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魔法の夜 3


「「コロッケ~~」」とオレンジ姉妹がいきなり叫んので

オレンジ姉妹以外の全員がビクッとした。子ウサギもだ。

「「名前、コロッケに決定~~」」

オレンジ姉妹が満面の笑顔で言ったがミノリが首を振った。

「ごめん。もう決まってんの。出した時すぐつけたから。

『オレンジアイス』って」

「「へ?」」


「オレンジアイス。もう付けた後だったから変更利かない。

コロッケもすげーいいとは思うんだけど、ごめんね」

「「オレンジじゃないのに?」」

ハハハ、とミノリが笑った。

たぶんオレンジ姉妹が「オレンジじゃないのに」と言ったからだ。

「「じゃあオレンジアイスにしよう」」オレンジ姉妹は結構簡単に了承し

「「オレンジアイス~~」」と繰り返して茶色の子ウサギを呼んだ。



いつのまにか高森リョウが人数分のココアを入れてくれている。

「1個だけ」とミノリが高森リョウに言った。「手品見たいな」

私も見たい。

「「見たい見たい~」」とオレンジ姉妹も言った。

私達は作ってもらったココアの入ったマグを持って

奥の部屋へと移動した。



奥の部屋はうちの奥の部屋と同じで6畳ほどのフローリングだ。

薄緑色のカーテンが引いてあって、

部屋の隅にぐるりと、様々な大きさ、

様々な色の箱が2,3個ずつ積み重ねて置いてあった。

合計で3,40個はあるだろう。


歓迎会の時に見た黒い箱もある。

いや、黒い箱も大小いくつかあるから、

私がそれだと思っているのは違う箱かもしれない。

けれど今その黒い箱を取り出して、物凄く中を見てみたい。

全ての箱に花びらや、ハンカチや、トランプや、

ハトやウサギや猫や子豚までもが詰め込まれていたら、

ちょっと怖い気もする。



高森リョウは、横幅が50センチ、

奥行と深さが30センチくらいの青い箱を取り出して

部屋の隅で私達に背を向けて蓋を開け、

中から何か黒い板のようなものを取り出した。

そして背を向けたままそれを組み立てにかかる。


ほんの10秒程だ。

ほんの10秒程でそれは直径1メートル程、

高さも1メートル程の丸テーブルになった。

私達はその丸テーブルを取り囲んで

マグカップを取りあえず置くように促された。


私達が言う通りにしている間に

高森リョウは小ぶりの青い箱から青い花瓶を取り出し

丸テーブルの上に置いた。

「ちょっと!ちょっと待ってて」と言って

ミノリが元の部屋に戻り子ウサギを抱いてすぐに戻って来た。


高森リョウは赤い、手の平に乗るくらいの小さい箱から

小さく畳まれた赤いハンカチを取り出し宙に投げた。

すぐにそれは、さっと高森リョウの手に落ちて来たかと思うと

1本の赤い、蕾のバラの花になっていた。


「「ぴゅうううううううう!!」」

オレンジ姉妹が指笛を鳴らして、水谷が「うるせえよ」と言う。

「ちょっと明るさ落とすからね」

高森リョウは部屋の照明を落として言った。

「立ったままで悪いけどココアを飲んでしまって。

ゆっくりで良いからね」

コクン、とココアを飲むとあまり甘くなくておいしい。

ラム酒が少し入っているようだった。


高森リョウが黄色い箱から出したキラキラ光る緑色のスカーフを

手元でクルクル回してから放り投げるとそれは

宙でパッと消えて、たぶんおかしな表現かもしれないが

部屋の天井に飛び散り、部屋がプラネタリウムのようになった。

「「ぴゅ…」」指笛を水本が睨んで止めさせる。


緑色の光がチラチラしてとても綺麗だ。

高森リョウが部屋の電気を全部落とした。

6畳しかない部屋がいつの間にか倍くらいの大きさになったように感じた。

ウサギが耳をピンと立ててキョロキョロしている。


私はゆっくりとココアを飲み、ほっこりした気持ちになる。

私の隣のミノリがウサギがおどおどしないように

優しく頭の後ろを撫でていると高森リョウが言った。

「頭じゃなくて背中を撫でてごらん」

ミノリは言われたように優しい目でウサギを覗き込みながら

ゆっくりと背中を撫でた。


ミノリの隣は水本だ。水本が言った。

「リョウさん?オレたち3人並んでると親子に見える?」

「う~~ん」と高森リョウは唸った。

「え、見えないの?」

「すごく正直に言うと見えない。

まぁまぁ正直じゃない言い方をすると、見えない事もない」

「やだな~~」水本が言うと、

ハハハ、と高森リョウは笑ってフォローを入れるように言った。

「そう言うのはきっと、ずっと一緒にいたら

自然にそう見えてくるんだよ」

そう言われて水本はにやにやしている。

私が今夜話した事なんて何にも気にしてなさそうだ。



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