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魔法の夜 4

高森美々と水本がいとこだという事は

当然水本と高森リョウもいとこになる。

私は二人の顔を見比べるが、二人は全く似ていない。


ミノリがウサギの背を撫でながら言った。

「でも、うちの父さんの方がかっこいいよ」

ハハハ、と高森リョウは笑って「そっか~」と言った。


水本は笑わない。

笑わないどころかあからさまに機嫌が悪くなっている。

ミノリの視線まで腰を落として、

ミノリを覗き込むようにして静かに言った。

「ミノリ。美月ちゃんの事を

ちゃんと大事に思ってるオレの方が俄然かっこいいから」

「カオル君、今日パンツ見えそうなミニスカの女の人が

何回もチャイム鳴らしてたよ」

「…それはちゃんと美月ちゃんにも説明したよ」


ミノリが私の顔を見上げる。

私はそれ以上何も言うな、

という意味でミノリに小さく首を振ると

ミノリがちょっと笑い私に白目を向いて見せた。

そして今度は水本を見上げて言った。

「パンツミニスカの女の人と、

また別な女の人も来てたよ。髪が長い人」

マジで!と心の中で叫ぶ私。二人もか?モテモテじゃん水本。

早いうちにそういう事がわかって良かった。

水本の言葉に乗せられて水本の事をもっと好きになっていたら

離婚したばっかりなのにまた哀しい思いをしなきゃいけないとこだった。


水本は無言でじっとミノリを見つめてから言った。

「ウソつくなミノリ」

へへっとミノリが笑った。「ウソだけどね」

ウソなのか!


「なぁミノリ、オレをはめようとしたよな?

そんなにオレが美月ちゃん好きなのが嫌なの?」

ミノリはウサギに目を落として水本の方は見ない。

「カオちゃん」高森リョウが言った。

カオちゃんて呼ばれてるのか!


「そんなにむきにならない」

高森リョウが水本に言う。「そんなの嫌に決まってるよ。

まだ断然お父さんの事が好きなんだから。

ねぇ?ミノリ君?」

「わかってるよ」とミノリではなく水本が答えた。

「そんなのわかってる。でもオレも一緒にいたい。

もっと仲良くしたい」

「「水本が中学の時に」」とオレンジ姉妹が言った。

「止めろ!!」と水本がすばやく止めにかかったが、

オレンジ姉妹は気にも留めずに続きをしゃべる。

「「好きだったやつにちょっとだけ似てるな」」

そう私を見て言った。


「カオちゃんは」と高森リョウが言う。

「昔から結構美月ちゃんみたいな感じが好きだよね。

それで美々みたいなタイプが一番苦手。

みんなココア飲み終わった?じゃあ閉めにかかるよ?」



高森リョウがパチンと指を鳴らすと部屋が真っ暗になった。

キョロキョロしてしまう。

プラネタリウムみたいな緑の光があるだけ。


高森リョウが天井に手を伸ばし

そこの空気をかき交ぜるような動作をすると

天井に大きなオレンジ色の光の輪が出来た。

さらにそれに向けて人差し指を立て大きく回すようなしぐさをする。

クルリ、と光はゆっくりと回り出し

高森リョウの人差し指の動きに合わせて少しずつスピードを増す。

あっ、と私は声を出しそうになる。

離婚しようと決めた日に見た虹色のうずまきの事を思い出していた。


緑色の星みたいな光と合わさってオレンジ色の光が

クルキラと回る。

あぁ、と思う。綺麗だなとても。

あの時のうずまきと同じくらい綺麗。

ここに誰もいなかったら私は、あの光に手を伸ばすのに。


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