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異世界フラグが立ちました  作者: ちょむ
第三章 初めての異世界デビューってはしゃぐよね。
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心折れそう、僕

主の、気配。


『……?主?』


金色の朝日に照らされて、眩しげに目を細める主に違和感を感じた。


…………?



何だろうか。


主の違和感に同調するように、

我の中で、熱くたぎる、何か。



何かが、変わった。


何が、変わった?


はっと気付いて。


『………ッ主!!!』


駆け寄る。


「おはよう、トキワちゃん。」


そう言って微笑んだ主の髪は。


まさかそんな…主………









『…ボサボサ』


「いやだから、シリアスな空気ぶち壊しだからァァァァァ!!!」



嗚呼、いつものツッコミ、とやら。

ほっと安心する。


いつもと変わらない。



さっき感じた違和感は、髪を切ったからだったのだ。


いや、でも。


それだけではないような。


何かが変わった。


いや、だから髪型が変わったではないか。



なんだか釈然としない気持ちに、無理やり蓋をする。


蓋をした、のに。


「あのさ、トキワちゃん。わた…僕、もう逃げないから、手伝って。」


『僕!?』


こじあけ、られた。



****



驚くトキワちゃん。


まぁ、そうだろうね、うん。



『ぬ…主!!僕?!』



トキワちゃんは、かなり取り乱しているようだ。


現に、尻尾がバサバサ揺れている。


「トキワちゃん落ち着いて」

『僕!?主が僕!?』


「トキワちゃ『髪がボサボサだから僕!?』


ぐるぐると自分の回りをまわる銀色。




…いやなんかもうワケわかんないから。


これ以上放って置くと、いろいろ大変なことになりそうだったので、うろうろとうろたえる銀色のモフモフを、がっしりと捕まえた。


金色の瞳に自分が映る。


「トキワちゃん、僕、いろいろ知りたいんだ。」


『主…。………………すまない。取り乱してしまった。』


そうして、大人しくなったモフモフを、座らせた。


『どういうことなのだ、主。』



「えぇと、かくかくしかじかで、こうなりました。」


『わけがわからないよ、主。』


あり、トキワちゃんのキャラが、僕と契約して(ryという、名前に9がつくあれになってしまったヨ。


拳を握り締めて力説する。


「知ってるかいトキワちゃん!!!かくかくしかじかという八文字の中には圧縮されたたくさんの情報がつまっているんだぞ!トキワちゃん!」


『それは誠か!主!』


「嘘。」


『信じた我がバカだったァァァァァ!!!』


ゴロゴロと転げ回るトキワちゃん。


嗚呼、トキワちゃん。


「阿呆っぽ」


『うわぁぁぁん!主ィィィ!!』


精霊王の威厳も何もない。


とりあえず。


「落ち着こうね、トキワちゃん。」


『はい』


なんだか最近トキワちゃんてホントに精霊王なんだろうか、と疑問に思う今日この頃。



****



「と、いうことで、僕は強くなるんだ!」


『主…立派すぎる…。我は何処まででも主についていくぞ!』



説明しましたよ、えぇ。


なんで説明部分抜いちゃったのとか、そこらへんは作者の裏事情ですから。


つっこんだら、負け。


でも。


………説明したは、良いけれど。


『主がそこまで考えていたとは…。案ずるな。我は主と共におろうぞ!!全面的に協力する!』



え。




なんか、熱い。



ぶっちゃけ暑苦しい。(;´д`)



某極限男と某爆弾忠犬を足して2で割った感がある。



「えぇと、トキワちゃん?」


『何だ?主!何なりと言え!』



キラキラお目目はキラキラで。


いや、あの、期待されても、困る。


なんか期待されてる。


わた…ゲフン、僕に何を求めてるんだろうトキワさん。


でも。




…嬉しい。

トキワちゃんが、ずっと一緒に居てくれる。


暑苦しいけどね。


嗚呼。



トキワちゃんは、僕の。



僕だけの、精霊――――…



そう思った瞬間。



「え、ナニコレ怖い。」


金色の光が体を取り囲む。


…え。



ちょ、おま、ナニコレ。



『主、良かったな。これで我との契約が、完全になった。』


「は?」


『今までは、仮契約、のようなものだな。これで主は、読心術を使うことができる。』



「いやいやいや仮契約?なにそれ聞いてない。」



まとわりつく金色の光に怯えつつ、楽しげに尻尾を揺らすトキワちゃんを見た。



何で楽しげなんですかトキワさん。


『だって言ってないもん。』


「ざけんなゴルァ」



瞬間、真っ白になる頭。









ナニコレ、急展開すぎて怖い。








『我が名はフィデリティー。そなたを真の契約者として認める。』


白くなる視界。



消えゆく視界の中で、最後に思ったことは。



―トキワちゃん、シめる。



嗚呼、皆様。


僕、久保井 光。


なんかもう最初からいろいろ嫌なんですけど。






とりあえず。


クーリングオフ、求めていいですか。



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