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談笑

「何処に行きやがった? あの神父」

「あっちだ!」

「よっしゃ、一人殺しゃ十万だからな! いくぞ!」

 血気盛んな男たちが過ぎていく。

 男は路地の物陰に隠れながらそれを確認し、胸をなで下ろすように安堵した。

 吐いた息を吸い込むような激しい呼吸に気道が、肺が燃えるように暑くなる。心臓は今にも破裂してしまいそうなほど鼓動を繰り返していた。

 彼はそうして一つ大きく息を吐いてから、自分を慰めるように腹を撫でる。弾痕はすっかり塞がり、今となってはもう昔の傷のように痕だけが残っている。さらに言えば、命に別状もなく、内臓も怪我なく健康だ。

「化物……か」

 この傷痕を見て否定するつもりはない。

 だが、コレを見てしみじみそう思うことは出来た。

 本当なら致命傷と成り得た傷だ。なにせ狙撃銃をそのままゼロ距離で腹に受けたのだから。

「言い得て妙ですね」

 ランドという男はどこか粗野で余り好きな人種ではなかった。しかし意外な事に彼が思っていたことは、自身が考えていたこととそう変わらなかった。

 これは実に驚きである。

 さらにもう一人のダンは長い物に巻かれろ主義者であり、機関さえ認めれば彼らは機関に属することになるだろう。そして出来ればそうなってほしい。彼らは彼らが思う正しい道を歩くことが出来ればいい。

 スコール・マンティアは親心のようにそう願っていた。

「トキさんは大丈夫でしょうか」

 自分のせいで命を散らしてしまったかも知れない少年。

 あのまま本気でぶつかり合っていればどちらが勝ったか、その勝負は本当に分からなかった。

 そして後腐れない、まるでスポーツのような清々しささえ感じることの出来る戦闘であったのだ。

 ならせめて警察の目を眩ませようとスコールは昼夜問わず、街の隅から隅までを動き回っていた。

 現在ではそんな生活が始まって、およそ三日が経過しようとしている。

 体力の限界も近い。

 しかし何よりも衛士が早く目覚めなければ、協会の”迎え”がそろそろ来るかもしれない時期なのだ。

 彼はそれだけを不安に思いながら、休憩は終わりだと、立ち上がって路地から通りへ飛び出した――が。

「へひゃひゃ! ミエミエなんだよ、バァーカッ!」

 路地を囲むようにして扇状に展開された無数の男たちが、手に手に火器を取って彼の出現を待っていた。


「おれは武器しか持ってないの! 距離短縮して空間つなげて、そこからモノを瞬間移動させる能力だけどさー」

「なんだよ、誰もそんな事聞いてないだろ?」

「おれの身の内さらけ出さないとその女の子がずっと殺意剥き出しで睨んでくるんだもんよ!」

「にらむって、目隠ししてんのによく分かるなお前」

「分かるよ! だって顔ずっとこっち向けてんだもん!」

 ダンが今にも泣き出しそうに嘆いて喚く。それをいなすように対応するのは、鬱陶しそうに顔をしかめるイワイだった。

 そしてそう騒いでいると必然的に――。

「おい、うるせえってんだよテメェら。追い出すぞ」

 注意が入る。

 低く脅し掛かるような迫力のある声はランドのモノで、そして声と同時にその二人を黙らせたのは肩に凄まじくのしかかる圧力だった。

 小刻みに何度も頷く両名を確認してから、舌打ち、ため息をわざとらしくして解放。

 彼はそうしてから窓のすぐ近くの壁に寄り添うようにして座り、ベッドの上で上体を起こし呆然と目の前の壁を見つめる少年を一瞥した。

 時衛士の意識は丁度半日前に覚醒した。

 応急手当が功を奏したのか、出血は限りなく致死に近い所で止められ、輸血によって回復する。また奇跡的というのが被弾位置だった。

 いくら予知をしていたからといって背中から撃ち込まれる弾丸を、どの位置で受け止めるかなど――予想し操作したのだろう。彼ならばしそうだと、ついこの間まで敵だった男にそう思うのは不思議だとランドは思いながら考えた。

 心臓を紙一重で避け骨も内臓も綺麗に避けた弾道は、彼の肉体を貫通していた。それでも神父に弾丸が届かなかったのは恐らく、そこまでである程度減速したがために彼自身の能力で無自覚に止めることが出来たからなのだろう。

 鼻筋の傷は深く、縫合しても痕が残るという話らしいが、左肩の切創は見た目の割には浅く、ただ失血故の麻痺が少しばかり残るというものだった。

 そして時衛士自身、あの多量出血の中で再び目を覚ましたことは最早奇跡というべくだったのだが……。

「おい、テメェ」

 顔を向けて、声を掛けてみる。

 反応がない。

 まるで、ただそこに鎮座する随分と存在感のある蝋人形のようだった。

 最も蝋人形はあるだけでその存在感が溢れでているからというのは、ランドは一先ず置いておいた。

 輸血は終え、今は栄養剤を点滴でなんとか繋いでいるが、これが何日も続けば何が起こるか判らない。そもそもあと二日もすれば援軍が迎えに来る手筈となっているのだから――この四人余りで協調性ゼロ、恐らく一等の実力持ちと思われる神父の所在は不明の現在で相手に出来るとは思えなかった。

