モノの生まれた意味
そして、今の説明と、かつてエリーゼさんの所で聞いた父さんの魔術の適正について思い出す。
「そして、授けるという特性を活かし、銀流の腕輪で、自分とは違う自分が二人いる事にして魔術の使用を行おうとしたわけか」
人そのままではなく、自分の分身として自律稼働する魔導書として使う事で自身に掛かる属性の楔に掛からない様にしたのだろう。
「デッキに一枚しか入れてはならないカードがあったとして、それと違う名前のカードになる事で制限を外したという事?」
「そ。それでも概念は腕輪をナナセと半ば認識してしまい。案の定使えませんでした。しかし、他人に関しては、その目論見通り使えたのでそっちにそのまま転用したってわけ」
せっかく発掘してまで使おうとした技術は自分の為にならなかった。その事や魔術特性の件を考えると。
「父さんも万能という訳ではなかったんだな……」
「自分の見た限りでは、本当に何でもできた父。そう言うモノが幻想を与えるんだねェ」
「友の目線から語らせてもらえば、確かにアイツのできる事は多く、そしてその完成度は他者より高みに存在していたけど、きちんとできない事も多かったよ」
俺の言葉に、玖珂が俺の視線に立って、エニグマが父さんの友の視点から語る。そう、当たり前のことであるはずなのに、受け入れきれぬのは、きっと玖珂の言う通り、あの人に幻想を持ってるからなんだろうなぁ。
手に熱がこもり、何か周囲に違和を感じる。
それは視線。どうやら何時の間にか気は沈み、皆に迷惑をかけていたようだ。
じろじろ三人に視られている感覚が、俺を現実に引き戻す。
「視んな、見んな」
「皆!?」
「それじゃあ、次の説明を続けようぜ!!」
「無視は良くないと思う」
玖珂の言葉は、例え一言でも拾うと大惨事なので無視しようと思う。
「そうだねって言っても他のは良く知らないんだけどね」
「はいはーい! 私、自分のならある程度知ってる」
「ユミさん、自分の以外も結構知ってたような?」
右手、人差し指を頬に当てながらついつい玖珂のセリフに疑問を持ち、突っ込んでしまうテレザ。
まぁ、どうとでもなればいいよ?
「私のはまぁ見ての通り普通の銃だね。特性としては能力の放出とルールの打ち込みかな?」
そう、諦めていたわけだが、意外とすんなり話は進む。つまり、これは父さんが持つ、力の最優先を更に指向性を持たせて射出できる道具という訳だそうだ。
「能力の優先順位?」
「ナナセさんがに神としての属性を得てから発現したモノ、というか神の側に属する者たちの基本能力である優先権限だね」
つまり、神はその行いや概念を変更する際、例えば、矛盾のような事例等が発生した際は、神が造った方が優先されるという事らしい。
様はその、父さんが神になっていた時持っていた絶対優先権限を銃に付属する事で他人に貸与する事を可能にした武器の試作品。
「試作型の神殺しの武器って訳だよ。コレ」
ついでに使われている遺跡技術は、個人特性の複製と授与。ゲームとかで言うユニークスキルとかの才能を赤の他人に与えられるか?と言う実験から生まれた技術を元に、自身の種族特性を物質に付与、そして持った人間の特性を相手にも付与出来る様にバレル型に改造したモノらしい。
「名づけて、サフィルトーラス・肆式でいいかな?」
「何だそれ?」
「古代語で蒼き怪鳥、ですか」
「そっいい名前でしょ」
テレザに指を突出し吼える玖珂。まぁ意味は分かったが
「四の意味は?」
「コレ、造られて四回目でようやく小型化した奴だから」
銃のトリガー部分に指を突っ込みくるくる回すその姿は果てしなく危なっかしい。言ってる内容がそのせいで頭に入り辛かったが、アレできるまでに大分でかかったらしい。
そもそも、元となった遺跡遺産自体が移植するための実験用の寝台だったとか。
なんで寝台が銃に改造できるんだよ。サルが人になるよりミッシングリンクあるだろうが!
