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本でできた大地の渡り方 異界召喚術の本

 召喚術に関する書物について何処にあるのか? 異世界についての書物はどこにあるのかをダリエラさんに聞いた。ダリエラさんはその質問に対して目を閉じ考え事をしてから答えてくれた。


 「お客様、珍しい本をお探しですね? お恥ずかしながら、その手の本でしたら現代ならプラティナセルマの方がありそうな気もしますけどね」


 そう言いながらも本の置かれている場所まで案内してくれる。ダリエラさんの後ろを歩き、棚を一つ、二つ、と歩いて行く、が、やはり多い。



 召喚術はなんだかんだで異世界についてと切っても切れない関係なのでその棚までは近かった。しかし、それでも歩くよりも自転車使いながら探したいほどの蔵書の量だ。


 正直、これだけの蔵書量でまだ負けているのならばプラティナセルマにはどれほどの量の本があるというのだろうか。想像したくない。


  「このあたりがお客様の探している本が置かれている本棚です。具体的にどのような書物をお探しですか?」


 「ああ、いいよ、いいよ後は自力で探してみる。ありがとう」


 エニグマそう言うと手を振ってダリエラさんに別れを告げる。その言葉を聞きダリエラさんは軽く会釈をし、失礼しますと言って少々早歩きで帰って行った。忙しかったのだろうか?


 「おい、この量を自力で?」


 「あはは、流石に私たちはくらくらしちゃいます」


 「するんだよ? 手がかりがないから手がかり探してるんだし」


 俺とテレザは本の山脈に怖気づいている。その為、ダリエラさんを返したエニグマにも反応しきれなかった。テレザなど唇が戦慄わなないており、手には汗をかいていた。俺も似たようなものである。


 そう、俺たちはとても素敵な顔でエニグマから刑の宣告を受けたようなものである。


 うん、テレザは修行の為、俺は帰還する為に、この蔵書を積極的に読まなくてはいけないのだ。とはいえなぁ。そうテレザに視線を送るとコクコクと首が動く


 この本の大陸を渡りきる自信は俺たちにはどこにもなかった。


 「めんどくさがっても仕方ないしお互いに頑張ろう! テレザ」


 「そうですねレイさん」


 互いを励まし合って、行動に移す俺たち、そうでもしなければここから一歩も動けなくなりそうだったからでもある。石像もかくやと言った俺たちの足は異音の幻聴を奏でながらもそれぞれの持ち場へ向かうようには動けるようになった。


 そうして持ち場についたわけだが、まぁ、仕方ないので本を探す。面倒だが片っ端から漁っていく。文字に関してはここに来るまでの間にそこそこ覚えられたので、俺は古代語でない本担当という事になる。


 エニグマは難しい召喚術関連、テレザは学術的興味から異世界関連を担当した。正直、異世界関連の書物なら俺が読んだ方が手っ取り早い気もするのだが、この地にあるその手の本は古代語で書かれているらしく今の俺では読み解くことができない。


 その為、おとなしく現代の言葉で書かれている本を中心に読んでいく。召喚術というものは元々は空間転移の改良としてうまれた技術である事、その過程で宗教と結びつき、世界を創造した神が複数いるかもしれないという仮説を元に異世界へのコンタクト手段として改められたのがチキュウからの召喚術らしい。


 ただ、これが、魔力を大量に消費し、源世覚醒を促し戦闘用に改良されるに至った原因は魔族と人間の争いが始まってからだという。


 これさえ、元々は自分の世界の住人から徴兵がしづらい状況で、異世界の住人ならばこの世界の法とは無縁にこき使えるのではないかという非人道的な考えから作られたものらしい。


 しかし、その記念すべき第一回目の召喚でやはり人道的ではないという理由から止める者も現れた。その中止計画の一部である大量のマナ浪費によるコストの釣り合わない事で、召喚すべきではなかったという結論に持って行く為の細工が発動したことが今の困ったときのチキュウ人召喚に繋がってしまう。


 「そして、これまで大量のチキュウ人が召喚されてきたが、チキュウに帰れたというものは聞いたことが無くこの地で骨を埋めた者ばかりである……か」


 期待こそしていなかったがやはり、あまりいい情報が書かれていない。中には、帰れたのではという情報もあるものの、大抵が「塔」に登っている。


 「やっぱり、あの「塔」が最も帰還確立が高いのかな?」


 他にも塔関連以外では、エングリッシュという言葉を喋っていたと言われる考古学者で、この世界で傭兵をしながら遺跡を回り、元の世界に戻ったと書かれている。ただこれ、どこかの遠い地で助けた異種族の娘と恋に落ち、その娘の故郷で王になったとも書かれている本もある。


 「だーもうめんどくさー」


 基本的な学術書以外どれもこれも益体にもならない帰れなかったという歴史と帰れるかもしれないがいけない「塔」関連の知識。胡散臭い眉唾物の異世界人のその後を描いた自称ノンフィクション小説等しかない。


