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異世界フラグが立ちました  作者: ちょむ
第三章 初めての異世界デビューってはしゃぐよね。
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情報処理速度加速魔術と、情報圧縮魔術の応用…なんて頭良さげに言ってみた

うあああああ!

狂喜乱舞わたし!


これからも頑張ります!

改めて、居直る。


「ルイス君、この国のこととか教えて欲しいんだけど、」


「へぇ、あそう」


うかがうように眉を下げれば、

ルイス君は、本から視線をあげることなく(興味なさげに)答えた。


ちらと目線を上げ、ちょっとだけデレたルイス君がルイスでいい、と言って、びくびくするトキワちゃんをゆるりと撫でる。


ルイスはツンデレ…いや、クーデレだな、などと思いながら、トキワちゃんを見た。


ぴーちゃんは避難して私の肩で毛繕い。


ルイスがトキワちゃんを撫でながら私の右肩にいる黄色い球体を、何考えてんだか分からない表情で見つめる。


ぴ、とかすれた声で、ぴーちゃんが耳元で鳴いた。


「……。」


少し、ほんの少しだけ(ほんっとに微妙に!)残念そうに鼻をならし、ルイスは本に目線をおとす。

「…何から教えるの」


「…あー、」


右手でトキワちゃんを一定の速度で撫で、左手で器用にページをめくるルイスが言う。


天才は器用だなオイ、と心の中で舌打ちして、ひきつった笑いを浮かべる。


煮え切らない私の答えに眉をよせて、ルイスはもう一度口を開いた。


「…何から教えるの」


「同じ台詞だ!二回目だ!一字一句違わぬその台詞!」


いつもの癖が作動して、(悲しいかな、異世界にきてから私のツッコミスキルが上がったのだ)私は盛大につっこんだ。


ルイスはもう一度ページをめくって言った。



「…何から教えるの」


「スルーかい!

しかも、頑なにその台詞じゃないとだめなんだね!?頑固ですね!」


ルイスお前もボケ担(ボケ担当の略)かァァァ!と頭を抱え、うがぁぁあ!と叫んだ。(図書館では静かにする、という常識的なマナーを守りましょう)



