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超短編小説&詩?  作者: 星屑の道標
4/4

メトロノーム - only one -



私は歩く


先の見えないこの道を


誰かと共に歩くわけでもなく


ただ1人で


ゆっくりと1歩ずつ


私は歩く


目的地がどこかさえ知らず


私は歩く


道端に1人の少年が立っていた


少年は私に問いかけた



「あなたについていってもいいですか?」


「どうぞ、ご自由に」


私は歩く


歩く私の少し後ろを少年は歩く


目的も理由もなく


ただ、私の後ろを少年は歩く


私は歩く


私と少し後ろにいる少年と


2人で歩く


私は歩く


少年は無邪気にも私に声をかけた



「見てください! いろいろなものがありますよ」


「ほらこっちにもあんなものが!」


「あぁ、そうですか」



私は歩く


私は歩くだけ


1歩、そしてまた1歩と


私は歩く


道端に1人の少女が立っていた


少女は私に問いかけた



「あなたたちについて言ってもいいですか?」


「どうぞ、ご自由に」



2人から3人になった


私は歩く


後ろの2人の声が聞こえる



「なんでこの人についていってるの?」


「さぁね? それは僕も分からないな」



「どこを目指して歩いてるんだろう?」


「さぁ? どこなのかしら? 私も分からないわ」



私たちは歩く


決して歩みを止めることなく


私は歩く


しばらくして少女が言った



「ちょっと休憩しませんか?」


「どうぞ、ご自由に」


「……そうですか。 ではサヨウナラ」



私たちは2人になった


それでも私は歩みを止めない


私たちは歩く


1歩、そしてまた1歩


ペースを乱すことなく歩く


私は歩く


すると今度は少年がこう言った



「ちょっとゆっくりすぎません? そろそろ走りませんか?」

「どうぞ、ご自由に」


「そうですか。では先に行って待ってます」



私は歩く


私は1人になった


それでも私は歩く


ただ1人で


ゆっくりと1歩ずつ


私は歩く


少年が息を切らして止まっていた


だが私は気にしない


止まりもせず


走りもせず


1歩


そしてまた1歩


大地を踏みしめ歩く


早くもなく


遅くもない


自分だけのスピードで


私は歩く


いつかゴールにたどり着くと


ただそれだけを信じて。


   ◇   ◇   ◇   


『マイペース』


それは自分にしか分からない


自分だけのリズム



人に左右されることのない


たった一つのメトロノーム


あなたの中のメトロノームは


今、どうなっていますか?



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