「しかしまあ、一週間もしない内にっつーか、実質二日でこんな事になるとは思わなかった――よなぁ?」

 独りごちるようにぼやくと、不意にアンナと目が合った。

 同意を促してみるとコクリと頷き、それから衛士の寝台へと腰を掛ける。が、彼女は何をするでもなく顔にベルトを、そして身体に張り付くような黒のレオタードの上から全身に帯を巻く痴女的な姿のまま、彼を見つめていた。

「愛されてんなぁ」

 しみじみと呟く。

 しかしアンナは、ランドを一瞥することもなく首を振った。

 口を開けて何かを言おうとするも、少し思案するように止まってから、閉じる。

「仲間、だからとか?」

 首肯。

「そうか。正直羨ましいな」

 こういう関係は幼少期が最後だったかも知れない。昔を思い出して、彼はそう思った。

 協会に来て何か変わるかと思ったが、結局はただ目的を持って暴れるだけだ。そこに、一般人では到底抗いようのない圧倒的な能力が加わったのだからタチが悪い。心底思う。

 しかし、と。ランドは改めて周囲を見渡した。

「お、散弾銃ショットガン、しかもイサカじゃねーか」

「ウィンチェスターもあるぜ」

「M1897か。いい趣味してるな。レミントンは?」

「M870しかないなー」

 衛士が座位をとる寝台を部屋の中心に置くその一室はそう狭くはない。寝台の脇には窓があり、そこからはまだ明るく日の光が入り込んでいるし、数人程度が集まってもまだ十分な広さがある。

 だがそれでも、それぞれが目一杯騒いでいれば、うるさいものはうるさかった。

 気がつけばアンナは衛士の隣で丸くなるように寝て――。

「なんだこの疎外感。つか見せつけやがって……」

 まるで恋人同士だ。

 ここで衛士の意識がまともであればどんな反応をするのか些か気になるが……そう願う間も無く、その喧騒を瞬時に打ち消し静寂を被せる姿が、扉を力一杯開け放ち壁に叩きつけるように現れた。

 その手に散弾銃を携えて。

「匿われているという状況を再確認出来た人は手を挙げて貰えるかしら?」

 変わらぬドレスのような動きにくそうな格好で、彼女は静かに送弾機ポンプに触れると、呆気に取られていたイワイは勢い良くその右腕を挙手した。

 それに倣うようにダンは両手に散弾銃を持った格好のまま諸手を、白旗をあげるように勢い良く上げ、その後にランドは面倒そうに手を挙げる。

「警察が動いているんだから。頼むわよ?」

「ラ、了解ラジャー

「もう一回」

了解ラジャッ!」

 疲れた様子を微塵も見せない彼女は嬉しそうな笑顔をつくって頷いた。

 それから扉は静かに閉じられ、彼女が失せた空間は、飽くまで静寂が保たれる。

 どこか気まずい雰囲気――まるで親や教師に叱られ、否定したいのにも関わらず自分に非があるのを自覚できているせいで何も言えないような感覚だ。逃げ出したくなるような空気の中で一人だけ幸せそうに眠るアンナがどこか羨ましくなる。コイツばかりは起きていた時にどんな反応をするのか正直気になった。

 イワイはランドの前に移動すると、そのまま腰を落としてあぐらをかく。

 ダンも指を鳴らして出した無数の武器を仕舞い込むと、同様にその近くに座り込んだ。

「な、なんだよ……」

「いや、すげー堅ゆで卵……もといハードボイルド気取ってんなって思って」

「ヒデオ、こいつは元々こんなもんだぜ? 普通に心臓破裂させればいいところわざわざ頭爆発させるくらいだしよ」

「うヘー、かっこいいー!」

 突然小馬鹿にされたランドは同時に、自身が行った凄惨で狡猾な殺人術を思い返し、頬を紅潮させる。なぜ不意にこんな辱めを受けるハメになったのかは――恐らく彼らが暇になったからなのだろうが――ともかく、理不尽に恥ずかしくなってしまう。

 確かにダンの言うとおりだ。心臓を破裂させるのは簡単だし、そもそもの血圧を跳ね上げさせて太い血管の総てを破壊せしめれば済む話だ。

 何故頭を破裂させたかと聞かれれば、敵に脅威を与えるためだとしか答えられないが――原因不明でその解明に時間を掛けさせて尚脅威を与えるならば、ダンが言った通りのことをすればいいだけ。

