表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

不器用な両思いのふたり。

不器用な両思いのふたり。-愛果Side-

作者: 心花

亮Sideからお読み頂いた方が読みやすいかも・・・です。

うわぁ、どうしよう。ホントに来ちゃった、亮くんの部屋…


付き合って3ヶ月。友達にも、そろそろマンネリするころじゃない?なんて言われて

正直ちょっと不安になってる。


だって…マンネリどころか、キスだってまだしたことない。

私が一方的に好きになって、一方的に懐いて…付き合うことになった。


亮くんは…私のこと、どう思っているんだろう?

ずっと気になってるけど、聞いたら終わっちゃうような気がして…ずっと聞けないでいる。


けれど、せっかく付き合えたんだもん。

やっぱりもっと仲良くなりたいし、亮くんのこと、もっと知りたい。


だから…


“今度、亮くんの部屋に遊びに行ってみたいな。”思い切って言ってみた。


そしたら亮くんは


“あー部屋?別にいいけど…なんもない部屋だぞ?"って、あっさりOKしてくれた。



私は…男の子の部屋に来るなんてはじめてで、何着て行ったらいいんだろうとか

いろいろ悩んだのに、亮くんはいつもよりラフな格好で。


でも、そんなラフな格好を着こなしちゃうくらいに

スタイルのいい亮くんが また カッコよく思ったりしちゃって。


ヤバイ、完璧、惚れちゃってる。



亮くんの部屋は、すごくスッキリしてて物がキレイに整頓されていた。


そんな部屋の本棚には、たくさん本が並んでいて

あぁ、本が好きなんだなぁって思ったり、


部屋の片隅に置かれたギターを見ると

わぁ、ギターとか弾くんだぁと思ったり。


亮くんの知らなかった一面が知れて、嬉しくなった。



けど…


さっきからずっと本を読んでる亮くん。


私には興味がないのかなぁなんて、また、ちょっと不安になったり

さみしくて、構って欲しくなっちゃったり…


そしたらイタズラ心みたいなのがムクムクと湧いて来ちゃって

  

「だーれだっ」


亮くんの後ろから、肩に抱きついちゃった。


う、わ、抱きついちゃった。

いきなり抱きつくとか…やりすぎだったかなぁ。


そんなことを思うとドキドキしてきた。


けど。


「ハイハイ。愛果だろ。」


亮くんは、あっさりと私の両腕から抜け出してしまった。


「もぉー冷たーい。せっかく2人きりなのにっ」


ちょっとおどけて言ってみたけど…

内心、やっぱり私には興味がないのかなぁなんて、またチクリと胸が痛んだ。


そしたら…


私の顔を見ながら、険しい顔してる亮くん…


読書の邪魔して、怒らせちゃったのかなぁ?

それとも…嫌われちゃった?どうしよう…


言いようのない不安に襲われて、空気を変えたくなって


「もぉーごめんってば。そんな顔しないでよ。読書の邪魔しちゃってごめんね?

大人しくしてるから・・・続き、読んで?」


そう言ってみた…。


そしたら亮くんは


「ああ」


とだけ返事して、また本を読み始めてしまった。



あーどうしよう。怒らせちゃったかなぁ。

それとも私には興味がないだけなのかなぁ。


亮くんの側に居たいけど、距離感もわかんない。

かといって、亮くんの部屋のもの…興味はあるけど…

じろじろ見てイヤがられるのもイヤだし…


そう、モヤモヤと考え込んでいたら、亮くんの声。


「なぁ、愛果。退屈か?」

「え?」


う、わ、どうしよう。これって、亮くんなりに私を気遣ってくれたんだよね?