他にもその銃には秘密が色々あるっぽいが、玖珂自体が、あからさまに隠そうとしてる。その為、聞くに聞けなかった。しょうがないので、気づいている俺とエニグマは今は黙っておこうと決め顔を見合わせるしかないのだった。
顔を見合わせたついでにとうとう出番はエニグマに回ってきた。
「あっそうそう、僕が貰った物に関しては秘密だから」
「ぶーぶー、ノリが悪いぞ!エっちゃん」
何故か貰った物を秘密にする。その行為を行うエニグマに、不審な物を一瞬だが感じてしまったのは俺も同じなので皆の不満も分かる。
「どーする?」
「私に依存はありません」
だが、カードを貰った時の表情が確かに、何かありそうだったので納得はしてしまう。テレザもそう思っていたのか視線が合い意思疎通できたんだが
「異議あり!」
これですよ
「いい加減にしなよ。青二才」
「くっこちらに合わせたキレ芸と解ってても怖い!」
分かってるなら怖がらなくても、いやあの顔と口調は確かに怖いな。あえて玖珂の言葉に乗っかってまで言いたくない事らしいどうするかな?
「困らせてすまない。ただ、今言える事はこのカードは唯一ナナセ由来のカードではないという事かな?」
「使われてる技術は存在の投影だよ。元々の開発目的は死者の蘇生もしくは偉人の保存を目的に作られた技術かな」
困った顔で告げるエニグマに被せる様に由来を述べる玖珂。何故知ってるのか。眉間による皺は玖珂に対しての威嚇か、それとも『カードに対して』の謝罪か。
「ああ、やっぱりその目で見てた訳か」
「それは質量の桁が私達のと違って桁外れなんだから見えちゃうんだよ」
どうやら本当にヤバめなもののようである。
「何時かは説明してくれよ?」
「すまない、」
そしてありがとう、ポツリとつぶやかられる言葉に仲間として相対したい。
「ま、気にすんな」
無難に返したけどな。咄嗟には上手い返しは思いつかないからなぁ。
「まぁとりあえず飛ばすとして、次は」
「レイ君だよー」
足をバタバタさせ、隣でそうほざく玖珂。まぁ気にしてもはじまらん。
「取り敢えず、現物を出すか・・・・・・こう、だっけ」
手のひらをみんなにかざし、力を集め表出する。力は光となり、それは淡く溢れ集結する。回顧の念さえ覚えるその光景は、燈籠の形に収束した後も変わらない。
「改めてきちんと見たらそこそこボロボロだな」
「修繕を重ねてますって感じだね」
「私は好きですよ? 歳と経験を重ねた。そういう感じをうけますけど私は良いと思います!」
それに関しては俺も同感だ。これはボロボロの方が温かみもあって、らしいと思える。何故そう思うのかは知らないが。まぁ、それも聞けばいいか。
「さて、一番これが謎っぽいけどこれに関して教えてくれ」
「あー、ゴメン僕もそれ詳しくは知らないんだ」
そう言うと正座の状態からすーっとバック移動し始めて遠ざかるエニグマ。とても素敵な技ですね? とか言ってもはじまらんな。
エニグマも知らない中で魔力光器・武相燈籠父さんはこれに関しては何がしかの思いが込められているような気がする。だからきっと過去に何某かあり、エニグマもそれを知ってると思ったのだが、知らないようである。
「しかし、ユミ、君はどうかな?」
エニグマもこれに関しての情報が欲しいようで、代打に白羽の矢が立った。それは、今まで散々説明を遮り、秘匿したいと思って来た情報も暴いてきた玖珂。
一体今度はどの様な情報が彼女の口からもたらされるのだろうか?
「え、なんか言った」
もたらされるのだろうか!




