誰が結界を張ったのか
「テレザ、エニグマ行こう」
「あ、ああ」
「ふえっ?レイさん??」
察してくれたエニグマとは違い。流石に気絶してたのもあるが困惑するテレザ、幽霊が苦手とはいえ、放って行くというのも流石に気が引けるのだろう。腰が引けながらも心配そうにホロを見ていた。
「もう帰っちゃうホー?」
帰る。その言葉を聞き、目に見えるほど気落ちしていた。周囲の気温も下がり、テレザが見たら多分、気を失うだろうという風体だ。
「ああ、先を急いでる事を思い出した。それと、聞いた特徴の人間をできる限り探しておくよ!見つかるかわからないから期待はしないでほしい」
「そうかホー!待ってるホー!!」
その言葉に気を良くしたのかホロは部屋を縦横無尽に駆け巡る。壁にぶつかったりしてピンボールの如きその光景はどこか恐ろしく、はうっと、テレザは今度こそ気を失った。
「せっかくだから送っていくホー。君たちも塔の西の町付近でいいホー?」
「そんなに明確な場所までこの人数を何も使わずにテレポートできるのかい!?」
「なんかできるんだホー」
結構、難しい事らしくエニグマが飛び起きた。道具も何も使わずに、複数の他者を何も見えない位置から送り届ける事は難しく。ゴーストになると更に難易度が高くなるらしい。
そんな事ができるホロは生前、どんな人だったんだろう。
せっかくなので送って貰うことにした。
「それじゃあ行くホー」
本当に魔方陣なども使用せずに転移の魔法を使用する。流石にこれだと彼が凄い魔法の担い手であることが実感できる。
「あっありがとうございます」
なんとか復活したテレザが息絶え絶えと言った感じでお礼を言う。
「すまない」驚きながらも息絶え絶えと言った感じでエニグマも礼を言っていた。
「見つけられたら必ず伝えるよぉー」俺の番でちょうど転送され初めたらしく言葉がゆがむ。
「うん君たちに逢えてよかったホー 懐かしい面影の少年とその仲間たt」
後半の言葉は聞き取り辛かった。だけど深い信愛を込めて言われたような気がする。なので精一杯笑いかける。
「「「「また」なー」ねー」」ホー」最後につく言葉は違っても再会を願っていう言葉は変わらない。こうして俺たちはエリジアに着いた。
「うん。本当に懐かしい人たちだったホー」
そうホロは、そういえばこんなことがあったっけ?とホロは思いかえす。「なぁ、お前は何故ここにいる?」そう、眩しい狼を連れた少年は問う。
隣の眩しい狼は、「またか」と呟き、その後つまらなさそうに居眠りをはじめた。どうやら長い話は嫌いな様子だ。
「僕はお墓から離れられないんだホー」「お墓ごと持っていくとかできないのか?」
その意見は試したことなかったので試してみたが、それはできない事が分かった。少年は次善策として「なら、お前が待っている奴を私が旅のついでに探しておくよ。その間何度か君の所による。」
その際、名前を交換しようとしたが自分に名前がない事に気付いた。彼に自分の種族聞いてそれを省略したものを自身の名前とした。
そして月日が流れ、宣言通り何度も彼は来てくれた。でも、なぜか彼が来るたびに、そして彼が来なくても動物が寄ってくるたびに何かが失われてしまう感覚にに襲われた。
その事を彼に説明すると驚いて何かの魔法式を考え始める。その魔法によって、動物が来なくなったどうやら人除けの魔法をしたらしい。流石にそれに怒った自分は初めてケンカというものをした気がする。
結果こそ惨敗したものの今ではいい思い出だと僕は考える。一応この結界は彼が寄せたいと思う生き物のみ、結界を認識し、通り抜ける事が出来るらしい。
そして何より、この結界内では他者により魂が削られていく事が少ないらしい。この現象が起こっていると彼から聞いた時、もう一つ彼から提案されたことがある。「私の持っている鎌には、直接霊魂を別の空間に送り届ける能力がある。それで君を霊界に送り届けることが可能だ。だから」
それに対して僕は何と答えただろうか?「多分、いらないホー」と答えた気がする。確かに、死んだ以上この世に留まっている事は苦痛だ。他者に触れ合えばいつかは霧散していく命、無意味に一人で長い時を過ごすことは空しい。
だけど、それでももしかしたら奇跡が起きて、会いたい人に出会えるかもしれないのだ。ならば「少ないかもだけど賭けてみたいんだホー」そういったのだ。
その時の彼の顔は少々悲しそうだっただけど、その選択に納得し、称えてくれた。「君の長いが叶いますように私も願っているよ」と、本当に祈るように言ってくれたのだ。僕は本当にいい友達を持った。
その後も、多く彼はここに立ち寄ってくれた。あの時の狼がいっしょの時も、いかつい男の人がいっしょの時もあった。翼の生えた女性を連れてきたこともあった。
だけど、最近、いやここ百年は会いに来てもらってないような気がする。もう彼は、僕の事なんか忘れてしまったのだろうか?
朝も夜も季節さえここではわかりにくい。長く長く此処に独りであった気がする。だけど、そんな長い時のなかで、
「何かの結界らしきものがうっすらと貼ってあるような気がする。」
「言われてみると確かにそうですね。私も感じます」
言葉が聞こえる。その中でも「どんな感じの結界なんだ?」どこか聞いた事が有るような気もする。だから、「別に気にしてないホー」と、ついつい声をかけてしまったんだ。
「君は来なくなってしまったけど、君の面影がする子は来てくれた。本当にいい友達を持ったと思うホー『ナナセ』」
届くかどうかも分からずに風に乗せて、友の名前を呼ぶ、ホロだった。
ネタバレ
実は当初、ナナセはホロの事を新種のモンスターだと思って、大会の備えとして捕まえる為、この地に来ていた。




