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異世界フラグが立ちました  作者: ちょむ
第二章 もふもふは人類の救いである。
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ぴーちゃんの、ぷぃ


 トキワちゃんが精霊王ってことがわかった。だからって私のトキワちゃんに対する態度が変わるわけでもないし、何が変わるってわけでもない。だから、万事解決ってわけなんだ。


 …いや、あの、はい。分かってます。万事解決なわけないのくらい分かってます。


 だから本当に分かってますって。そろそろアールに本当のことを言わなくてはならないのくらい。


 分かっているのだけれど、踏ん切りがつかないのが私なのです。



「はぁ…」


 気が重い。凄く重い。胃が痛くなりそうなくらい。だって、完全にアールに打ち明けるタイミング失ってるからね、コレ。今言われても困るだろ、アール。おそらくパニクるよ、アール。え?今頃?みたいな。むしろ信じてもらえないような気がするんだが。



 ああああ…!何て言ったら理解していただけるでしょうか、師匠様!


 例えば実はー、トキワちゃんってー、風の精霊王だったんだ☆今まで黙っててごめんね、アール☆

てへぺろりん☆


 いや、いやいや。ねーよ。分かってもらえる気がしねーよ。なんとか穏やかに、優しく終わる方法は…無いですよねー。



 でも、言わないといけない。わたくしめの保護者様 (仮)ですし、何より、心が痛む。隠し事をしていると、アールに何だか申し訳なくて…。



 でも何て言ったらいいんだよォォ!無理だ!私に出来るわけがないよ!チキンなんだもん!しょうがないよね!?ね!?



 もしや、アレか。チキンを脱却するためのチャンス、か?これはそういうことなのか!?だったらチャンス逃したら駄目だよ自分!そうだよね!



 よし!


 よし言うぞ!言うからね!決めたよ!今決めた!



 うん、決めた。決めたけど。





 ……やっぱり、怖いや。


 ここまで面倒みてもらって、仲良くなって。アールのこと、家族みたいだと思えるようになったのに。



 嫌われないかな。聞けば、精霊王使役するのってあり得ない話じゃないですか。怖がられ、ちゃうのかな。家、追い出されちゃうのかな。


 気分が暗くなっていく。嗚呼、嫌だ。嫌だなぁ。


 アールとトキワちゃん、ぴーちゃんと楽しい日常が無くなることが。隠して怖がるこんな自分が。




 もう、どうしたらいいのだろう。分からない。分からない。わかんないよ。



 分からなすぎて、頭が痛い。全て投げ出してしまえればいいのに。ぎゅう、と体を縮こませ、頭を抱えた。


 すると。


「光!私考えたのよ!やっぱり光は男装じゃなくて、こういうのがいい!」



 バァンッと勢い良くドアを開けて入ってきたアール。



「し…師匠…」



 さらにオプションとしてフリフリのドレスがついている。理解、できない。いきなりすぎて…。


「さあ!着るのよ!」



 戸惑いを隠せない私に、じり…とにじりよるアール。


 いや、ちょ、おま


「空気読めよ!何だよ今のシリアスムード!意味無いじゃん!何か無駄じゃん!私が厨二病こじらせてるみたいな感じじゃん!恥ずかしい!」


「あら、シリアスが苦手な作者のためにと思っt」


「裏事情言うな!」




 しんみりしたじめじめムードは、一転してギャグムードに。ナニソレコワイ。シリアスにしたくない陰謀を感じるヨ。←裏事情。


 全く。きょとんとするアールを見てため息をついた私。そんな私に、ツン、とトキワちゃんが鼻で腕に触れた。


 えっ、何?振り返ると、金色の瞳が鋭く光っていてびっくりした。言葉にするのだとしたら、そうだな…。


『今の雰囲気で言っちまえや、ゴルァ』

的な目じゃないですか?ははっ、脅しですねわかります。



 いやいや、分からないよ。私に言えと!?言ってしまえと!?この状況絶対絶命です本当にありがとうございました。



 ほら、隣には無言の威圧感をにじませる精霊王トキワ様と。目の前にはフリフリでピャッハーなドレスを持ったアール様。そして、枕の上で転がっているぴーちゃん。



 ここは、アレか。カオス且つチキン強制退会の場ですね。わかります。分かりたくないけれども。


 現実からを背けたくて、ぴーちゃんを見る。コテン、と寝返りをうった…というか転がったぴーちゃんは、おもむろにお尻を上げた。えっ、何やってるのこの子。なんてはしたないのこの子。でも可愛いから許す。


「…ぷぃ…」


 えっ?



 小さく、でも確かに聞こえたその音。それは、ぴーちゃんのお尻から聞こえてきたものでした。



 さて、私に一言言わせていただきましょう。ぴーちゃん。この状況で屁をこくな馬鹿!


 空気読んで!お願いだから空気読んでマジで!


「…ぶっ!」


 吹いた私を責めないで!だってさ、だってさ!何だよ、ぷぃって!ぷぃって!!!

ちょ、ぷぃって!ねーよ!



「あはははは!!」


「ははははははは!」



 アールも爆笑。私も爆笑。



 でも。私、肩の力抜けました。きちんと話します。意図的では無いにせよ、ぴーちゃん、ありがとう。





 空気読めないぴーちゃんの無意識な行動により、踏ん切りのついた光。


次回はいかに!


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