 「しかもこれ、どれもこれも似たような物ばかりじゃないか」


 戻りたいと願った者達は基本どいつもこいつも情報が足りないせいで似たような行動をとってしまっている。中には他人とは違う行動をしているものもいるがそういう奴に限ってそいつの足取りを追跡できていない本ばかりである。


 「本当これどうしようかねーこれ」


 まだ見た数は百冊いったばかりとはいえ、今後も似たような内容をあの山脈から漁っていくとなると気が滅入る俺であった。




 ある程度の本を読み、あれからどの程度、読んだだろうかと物思いにふける。


 目はしばしばするし、頭もそろそろ痛くなってきた。手もだるい。


 数多く読んだのとやっぱり大半が似たような内容の物の視点や年代、批評を変えただけのものが多かったせいか、正直どの位読んだかわからない。


 基礎的な物しか置かれていないからというのもある。


 どうしてこう古い本とかはこう大体似た内容の追跡研究とか本を読んだ時の視点などが変わってるだけの奴が多いのだろうか?


 確かに多角的に物事を判断できるし、追跡研究のおかげでデータが更新されて詳細になっているから助かりはするのだがこう、量が多くてはキツイ以外の何物でもない。


 それに実験結果などは今の俺にはやくに余りたたないのではないのだろうか? というか正直に言わせてもらえば。


  「めんどくさいから結果だけ書かれている本ないかなぁ……」


 生来のそして二番目の姉譲りの必要最低限しかやりたくないというやる気のなさから二百冊超えた辺りでギブアップしそうになる。しかし、テレザやエニグマ達ももう少し頑張っているだろうからと、ここはぐっとこらえて今日は頑張ろうとする。


 「うおっやっちまったなぁ、本だなが崩れた」


 ただそれでも、いつもの百倍は分厚い本を読んでいる(そしてそれらの大半が似たような内容)のせいで流石に精神的な圧がかかっているのか少し手元が狂う。


 その結果、手を伸ばそうとした本の隣の書物がまるでドミノの如く連鎖的に崩れ落ちる。



  「落ちたのが少量だけで助かった。アレ?」



 少々ページ数の少ない古いくせにどこかあまり読まれて無さそうな奇妙な本が独特な落ち方で落ちていた。


 なんかあれだけ、規則的に落ちてないな。それに、どこか独特なオーラみたいなのが……


 とりあえず手に取ってみてみる。タイトルは異世界人録?


 何か今までの本とは別の事が書かれていそうなのでめくってみた。


 本には、要約すると、これまでこの世界に来たチキュウ人の中で確認できた人物に限り、ここに記そうと思う。と書かれてあった。


 「これってまさか!」


 そこには、歴代の此処に来たチキュウ人の簡易的な人物評などが書かれていた。前述した傭兵などをしながら遺跡めぐりをした異世界人の簡易的ながらも、他の書物よりも多く情報が載ってあったりもした。


 ただ、所々で翻訳ミスなどがあったのかステーチ出身だとか色々面白いことになっている。帰還に関する情報は書かれていなかったもののこの本自体は大変役立つものである。他にも、


 「えーっとチキュウ人ノブ……」


 サルの獣人とタヌキの獣人を連れた五十代の男性で、森のマテリアルスピリット、ランに連れられて遠く東の地に向かう。後に、東の地で飛龍国と呼ばれる国の王となり、そこで十二の神に連なる将軍をという地位を作る。


 戦闘力ものすさまじいものがあり、愛宕の剣と銃なる武器を創造して攻撃することに特化していた。ノブ曰く、信仰していた神の力だという。


 彼の洞察力や行動力は非凡なものがあり、かつての一大宗教の腐敗ぶりにも彼はその鋭い観察眼で気づき、特に腐敗の酷い地域では教会を燃やしていたとも言われている。


 当時はかの宗教は一大宗教であり、人間は大体その宗教に入信していた為、狂人、新たなる魔王とも呼ばれていた。しかしそういうものがいると必ず、「儂を罵りたくば六天の魔王、あるいはうつけとでも言うがいい」と言っていたらしい。

 飛龍国の元となった国々は元人間のみの国でありながらノブの気質上数多くの種族が住むこととなった。他にもノブの政により、商売と踊りについて盛んでもある。「故に今でもかの国は、異世界情緒にあふれているらしい。か」


 「探していれば結構掘り出し物もあるんだなぁ……」


 なーんかどこかで聞いた事のある名前が出てきた気がするが気にしない方がいいのだろう。飛龍国か、いずれ行ってみたいものである。


 改めて、この大図書館は伊達や酔狂ではない事を思い知らされる。できれば、本来の目的にも適った物が置いてあるといいのだが、それらは後に期待しよう。

大体の呼ばれた後のチキュウ人達の行動が一緒なのはそう誘導させられたのもある

後、マテリアスピリットってのはぶっちゃけエルフの事です。


ノブいったい何者なんだ・・・


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