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異世界フラグが立ちました  作者: ちょむ
第四章 久しぶりに会った人って何かが変わったように見える。
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爆発しちゃえばいいと思うパーンって

遅くなりました!

リリィとギルドが帰った。

(なだめて、すかして、つついて、追い出したとも言う)


嵐のあとの静けさとはまさにこの事をいうのだろうか。

部屋にはルイスが本をめくる音が響いているだけで、トキワちゃんに至っては、固まったまま先ほどから動いていない。


しかし、トキワちゃんにつっこむのは疲れたので、とりあえず放置しておくことにする。


「はぁ…」


ユラリと湯気を立ち上らせているカップを揺らし、私はため息を吐いた。

吸い込んだ胸に爽やかな香りが溢れる。

こくりと紅茶を一口飲んで、前に座って本を読むルイスを見た。



相変わらずのすっ、と通った目鼻立ち、男性にしては少し白めの滑らかな肌。

いつもの如く、面倒くさそうに半分に開いた目が何とも言えない色気を醸し出す。

水色の髪は風に柔らかく揺れ、それと共に、髪型に無頓着なルイスの寝癖もピョコピョコ揺れた。


…綺麗。

まるで、人間じゃないみたいだ。

寝癖がピョコピョコしている、なんとも気の抜けるような様子さえも、どこか神々しい。


しかして、かといってそんな美形ルイスにときめくかといったら、否。

ルイスを異性として見るのには、長く生活を共にし過ぎたのだ。


…でも、綺麗なものは綺麗。

むしろ綺麗すぎてムカつく。


理不尽な怒りを抱き、見ていて飽きないルイスを少し怨みをこめて見てみた。


「何だ、気になる」


ルイスはふと顔を上げ、こちらを睨む。

…ちょ、睨むことないだろ、と思うけども、本を読む行為を邪魔されたルイスの行動としては至極当たり前である。

ルイスの成分は、本で出来ているのだから。

(ルイスって人が見てないところで本を食べていそうだし。なんかこう、むしゃむしゃと。)


ルイスは三度の飯より本が大好きなんだ。

むしろ食べたいくらいに。


これ重要。テストに出る。


私はもう一度ため息を吐いて、紅茶をすすった。


「分かってると思うけど、」


「大丈夫だ、問題はない」


「いやまだ言ってないからね!?」

「大丈夫だ。問題ないから少し黙れ。」


私の話、聞く気ゼロ。

ぴしゃりと無表情に言い放ったルイスは、再び本へと視線を戻した。

……こいつ。


いくら本が好きだからって、ちょ、おま。


ここまでくると、本の虫もどうかと思ってしまう。

どうかと思うっていうか、何て言うか気持ち悪い。

ああもうなんか気持ち悪っっ!


しかし、どうやらこいつ、巷では『博学の王子』なんて呼ばれてモテモテのようで。

この前なんて、可愛らしくラッピングされたクッキー貰ってたのを偶然目撃した。


ナニソレズルイ。

羨ましい。



このキング・オブ・甘党ヒカリ様を差し置いてとか、はっきり言っておかしいと思う。


私だって甘いの食べたいよ。

クッキー食べたいよ。

可愛い女の子を侍らせておきたいよ。(注、レズじゃないよ)


もう羨ましすぎてイライラしてきた。

ムカつく。

博学の王子とか呼ばれてんのもムカつく。


だって、こいつのどこが王子なんだ。

マイペース、本の虫、面倒臭がり、無気力。


そんな言葉しか出てこないこいつのどこがいいと?

訳が分からない。


私なんて、近所の皆さんに先生と呼ばれているんだぞ。

相変わらずヒョロヒョロだね!とか言われてんだぞ。

…ヒョロヒョロで何が悪いコノヤロウ。

だって私女の子だものォォォオ!!


まぁ?

女の子だから、モテモテなルイス君を寛大な心で許してやってもいい。(何様?)


クッキー分けてくれたら、の話だけれども。(俺様)


でもさ、何回も言うけどおかしいよ。

むしろ何回でも言うよ?

