ」
「よかったです」
「へーいいのかい?」
「ああ、その分働いてもらうからな」と言うと、「まぁ、そのつもりだよ」と返される。今日もまた何かありそうだ。
色々あった午前だが、その後、食堂で朝飯を食って受付で交通機関の有無を聞く。すると、どうやらあるみたいだ。ひと月に四回のみあるらしく運よく明日、皇都行の直行馬車が出るらしい。前日券を宿屋で買い。補給ついでに直行馬車の発着場を視に行く事となった。
「運が良かったですねー、明日ですよ! 明日!!」
「そうだな本当に運がいいと思う。なんでテンション高いんだ?」
「僕は何故テレザのテンションが高いか分かりきってる事だと思うけど、聞くんだ?」
そこにはガッツポーズをしながら出口を眺めてにやけづらを浮かべるテレザがいた。
うん、俺も知ってるけどあえて聞いてみた。多分、観光だろうな。
「テレザ君の気持もわかるけどまずは食料買うからねー」
「わかりました。頑張りましょう!」
「うん、元気だなー」
まぁ、とりあえず、補給からだ。水と食べ物だろうな。雪は場所によっては飲料水と変わらない為、いくら雪を温めればその場で水になるからと言って全ての雪が飲んでも平気というわけでもない。その為、飲料水は必要。
そう言えば、エリーゼさんから貰ったバックに入れた物って中に入ってる時最善の状態に修復されてるんだよな……恐ろしい。ただ、完全に壊れている物や魔法で形状変化が起こらない様になっている物は別らしい。この為、生もの保存は抜群だ。
故に遠慮なくここでは生ものを買う。正直旅の途中で気づいた事だけどさ、これ渡した時に教えてくれても良かったよね? とエニグマと言いあったのも遠い昔の事である。
エニグマは生ものを皮袋に詰めてからバッグに入れる。流石に生ものをそのまま入れると稀に中の物と混じり合って「そういう風に加工されたもの」が最善の状態として修復されてしまう事がある。これは本当に避けねばならなかった。
「食べ物だったからよかったけどアレ、衣服とかだとどうなっていたんだろうね?」
そうエニグマが皮袋に詰めた物の整理しながら言う。ついでに俺とテレザは生ものの袋詰めが担当だ。俺は肉類や魚介類とかなので少し生臭い。おい、エニグマ引くな担当決めたのおまえだろ。
しかし本当に、このバックの性能をテレザは伝えられてなかったのだろうか? 疑問に思ったので、そこの所テレザに聞く。
「というかテレザは伝えられていなかったのか」
「いえ、作った後どこかに放置してたくらいですよ」
困惑した表情でテレザが答える。担当していた果物の袋詰めも終わったようだ。あの人全力でテキトーだよねいつも。
あの人のいい加減話ばかり聞いていると空の上でピースしているエリーゼさんの幻覚に襲われる。
とりあえず食べ物は終えたので雑貨等の方に移る。大陸の北側に着いたのでこの地方地図を買おうと思ったが簡易の地図にしろとエニグマに言われた。トラブルが起きたとしてもこれから行く地にもっと詳しいものが売っているので流石にもったいないらしい。もしもの為の簡易用に買っておくに止めた。
さて、次は服かなと思い、店を目指す。
「衣服や雑貨屋は宿屋付近だからその前に中央付近にある馬車の発着場を視に行った方がいいかも」
「確かにそうですね」
「中央か小さい町だけど落ち着いてみること出来なかったしどんな所だっけ?」
そういや元々店の付近だったから選んだのだった。エニグマが先導してテレザがついて行く。さて俺も行こうかな?
まぁエニグマにも休憩とか必要だったんだよ




