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休日 2

「ミノリ~~」二人きりに戻った部屋で私はミノリをなじる。

「お父さんに会うとかいうウソ止めてよね。

なんか寂しくなるじゃん」

「母さんだってついたじゃん。同じウソ」

「あんたがついたからじゃん!」

まあそのおかげで二人とも帰ったけど。



「「焼き立てのパン食べたかったね」」

ミノリと私は一緒に言って一緒に笑った。

「どうする?今日どこ行く?」私は聞いた。

ずっと部屋に居たらウソついたのばれるんだから」

「う~~ん」と真剣に悩むミノリ。

「父さんに電話してみようかな。

仕事やっぱり無しになったかもしれないし」

「もう止めなよ。また今度お互い『会いたい!』って

気持ちになった時でいいじゃん」

「母さん、ならないんでしょ?そんな風には」

そんなに冷たく結論を出さないで欲しいな小3男子。

この子をこんな無邪気じゃない感じにしてしまったのは私だけど。

ごめんミノリ。でもお母さんはあんたがいて良かった。



「おにぎり作ってどこか行く?お母さんバトミントンしたいな」

「母さんと二人か…」と心の底から残念そうな声を出すミノリ。

さんざん迷って郊外のショッピングモールに行く事に

決めたときにミノリが言った。

「あ、でも母さん?オレ2時から友達と約束してた」

「…」

私は今日の昼からどこでどうやって

一人で時間をつぶしたらいいんだろう…



取りあえず出かける用意をして、

管理人の奥さんに作ってもらった弁当の箱を返しに行く。

管理人室のベルを押すと奥さんではなく管理人が出て来た。

奥さんは朝早くから出かけているらしい。


私は弁当の礼を管理人に言った。「奥さんによろしくお伝え下さい」

「はいはい」と管理人は気安い返事をする。が、

「今日はお父さんに会いに行くんだって?」と

ミノリに聞いたので驚いた。

どうやって今朝の事がもう伝わってるんだろう。

水本がわざわざ言いに行ったのか?

「いいねぇミノリ君」と管理人は優しい笑顔をミノリに向ける。

「気を付けて行っておいで」


アパートの敷地から出る時に2階の窓が開く音がした。

「ミノリ、美月ちゃん、行ってらっしゃい」

かなりテンションは落ちているけれど

昨日と同じように窓から見送ってくれる水本の顔は

昨日と同じように優しい。

ミノリが少し迷ってから「行ってきます」と言って手を振り、

水本はそれに静かに優しく笑いながら言ってくれた。

「気を付けて帰っておいで」


水本は優しい。朝の会話の流れでは気持ち悪いと思ったけれど。

…いや、すぐにほだされてはいけない。

まだ気持ち悪さが拭い去られたわけではないのだ。

それでもやっぱり優しいかも…

私はそれを心の中で繰り返す。



私とミノリはショッピングモールで秋物のシャツをそれぞれ1枚と

ミノリの、今より一つサイズの大きい下着を一揃え買った。

当たり前で、それが嬉しい事でももちろんあるのだけれど、

だんだんミノリも大きくなる。


ミノリが大きくなって私から離れて行った時

私は寂しくて、でも嬉しくて、

だけど自分からすごく大きなものが

なくなってしまうような感じになるんだろう。

その時私はどこに居て何をしているんだろう。


水本は私と結婚したいとまで言ってくれていた。

もしも今の水本のその気持ちが本当でも

それはいったいいつまで続くんだろう。

本当だともまだ思えないけれど

本当だとして、あっという間に

元夫の時と同じようにいつの間にか無くなってしまったら

私はもう立ち直れないような気がする。

そんなの怖すぎて、そんな風になるくらいなら

もうずっと一人でいた方がましだ。

よし、そうしよう。私は誰とも結婚しないし、

ミノリを育てて、ミノリが一人で生きていけるようになったら

私もミノリなしで一人で生きていけるようになろう。



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