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皇帝の生まれた町フレスルージュ

新章突入

 「北に近づいてきたこともあって少し肌寒くなってきましたね」


 そう言いながら体を少し動かすテレザ。息も若干白いが正直、俺とエニグマはあまりそんな感じではない為、気にしてないが本当に寒いのだろうか?


 そう思っているとエニグマがテレザの額に手を当てる。


 「うひゃ、何するんですか?! エニグマさん!!」


 「いや、風邪でも引いたのかと思って」


 いきなりのエニグマの行為に驚いて両腕をバタバタさせるテレザに微笑ましいものを感じながら俺たちはここから北西の町に向かっている所だ。曰くそこは、現皇帝の生まれ故郷との事で、よほどの事がない限り争いを起こし辛い地域であるとの事である。


 地理的にも近いので後そろそろでつきそうとの事、あれから二週間、正直そろそろ野宿もきつくなってきたので宿泊施設で泊まれるのはそろそろありがたい。


 今思えばこの世界に来て一か月も過ぎているのか、野宿にも慣れてきたなぁーそう、ぼけーとしてたらテレザが声をかけてきた。


 「レイさんだって寒くなってきたと思いませんか!」


 ゼリウスと戦って以降、俺たちの心理的な距離もどこか近くになったように思う。でもね。本当に俺はそこまで寒くは無いんだが、そう言うとテレザはガーンとでも聞こえてきそうな顔をしている。足を止めない当たり、生真面目だなと思う。


 ぶつぶつと「みんな鈍感だから……」とか言ってるのは聞こえなかったふりしてあげるからな? そう思いながらテレザの独り言に対して、「えっ? なにか言ったか」と手に耳を当てて聞き返すふりをする。


 そう言うとテレザは「いえいえ、何でもありません」と首と手を振って答えてきた。本当に俺たちに慣れてきたなぁ……まるでエリーゼさんに対して接してきたようにこちらにも接してきているようにも思う。


 壁がなくなってきた。と、言えばいいような風に思えるがその分、こちらに毒を吐くようになってきたのは多分元々そういう性格なのだったのだろう。稀にきつい時もあるけどね。


 そんなこんなで、今日も野宿だ。地図上では明日一日いっぱい歩けば明後日には着きそうである。さて、どうすべきか?


 かつて、エリジアに行こうとして地図上だと近いからと楽な道に行こうとした。その際、経由すべき町に辿り着けなかった。結果的に予定より早くエリジアにたどり着けたもののそんな幸運は二度も訪れないだろう。


 その事に対する会議を、五人用のベースキャンプテントで話し合う。何故五人用なのかというとこうやって話し合ったりする為や、人数が増えた時の為に五人用のベーステントをテレザの故郷で買ってきたのだ。


 しかし、良いテントだよな。流石に便所などは付いていないが、天井には明りを備え付ける為の空間があり、壁際付近には、広げると網が荷物置きになる。小柄なものならその網で寝る事も出来るだろう。ついでに買っておいた机を備え付けても三人が安定して座れる程度には広い。入り口をある程度開けっ放しにしてもいいように網目の細かい二重入口に中央には暖房用のスペースがある。百七十以上ある俺が立ち上がっても天井に着かないほど大きく、三人で入ってテーブルおいても窮屈にならないほど広いのにきちんと熱がこもって暖かい。しかも思いっきりぶつかっても破けない程度には頑丈だ。本当に良いテントだ。


 うん、改めて至れり尽くせりなテントだ。このテントは本当にありがたい。


 曰く、交通機関が発達がし辛く、冒険者等の一人旅の人間がチキュウ以上に多い為、このようなテント等の旅の必需品が発達したのだという。このテントなどがある限りそれほど急がなくてもいいのかもしれないが…… さて、どうしようかね?



「やはり、先に進むべきだと僕はおもうよ」


 「しかし、一日かけて徹夜で行ってもそこに敵が待ち構えている可能性があるからな……」


 そうエニグマは言った。確かに、後ろから追ってくる親衛隊の事を考えると先に進んだ方がいいのかもしれない。だが、エリジアの時の様について用事を終えたら敵と遭遇しました。というあの時と同じことが起きた時の為に休憩はこまめにとった方がいいのかもしれない。


  「ぽかぽかですー」


 それに、今とても幸せそうに机下につけた暖房にあたっているテレザを夜風にあたっている状態で歩かせるというのも辛いのではないのだろうか?


 どちらにも理がある。安易に決める事でもない。先ほど食事もとったし後はここはある程度時間を取って話し合うべきか。


 テレザ以外重い空気を発している。そこにテレザはようやく暖まりきったのか、発言する。


  「とりあえず、地図を出して考えてみません?」


 確かに、目的地を確認する事は必要だ。俺たちは頷き合いエニグマはその言葉からサイドバックに手を突っ込んで地図を取り出す。


 現在地からそこそこすぐ近く、北西の方角に現皇帝の生まれ故郷、フレスベルージュという小さな町がある。特産品と言えば丈夫な布と木材との事である。現皇帝は元々この町で機織りをしながら生活をしていたと言われる。その為、特産品として衣服などが最近追加されたのだとか。


 「やはり、地図上だと明日の朝から明後日の朝って距離だね……」


 「地図上で確認してもこうならそれ以上かかるよな……」


 「焦るのもわかりますけど安全に行動しましょうか」


 地図上で一日以上かかるのなら間違いなくそれ以上の時間がかかるかも知れない。仕方ないという風体でエニグマは納得した。エニグマ自身元々、きついという事は分かっていたのかもしれない。やはり、親衛隊に出会うかもしれないかもという焦燥感が強行軍を進言させていたのだろう。


 「決まったのならもう寝ません? 明日早く起きた方がすぐ着くと思いますよ」


 そう言うとテレザは奥の方で器用に寝袋で壁を作り寝間着に着替えていた。うん、彼女も本当に素が出て来たなぁ……


 俺もエニグマもその行動にあきれて寝る準備をする。明日も早い、もう寝よう。


 そこからは予想に反し順調に進む。意見を合わせた通りに二日かけて、フレスルージュの町に着いた。着いた日時はちょうど昼ぐらいだろうか? それでも


  「うわぁ、きれいな町ですね」


 「うん確かに綺麗だ」


 「木が特産品って言ってたけどこれならわかるな」


 雪国の近くにあるが故に木には霜がついている。それが日の日差しに当てられてキラキラしている。中には霜が水に変わっているとものあるのがそれもまた日差しにあたり輝いている。俺たちはこうして次の町であるフレスルージュに着いたのだった。 

着いたのは昼ですがあさだともっときれいな町だとか

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