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魔法の夜 2

部屋の中をざっと観察してしまう。

普通の部屋だ。

イメージ的に暗幕引いて骨董品が並べてあるような所を

想像してしまっていた。

髑髏の模型とか、水晶玉とかが置いてあるようなイメージ。


「母さん」私達が入って来た時から

私の顔をチラチラ見ていたミノリが神妙な顔で言った。

「これ、僕が出した」

ミノリがこれ、と指差したのは茶色い子ウサギだった。

「教えてもらったんだよ。ウサギを出す手品」


「どうやって!」

声を張った私にミノリは「しっ!」と口の前で指を立て

答えずココアを飲む。

「ねぇ?どうやって?どこから?」

やはり答えてくれない。

「ねぇお母さんの前でもやって見せて」

ミノリはふっと笑って見せてココアを飲み続ける。

私をからかっているんだろうか?

高森リョウを見るとにっこりとほほ笑み返す。やさしい顔だ。


「ちゃんと話できた?」

高森リョウが私にこっそりと聞いてきたので

私は無言で首を小さく振った。

「ウサギ」と私は高森リョウに聞く。「どんな手品なんですか?」

「可愛いでしょう?」

「リョウさんちの?」

「ううん」高森リョウは笑った。「ミノリ君が出したんだよ」

出す?私の頭にははてなが膨らむ。

「…どうやって?」

「秘密。僕とミノリくんのね」


高森リョウと話す私の腕を水本が無言で自分の方へ引っ張った。

高森リョウはそれを見て優しい苦笑いをする。


「ウサギあげる」ミノリがオレンジ姉妹に言った。

「「マジで!!」」

ウサギの耳がビクンと動いた。

「でもミノリ…」と私は口を挟む。

ミノリが手品で出したかもしれないが、

それはもともと高森リョウが飼うかどうかしていたウサギでしょう?


オレンジ姉妹はその場で二人手を取り合ってぴょんぴょん、

というか、実際にはドスドス飛んで喜んだ。

ウサギはニンジンの葉を食べるのを止めテーブルの端に沿って

トコトコと歩きミノリの前まで来て

クリーム色のマグカップのにおいを嗅いだ。

ミノリがふわっと頭を撫でると

今度は直線距離でニンジンの葉のところに戻り

またもしゃもしゃと食べ始めた。


ミノリが勝手な事を言って、という意味を込めて

高森リョウを見ると

「大丈夫」という感じで私にうんうんとうなずいてくれた。

水本が掴んだままの私の腕をぐん、と引いた。


「その代わりたまに見に行ってもいい?」

ミノリがオレンジ姉妹に聞く。

「「もちろん!!」」


それからオレンジ姉妹はウサギを見ながら

ごにょごにょと話をしている。

水本が掴んでいる腕が変な風にだんだん熱くなってくる。

掴んだまま離さないので私は水本を睨みつけた。

それでも水本が離さないので私は水本の手をそっと掴んで

それを自分の腕から外した。


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