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明日 1

部屋に入るとミノリはすやすやと眠ったまま。

私はものすごい罪悪感を覚える。

ごめんミノリ。チュウされたよゴメン。

なんかすごいウソついてるよミノリに。

おばちゃんなのにこんな…

はじめて男の子と付き合い始めた女子高生のようにドキドキして

バカみたいだ。


バカみたいだし、ウソみたいだ。

あんまりウソみたいに思えるから

私はケイタイを開けて水本の誘いのメールをもう一度見てみる。

見ているとメールが来た。水本からだ!

焦って開ける。ものすごく嬉しがっている私がいる。


件名はなくて『美月ちゃん寝た?』

返信する。『今寝るとこ』

『オレは嬉し過ぎてよけい眠れなくなった』


何て返したらいいか分からなくて…いや本当はわかっている。

でも、「私も」とか絶対に返せなくて少し間を開けたら

また水本からメールだ。

『美月ちゃんのカラダの感触がずっとあるから

夢にも見れるようにいろいろ妄想しながら寝ます

おやすみ』

もう本当に何て返したらいいかわからない。

私は『おやすみ』だけ返信して電気を消した。



私は妄想はしなかった。

水本がぎゅっと私を抱きしめて、

そしてキスをしてきたところを何回も何回も何回も、

繰り返し繰り返し思い出した。


水本の腕の、胸の、頬の、唇の、舌の感覚を思い出して、

自分の体温が上がったり下がったりしているように感じた。

水本が耳元で囁くように呼んでくれた私の名前が

ずっと耳に残っている。


どうしょうチュウしてしまった。

あ~…でもミニスカパンツの女の子の事はまだ気になるな。

いや、その女の子でなくても水本をいいと思う女の子は

たくさんいるだろうし、

そういう事をずっと気にしながら

水本を今よりもっと好きになったらそれはとても怖い。


それでも数え切れないくらい水本とのキスを思い出して

途中からチラチラと、高森美々とミニスカパンツの子と

ミノリが嘘で言い出した髪の長い女の子の事まで考えて、

やっと眠れた私はもちろん夢を見た。



夢の中ではミノリと元夫が、

河原の広い公園でキャッチボールをしていた。

私はそれを芝生に座って見ているところだ。

ミノリは球を落とすばっかりだった。

でも夫は「大丈夫」とか「もう1回」とか

何とか続けさせようとボールを投げてくれている。

空は晴れて、芝生に手をついた私の手のひらには

リアルな渇いた芝生の感触もあった。


ふと見ると、ミノリ達の向こうでオレンジ姉妹も

キャッチボールを始めている。

どちらも剛速球だ。パン、パン、と

グローブに当たる球の音がすごい。

そしてその向こうには高森美々とリョウだ。

高森姉弟も仲良くキャッチボールをしている。

向こうのベンチには管理人夫妻。

こちらも仲良く何かを食べているところだ。


何だか私だけ仲間はずれな感じだ。寂しい気持ちがする。

やまぶき荘の人々が勢ぞろいなのに水本がいない。

夢の中の私は、水本が髪の長いミニスカパンツの女の子と

腕を組んでいるところを想像して、

あ~あの子のところに行っちゃったか…と思っている。

そして、まぁしょうがないか、とも思っていた。


あんまり寂しいので空を見上げるが

空は灰色に曇っていてなおの事寂しくなる。

と、向こうの土手の方からやって来たのは水本だ。

水本!いたんだ、良かった。

良かったとは思ったが、

水本はやってくるなり私の横にぴったりと体を付けて腰を下ろした。

駄目だ、マズい。こんなところをミノリに見られたくない。

が、水本が横から覗き込むようにして私にキスしてきた。

夕べの優しいキスとは違って

激しくて、その先の行為に進むためのキスだ。

駄目だ、本当にマズい。なのに私は…


水本に抵抗しようか抵抗しないか迷っているところで目が覚めた。

最低だ私。

そりゃ抵抗しないといけないだろう全力で。



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