けど…“退屈”なんて答えたら、亮くんの事だもん、絶対 “帰るか?”とか言いそうだ…


そんなのイヤ。


だから…イチカバチカ、聞いてみることにした。


「あ、えと・・・。邪魔、しないから・・・隣、座ってもい?」


すると


「どうぞ。」


淡々とした亮くんの返事。



え。う、わ。やった。

どうしよう、嬉しくて自然と口元が緩んでしまう。



- ストンッ -



ドキドキしながら、私は亮くんの隣に座った。


その途端、どうしようもなく胸がドキドキ高鳴り出して。

心臓とか、飛び出しちゃいそうで。


亮くんに、私の胸の音が聞こえちゃうんじゃないかとか思ってしまう。


けど、さっきまでさみしかったからその反動なのかな…

少し…甘えたくなっちゃって。


彼女なんだし、部屋に入れてくれたんだし、ちょっと触れるくらいならいいかなぁ。


そんなことを考えてたら、ついつい亮くんのひじあたりの服の裾を掴んでしまった。


あ…どーしよ。掴んじゃった。

間がもたないよ。なにか…言わなきゃ!!


そう、思った瞬間……



「離せよっ!!!」



いつもは物静かな亮くんが突然、大きな声でそう言うと…


私の手を勢いよく…振りほどいた。



「・・・・・・・」



ヤバイ、どーしよ。ホントに…怒らせちゃった。

ヤバイ、泣いちゃいそう。けど、ここで泣いたら…ホントに嫌われちゃうっっ


必死に涙を堪えて何も言えなくなった私に、亮くんは追い打ちをかけた。



「帰れ」



亮くんの口から放たれる恐ろしく冷たい声。


「・・・・・」


キラワレ…タ…


こんな亮くん、見たことない。

もう、声なんて出ない。

息もしてるのかさえわかんない。


ただ、顔を伏せた。

もう、頭の中は真っ白で、なんにも考えられない。


そしたら…


「ふ、ふぇ・・・・・」


気付いたら…私は静かに泣き出してしまっていた…


「ご、ごめ・・・なさい。か、帰る・・・ね。」

「ああ」


あーなにやってんだろう。

せっかく亮くんが部屋に入れてくれたのに。

亮くんの邪魔して、嫌がられて、拒絶されて、おまけに…泣き出してしまうなんて。


恋愛のいろはなんてわかんないけど、これだけは知ってる。


“すぐ泣くオンナは嫌われる…”


もう、カンペキ、嫌われちゃったよね…

けど…せめて、謝んなきゃ。


うん。泣いてちゃダメだ。


キッと気持ちを結びなおす。

そして、くるりと振り向くと亮くんに


「ねぇ」


と声を掛けた。



「え?」


亮くんの、びっくりしたような声。

その声は…全然怒ってなくて。いつもの亮くんの声だった。


心の端っこが、少しほっとする。

あぁやっぱり、このまま終わりにしたくない。


「今日は・・・ごめんなさい。えと・・・また、2人で会ってくれる?

それとも・・・私、嫌われちゃったのかな・・・」


そう言う私の言葉に


「え? いや、あー」


亮くんの、戸惑ったような声。そして・・・


「あー・・・ごめん。」


そう続いた。



「え・・・」


思わずそう声が出る。これって…‘嫌われちゃったのかな’って言葉に

やんわりと‘そうなんだ’って言われたのかな。


そう不安になった時。亮くんは、私の不安を打ち消すように


「あ!えとっ!あーーーあの!その、なんだ、えー 嫌いになんて・・・なって、ない。

むしろ・・・その、逆・・・。」


そう、言った。


いつもクールな亮くんが…その時は、すごく…しどろもどろしてて。

でも、一生懸命で。


私の張り詰めるように痛んでいた心を…ほどいてくれた。



「・・・・・・ほん、と?」


私の目から、また涙が溢れてきた。

さっきまでとは違う、あたたかい涙。


そして・・・

緊張が溶けたら、急にすごく嬉しくなっちゃって。


「ねぇ、ホント?私、嫌われてない?その逆って、ホント?

