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すごく近付く人 1

水本がそっと、光に伸ばしたい私の手を握って来た。

驚いて水本を見てしまう。

水本はにこっと笑ったが、私はダメだと思った。

何がダメかというと、この光を少しでも

長く見ておかないとダメだと言う事。

すぐに光に目を戻す。

水本に繋がれた手はそのままだ。


私はやっぱりもう結構、水本の事を好きになっているのだな。

こんな光の下で手を繋いでくれる人がいるなんて、

とても嬉しい。ミニスカパンツの事は気になるけど。


やがてゆっくりと高森リョウは回していた指の動きを止めた。

光もゆっくりと回るのを止める。

あぁ残念、と思う。

が、高森リョウの指の指す先にしゅうううっと光が集まった。

彼はゆっくりと指をそのまま下に持って来た。

光もそれに合わせてゆっくりと降りてくる。


オレンジ姉妹が声を上げる。「「ふわあああああああ!」」

私もオレンジ姉妹と同じように心の中では声を上げていた。

光はゆっくりと降りて、赤いバラの蕾の上で止まった。

そこで高森リョウは指していた手を

いったんぎゅっと握りしめて拳を作り、

握りしめていた何かを止まった光に放り投げるようなしぐさをした。

光はストン、とバラの蕾に落ちた。

すると、ぽわ~~~とバラの蕾が膨らみ、

ゆっくりとそれは大輪のバラになった。


ぎゅううっと水本が手を握り締めてきたが

私はそれを振りほどいて拍手をした。

やっぱり魔法だな。歓迎会の手品も魔法だったし、

月夜の公園で黒猫を出したのも…

じゃあミノリにウサギを出させたのも魔法?


ウサギがパッとミノリの手から飛んで降り

「あっ」とミノリが声を上げた。「オレンジアイス!」

ミノリとオレンジ姉妹がテーブルの下に手を伸ばして

ウサギを捕まえようとするがウサギはすばしこくて捕まらない。

部屋の明かりがパッとついた。

天井の緑色のプラネタリウムも消えた。


青い花瓶から大輪のバラを取って

高森リョウが私にくれた。

「ありがとう」

「いいえ、どういたしまして。ミノリくんは良い子だね」

「ありがとう」と私はもう1回言った。



ウサギは逃げ回ったあげく、結局ミカちゃんかリカちゃんか、

私にはわからなかったがどちらかに捕まえられて

そのまま持って帰られる事になった。

オレンジ母に怒られないといいけど。



部屋に戻るが、水本が自分の部屋には入ろうとしない。

「ミノリ!」とミノリを呼びとめた。「大事な話があるんだよ」

「…母さんに?」

「そう、まぁ美月ちゃんにしたい話だけど

ミノリにも聞いて欲しい。美月ちゃん…もう~

リョウさんに花とかもらったりして」

私はあの光が集まったバラを大事に持っていた。



「カオルくん、カオちゃんて呼ばれてたね。

女の子みたい」ミノリが言った。

「うるせぇよ。…あーでも美月ちゃんにカオちゃんて言われたら

すげーイイかも」

「キモっ」

「キモくねーって。ミノリもミノちゃんて男に言われたら

なんかバカにされてるような気がするかもだけど

好きな女子に言われてみ?なんかうれしいから」

「…僕たちに話したい事って何?」

「ここじゃ恥ずかしいから部屋の中に入れて」


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