おかしいよ。


だって、ルイスは確かにルックスはいい。

でも、ルックスは、だ。


百歩…いや、一万歩くらい譲っても性格はアウトだろう。

どのくらいアウトかって、野球の野手が、走者に抱きついちゃうくらいアウト。


…え?何?

例えがよくわかんない?


大丈夫。

自分でもよくわかってないから。(何が大丈夫?)



でも、もうホント訳が分からない。

性格アウトなルイスにキャーキャーする娘もだけど、可愛い娘に言い寄られても冷たくあしらってるルイスも訳が分からない。


そんなルイスなんて爆発しちゃえばいいと思う。

風船が割れるみたいにこう、パーン!って。


むしろ爆発させるよ?

できないけど。


私は眉毛をひくりと動かして、爆発させたい怒りを耐えた。

もうホントよく耐えたよ、自分。

自分に盛大な拍手を送りたい。


パチパチと拍手を、脳内で照れている私に送った後、もう一度、ルイスに声をかけた。


「ルイス、あ「もう少し甘い方が俺の好みだ。」


「聞けよ!!つーかなんの話だァァア!!」


もはや何の話?

何が甘い?


あ、言っておくけど、ルイスは極度の甘党だ。

クールな男は甘いものが苦手、と言う王道な概念を見事なまでに打ち砕いてくれた。


さすが、常に斜め上にいく王道小説だと思う。



……でも、ルイス。

いくら甘いもの好きだからって、紅茶に入れるはずの角砂糖を口に放り込むのはやめておいた方が良い気がする。


糖尿病になるよ。

水とか制限されるようになるよ。

えぇと皆さん、ルイスにクッキーをプレゼントする時は、出来るだけ甘さ控えめでお願いします。


皆さんの博学の王子プリンス、20歳にして糖尿病持ちになっちゃいますからね。


まぁ、それはそれでなんか面白そうだけれども。


話を戻そう。


角砂糖をゴリゴリと噛み砕きながら、本の世界へと行ってしまった(むしろ逝ってしまった)、私の話を聞く気ゼロのルイス。


え?

何でルイスはそんなに無関心なのって?


だっていつもそうだし。

これがデフォルトだし。



…あれ、でもよく考えたら、なんだろうこの扱い。

酷くね?

目からポトフだよ。

出ないけども。


まぁそんなことはいいんだ。

何であれこれだけは言いたい。

というか、言う。


「言っておくけど、ホモじゃないからね、私!」


「ホモも何も、お前女だろう。」

「…ですよね。」


言わなきゃ良かった。

今更後悔しても遅いのだけれども。


さて。

ルイスは私が性別を偽っていることを知っている。

というより、ルイスの前では隠し事は出来ない。

なんか、お前何なの?ってくらい勘が鋭いし、何でも知ってる。


ナニソレコワイ。


まぁ、別にいいけど。


そんなことを考えていたら、視界の端の方で銀色の物体が動いた。

どうやら、トキワちゃんが石化から回復したようである。


『我は知っていたぞ主!我はそのような戯れ言に騙されるような馬鹿ではないのだ!ふはははっ!』

「その割にはなんかショック受けてたように見えるんだけど」


え?何?

トキワちゃんがルイスの前でしゃべってるよって?


心配はいらない。


皆さんの予想通り、

ルイスに隠し事は通用しないのだ。


トキワちゃんが精霊だということはとうの昔にバレている。


ルイス曰く、良い研究材料(パシリとも言う)なんだそうだ。


そんなマッドサイエンティストかつ鬼畜なルイスに警戒しつつも、何だかんだで仲の良い二人。


でも、精霊王、ということは知らない。

というかまず、こんなのが精霊王だなんて誰も信じないと思う。


むしろ信じたくない。

出来れば目を背けたい。


というか、解約したい。

ホントに。


だって。


『いや、あの、それは、あの、えぇと……そう!カモフルージュだ!』


「カモフラージュね、トキワさん」


『(`・ω・´)』



トキワちゃんはこの二年でもっとアホになったからだ。


もう、トキワちゃんも爆発しちゃえばいいと思う。


こう、パーンって。





トキワさんはボケ要員です。


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