だが、発狂するヒカリとは裏腹に、ルイスのページをめくる手は止まらず、気だるげなその目は難解な活字を冷静に、おっていく。




…えぇ、そりゃもう憎たらしいくらいに冷静に、ね。



トキワちゃんは、何かを探るようにルイス君を見つめ、ぴーちゃんはくりくりとした目を興味津々に輝かせた。



私は、何から教えるの、と(頑なにその台詞で)聞かれたはいいものの、何から教えてもらったらいいのか分からず、戸惑う。




「何から知ったらいいかわかんないんだな、それが」


「……ふぁ」


へへ、と苦笑いをしてみれば、欠伸をかましたルイス君。


片手で器用にページをめくり、机を軽く、人差し指で叩く。



「うわっ!」


すると、


ボフン、と重い音をたて、大きくて分厚い、古めかしい本が目の前にあらわれた。




「…読め」


「はっ?」


無表情でルイス君は黒ぶちの眼鏡をくい、と上げる。


聞き返した私に、面倒くさそうに答えた。


「……国の歴史。257ページ」


ほら、とルイス君は本に指を向け、ひとふり。


ドン、と本が大きな音をたてて開いた。


……ぴったり、257ページで。


「凄い、」


ページを記憶してるのか、とか、私にこんな難しそうな本が読めると思ってんのか、とか、

何者だお前、とか、いろいろ疑問はあるものの、これ以上何かを聞くと、ルイス君の気が変わってしまいそうなので口をつぐむ。



身を乗り出して本を覗きこむトキワちゃんの横から、本を眺めてみた。


瞬間、ルイス君がパチンと指を鳴らす。


「!?」


脳に一気に流れ込む情報。


トキワちゃんの鳴き声がどこか曇って聞こえたが、


流れ込む情報を必死に処理する私の脳は、気付かない。


気の遠くなるような膨大な量の情報が、脳の中で渦巻いた。


処理が追い付かなくなってきて吐き気を覚え始まった時、


ふと、突然訪れた、歯車がカチンと組み合うようなすっきりした感覚。


脳の中で整然とまとめられた、この国の歴史に、呆然とした。


はっ、と我にかえり、夢から現実に戻ったような感覚に、どこか違和感を感じ、頭をぶんぶんと振る。


「わふ!わふわふ!」


トキワちゃんが鋭く鳴く。


鋭くなった金色の目が、不安に揺れていた。


「…大丈夫、」


安心させるように、トキワちゃんを撫でた。


ルイス君は、読み終わったのかパタンと本を閉じる。


「今のは…?」



知らないはずのことを知っている、という、なんとも言葉にし難い違和感に眉をしかめながら、ルイス君に聞いた。


「情報処理速度加速魔術と、情報圧縮魔術の応用」


「情報しょ、……何だって?」


返ってきた答えに目を丸くした。

情報処理速度加速魔術と情報圧縮魔術の応用だ、ともう一度かまずに言ってのけ、ルイスはふん、と鼻を鳴らす。



「…効率悪いのは時間の無駄だ」


「…生きててすいません」


ルイスのクールすぎる一言に

半泣きで目頭を押さえた。


だって、だって


私自身が効率悪い生き物だものォォオ!!


もう無駄の塊だものォォオ!!


やること為すこと遅いし、遅いから丁寧で完璧かといったらそういうわけじゃないし、むしろテキトーだし!


ああ生きててすいません!


スライディング土下座します!

いやむしろジャンピング土下座します!








……え?

何?

イグアナよりはましな生き物だと思う?




おま、取り消しなさい今すぐ!


イグアナなめんなよォォオ!?

イグアナあれだからね!


見た目ちょっとした恐竜だからね!

泣く子も恐怖に泣きわめく容貌だからね!?


しかもな、動物界脊椎動物門爬虫鋼有鱗目イグアナ科グリーンイグアナ属なんちゃら(Wikipediaより)っていうなんか凄そうな名前があるんだよ!


鋼の鱗ってかいてあるんだよ!?

完全に厨二病患者だよイグアナ!

しかも、Wikipediaにのってんだぞ!


Wikipediaだよウィキペディア!


ウィキにのってんだぞ!?


その重み分かってる!?

そこんとこ大丈夫なの君!?








……え?十分分かってるって?



いや、


いいや分かってないね!

君は何一つ分かってないよ!


じゃあ、本当の凄さを教えてあげよう!



試しに『久保井 光』でウィキ検索してみ?


凄いの出てくるから!














ほらね!

『問い合わせに合致する結果はありませんでした。』だって!


ウフフ、ウィキ、お茶目だねぇ

合致しない、なんて、ねぇ?



そんなこと………








あるんだよコノヤロー!!


な、凄いだろ!?


凄いせつねーだろ!?


今、just nowで凄い虚無感が胸を通り抜けたよ!


凄いくらいの悲しい風が落ち葉を巻き上げて吹き抜けたよ!


その点イグアナ凄いよ!

ちゃんと説明あるんだもの!


やりおるなイグアナ…!だよ!


ちなみに『異世界フラグがたちました。』でも出てこないよ!


おかしいね!


『異世界』とか『フラグ』だとか『久保井』とか『光』とか、単語にするとちゃんと出るのにね!


おかしいね!


もう一回言うね、


おかしいね!



「おかしいね!」


「いきなり何」


思わず口に出して言っていたようだ。


ルイスは迷惑そうに言った。


「脳内で何があったの、あんまりうるさいと頭開くよ」


「すいません」


頭開くよ、というのは要するに解剖しちゃうよ☆ということだ。


嗚呼、ルイス、なんて恐ろしい子!


しかもそれをへらへら冗談混じりに言ってくれればまだましなんだけども、


無表情かつ冷静に知的オーラを全開にして言われるとなんか笑えないよね!


笑えないよ、あはは、ルイス、じょ、冗談だよね?って冷や汗かいちゃうよ!


なんか本当に解剖されそうだよ!

冗談に聞こえないね


「おかしいね!」


「切り開くよ」


「すいませんっしたァァア!開拓はやめてください!いくら私の脳内が荒涼とした感じだとしても!」



そうして私は、ジャンピング土下座をして膝小僧をしこたま床にぶつけたのだった。


「……地味に痛い…」


「そのアホさは切り開きたくなるね」


「ひっ、DKRだ!!(ドS鬼畜ルイスの略)」




ルイスくんのキャラが確立しませんね…


すいません…

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