私の気持ち 4
「良いんです」私はまっすぐに水本の顔を見てきっぱりと言った。
「別にそんな事はどうでも」
私はごくごくとビールを飲んだ。
「そんな言い方しないでよ」水本が言う。
「オレは今日の電話の話の続きがしたい。二人きりで」
私だって聞きたいなって思ってたよ。
パンツ見えそうな子の話を聞くまでは。
あの電話だって生徒が来たからって切ったけど
どんな生徒がどんな用事で休憩中の水本のところに来たのか
すごく気になったのだ。
ダメだ。私はブンブンと頭を振った。
ミノリがいたら白目を向いてくれるところだ。
私は高森リョウの部屋に行ったミノリの事を頭の端で考える。
ミノリが、高森リョウのあの動物がたくさん出てきた黒い箱に
押し込められる所を一瞬想像してもう一度ブンブンと頭を振った。
「美月ちゃん」水本が笑っている。
こいつ何で急に笑い出してる?私が頭を振ったからか?
「今日オレのとこに女の子尋ねてきたの、
もしかしたらものすごく気にしてんの?」
私はビールをごくごくと飲む。
気にしてないと私は言えない。
それはものすごく気にしてるからだ。
「すげー嬉しいな」
水本が満面の笑顔で言ってビールを開けてゴクゴクと飲んだ。
「それはオレの事がものすごく気になってるって事だよね?」
「水本」高森美々が静かに言う。「あんたいくつになったの?
ちっちゃい時からずっとバカだよね?」
「お前に言われたくねーよ。
どんなだけ今までお前のフォローを
リョウさんがしてきたと思ってんだよ」
「もしかして…」私は聞いた。「二人は親戚か何かなの?」
二人はいとこなのだと今知った。
そうか、そう言われれば似てるのかも。
え?て言う事は?「もしかしてオレンジ…
リカちゃんとミカちゃんも親戚なの?」
「いや、でもあいつらオレの小学生の時の同級」
「マジで!!」
いつになく声を張った私に二人がビクッとしていて
それが面白くて、酔いも手伝った私はケラケラと笑ってしまった。
「「美月ちゃん?」」と二人が心配してくれる。
「いいなぁ」私は水本に言った。「あの子たちと同級生なんて」
「…そう?」と言った水本がごくごくとビールを飲み干してしまう。
「ごめん水本くん。ビール3本しかなかったの。
泡盛ならあるんだけど、飲む?」
「美月ちゃん泡盛飲むの?意外だね。ていうか
オレが飲むよりも、オレは美月ちゃんが泡盛飲んでるとこ見てたいな」
「キモっ!!」高森美々が吐き捨てるように言った。
「ていう事で」私は話をまとめにかかる。
「私の言いたい事わかってもらえました…よね?」
「「お友達からって事でしょ?」」二人が言う。
う~~ん…まぁそうなんだけど…
「ていうかさ、」水本は言った。「美月ちゃんが気にしてるのは
オレのとこに今日女の子が尋ねて来たって事なんだよね?」
「…」
「それで普通の付き合いを…
みたいな事を今更言い出してたんだよね?
オレがやたら美月ちゃんを好き好き言い出してたのに
他の子とも付き合ってると思って怒ってるだけでしょ?」
ダメだ。ここで紅くなったら。
高森美々が口を挟む。「自意識過剰。バカじゃん」
「美月ちゃん」水本が私だけを見て優しくにっこりと笑った。
「今日の午後電話で話した時、オレは美月ちゃんが
すぐ隣にいるような温かさを感じたんだよ?
しゃべったのは少しだったのに、
電話を切った後もその温かさはずっと続いてた」
ぐらん、と私の心が揺れた。