えっと、その、それは・・・好きって・・・こと?」


伺うように聞いた私の言葉に


「ああ」


亮くんは、そう返事をくれた。



あぁ、ウソみたい。

今まで…亮くんは私のことをどう思ってるんだろうって、ずっと不安だった。

興味ないのかなって・・・ずっと、不安だったんだ。


不安から開放された私の心は、嬉しさでいっぱいになった。


「えへへ、嬉しい。私ばっかりが、好きなのかと思ってた。」

「いや、そんなことは・・・」


嬉しくて、気持ちがふわふわしてくるよ。


「だって亮くん、全然好きだとか言ってくれないんだもん。」

「あ、いや、それは・・・」


私の、少し意地悪な言葉に、言葉を探す亮くん。


「ふふふっ。でもね、そんなところも・・・好きだよ。」

「え?」


はじめて…亮くんの気持ちを知れて嬉しくなる。

嬉しくて、私の気持ちも知っていて欲しくなる。


「亮くんてね、言葉数も少ないし、何を考えてるのか分かんないし、

近寄りがたい雰囲気もあるんだけどね」

「ああ。」


「でもね、言葉数が少ないのは要点をまとめる力があるからで、

ぶっきらぼうに見えるけど、実は心の中では相手のことちゃんと考えてくれてて。

さっきだって・・・私を気遣って‘退屈か?’って、聞いてくれたんでしょ?」


「あー、まぁ、そうだな。」


あぁ、はじめて亮くんと…こんな会話をする気がする。

どんどん亮くんへの好きが…溢れてくるよ。


「それにね。言葉数は少ないけど、いつもちゃんと私の言葉聞いてくれてて、必ず返事してくれて。

そして私のお願いとか・・・受け入れてくれるじゃない。

だからっていいなりになるわけでもなくて、ちゃんと自分の芯は持ってて。


そーゆー芯が強くてあったかいとこが・・・好き。」


そう続ける私の言葉を聞きながら、だんだん照れてる亮くんが、すごく…可愛く思えてきて。

また、ちょっとイタズラ心が芽生えてきたりして。


「あとね・・・」

「え?」


「今みたいに、時々、クールなフリして実は内心照れてるとこ・・・すごく・・・だいすき。」

「・・・・・・ごはっ///」


私の告白に…亮くんは、声にならない返事をした。

あぁ、やっぱり、すごくすごく…亮くんが…好き。


そう思った時。


「あ・・・愛果。やっぱり・・・もう少しうちに、いろよ。後で・・・送って行くから・・・」


思いがけない亮くんの言葉に


「うん!」


返事する声が弾んだ。



すると再びソファーに座る亮くんが


「おいで、愛果。」


そう私を呼んだ。



いつも私からばかり懐くから…亮くんから呼ばれるのははじめてで

ドキドキしてしまう。


私は静かに、亮くんの隣に座った。

すると・・・


「さっき、俺の隣に座ったとき、何か言おうとしなかった?」


亮くんが、そう聞いてきた。


あぁ、ドキドキする。けど…大丈夫。

今度は…ちゃんと言えるよ。



「え?あ、あのね・・・」


私は、ドキドキしながら亮くんの肩に寄りかかった。

そして


「こうしてもいい?って・・・聞きたかったの。」

「そっか。」


いつも通りの、淡々とした亮くんの言葉。

だけどその言葉は…いつもよりあったかかった。


そして、亮くんは肩に寄りかかる私の頭を、優しく抱き寄せてくれた。


「え?亮くん、こーゆーの、嫌がるかと思ってた・・・」

思わずびっくりして、そんな言葉が出る。


「いや、そんなことないよ。」

そんな亮くんの言葉に、幸せな気持ちになる。



今まで、亮くんは私のこと…どう思ってるんだろうって、そればかりが不安だった。

けれど…私も、嫌われるのが怖くて、私の心の中を…

ずっと伝えられてなかった気がする。


やっと…ふたりの気持ちが通じ合えた気がするよ。


亮くんの気持ちが聞けたから…こんなにも、安心する。

だから…ただ、ふたりでいるだけで、こんなにも…心地いい。


やっぱり私…亮くんのことが…



だいすき。




-Fin-






最後まで読んでくださりありがとうございます。


感想など聞かせていただけると・・・励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 早速拝見しに伺いましたー。 愛果ちゃんの方は、女の子らしいかわいらしい作品ですね。 心象がよく伝わってきます。 自分も視点変えで作品作りましたが、 この作品を見て、もうちょっと違う観点から…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