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次の厄災

 あれからある程度の日時が過ぎ、冥界の門近くのベースキャンプでセルベンはその報告を聞いた。魂蔵持ちの武器の所有者達に負けてしまったこと。その傷の療養でしばし、動けない事、彼らの行き先が北か東である事等、正直、予想がついていた事わざわざ聞かされた。


 取り逃がしたのは別に、それはいい。正直、ゼリウスの事だ。余計な手心でも加えたのだろう。「あの方」の悪い癖をそのまま受け継ぐ少年なのだからそこは仕方ない。


 「ですが……ね」


 ただ、実力で退けられたというのはどういう事なのだろうか。彼は確かに未だ未熟な身の上だが、だからと言って彼は弱いというわけでもない。むしろよほどの人数差か、軍を一人で相手に出来たかつての上司やそれに匹敵していた神族くらいしか彼に実力で上回ることはないだろう。そう考えると流石に無視はできない。


  「それに、コイツの魂の供給源に使えるかもしれませんしね?」


 そういって長方形の簡易デスクの上に置いてある二本見つかった魂蔵持ちの剣の内一つを持ち上げ眺める。未だに机の上に置いてある剣と全く同じデザインの手元の剣。


 二つ同時に運用を元に研究されたのかそれともどちらかがプロトタイプなのか、それともどちらとも量産型なのか……それは分からない。ただ、離して使っても運用可能という研究成果は出ている。


 ならば、一応念のために保険として運用しておくか。


 「セルベンか、何をしている」


 セルベンが一本の魔剣をどうしようかと考えている所に後ろから話しかけてくる者がいた。


 「一応、貴方も私の部下なのですから公的の場では控えてくださいよ? ベルセリカさん」


 見た目は18歳くらいの年齢に高位魔族特有の銀髪で高位魔族あるまじき人間と同じ肌の色持った、半魔の少女である。彼女は探索部隊の二人いる副隊長の一人ベルセリカその人である。上司のセルベンのその言葉にめんどくさそうに答える。


 「ああ、ハイハイ隊長どうしたの?」


 それも上司に対する態度ではない。そう言いかけたが思いつく。正直ベルセリカはあまり命令を聞くタイプではない。彼女がいる理由は戦力が欲しく目を離していると危うい所があるから連れてきたという方が正しい。


 つまり、ある意味では戦力ではないという意味でもある。実際チームワークもなく戦場を引っ掻き回す為、調査が進んでいない。


  それでも副長であり、この場にいるのは自分に次いで強い事を意味している。ならば平気か?悩む、協調性という単語をどこかに置き忘れているコイツに頼むべき事柄では断じてない。だからと言ってゼリウスにそのまま委任するのも悪手だ。


 「ギャンブルもする時ですかね?」


 「どーした?」


 「いえ、そうだベルセリカあなた暇でしょ?この剣を使って北側に向かった魂蔵持ちの武器所有者を追ってください」


 そういってセルベンは今持っていた剣をベルセリカに渡す。訝しむベルセリカではあったが一応上司のいう事ではあったのでとりあえず受け取る。


 「これ、なんだ?」


 「作戦目標だった魂蔵の剣ですが中身が空だったんですよ。先ほどの指令のついででいいんで中身補充してきてください」


 へぇー殺していいんだ。ベルセリカはそういうと満面の笑みで剣を見つめながら言った。


 できる限り、無辜の民は切らない方向でお願いしますよと念を押してこれまでの経緯とゼリウスを倒した相手の情報でわかっている部分のみ伝えて送り出す。


 彼女がレイ達に出会う日はそう遠くないだろう。

とりあえずこんな感じ

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