 つまり彼らが馬鹿にする論題は非常に的を射ており、反論の余地がなかった。

「て、テメェら暇だからって……!」

「んだよ、いいじゃねーか。こちとら衛士がしっかりするまで暇なんだ。お前も話相手居ないだろ」

「そんな孤独な事を口にしなくても見りゃ分かんだろ……」

「まぁまぁ。ランドだってそんな喰い付くなって」

 ダンは言いながらベストのボタンを外して脱ぐと、さらにそのままワイシャツのボタンさえも外し、上半身裸になる。見た目不相応に随分と引き締まるその肉体は筋肉質で、その体に思わず二人からの感嘆の声が上がった。

 しかし、と。眉をしかめるのは当然その二人だった。

「何やってんの?」

「レスリングやろうぜー!」

「あぁ、お前なんかアレだわ。『簡単さ! 動きがのろいからな!』とかしたり顔で言いながら民間人殺しそうなタイプ」

「なんでおれがそんなドア・ガンナー的な事言わなくちゃならないワケ!?」

 のりのりなダンに対して飽くまで静かに行きたがる二人を見て、彼は肩を落として服を着ていく。

 何にしても次は当てるつもりがなくとも発砲されそうな上、それが散弾銃であるから被弾の可能性が高い。何よりも彼女が匿う上でのメリットは一切ないし、死体に変えて警察に突き出せば瞬く間に何十万もの金が入ってくるのだ。

 ここに居られるだけで感謝するしか無い。

 庇ってくれるであろうワーグナー夫も今は平然と酒場の営業で忙しいのだ。頼れるものは、この身一つである。

「お前元気有り余ってんなら囮になってこい。ついでに神父探せよ? あとこの場所バレたら元も子もないから帰ってくんなよ」

「んな、ひどッ! ちょい待ち、何この扱い」

「テメェははしゃぎ過ぎなんだよ。長いものに巻かれたいんだろ? お縄についてろよ」

「上手くねーよ殺すぞガキどもお前らいくつだこのやろー! おれは二五」

「お前、二五ならもっと落ち着こうぜ?」

「と、歳言えってんだよー!」

 力一杯叫ぶ声は、それでも極限までに押さえられていて喉を掠れさせるような声となっていた。

 イワイは苦笑を浮かべて彼の肩を叩き、ランドはどこか卑屈そうに膝を抱え静観する。

「俺ぁ、アレだな。二二」

 イワイは指を折るようにして数えて言った。

「俺は……つか知ってるはずだろ? 十九」

 ランドは睨みつけるように吐き捨てた。

「おれは二五」

「知ってる」

「むしろお前ら知らなかったらかなり重度の馬鹿だけどな?」

「馬鹿ってレベルじゃないだろ、落ち着け年長者」

「ちなみに神父は二七だそうだ」

「マジかよ衛士より十も離れてんじゃねーか」

「うっそアイツ十七ァ?! 俺より二つも下じゃねぇか!」

「見た目二十歳やそこいらだぞあの白髪頭。どんだけ若作りしてんだよ」

 まるで先ほどまで敵同士だったとは思えないほど、三人は溶け込んでいた。

 話せば笑い、怒った様子も見せるがそれが冗談と分かっているから本気にしない。

 下手に初対面の人間と仲を深めるよりも容易に彼らは、友人関係を持ち始めていたが――機関が彼らを認めるか。正確には、招いた上で実験材料とせず共に肩を並べ、あるいは背を預けあう戦闘員、その仲間として受け入れてくれるか。そこだけがイワイにとって不安だった。

 しかし幾人か居る上司の中には特に衛士やイワイに目をかけてくれる一人の老人が居る。苦々しい選択だが、それを頼れば、あるいは――。

 そう考える最中に、再び扉は力強く開け放たれた。

 焦燥を抱くように顔を引き攣らせる彼女は、それからややあって、搾り出すように口にした。

「神父……スコール・マンティアが警察に捕まったわ」

 刹那、衛士の肩がビクリと弾む。

「しん……ぷ――」

 そうして、それがきっかけとなったのであろう。

 時衛士は肘の内側に刺さる点滴の注射針を引き抜くと、そのまま寝台の上に立ち上がり、そこから飛び降りる。

 顔をうつむかせ、何かに取り憑かれたように、されどしっかりとした足取りで女性の脇を通り過ぎていく。そんな彼女は衛士の顔を見て、思わず背筋をすくめ立ち尽くしていた。

 衛士がその場から姿を消したその直後に、イワイが付けるイヤホンは久方ぶりに音をたて言葉を紡ぎ始めていた。

『上からの命令です。衛士さんを”手放さないように”との事です』


 全てを奪われた。

 だから今度は、これからの全てを守ろうと思っていた。

 力がなければ出来なかったソレも、今では十分に力がある。自分にできないはずがないと、根拠なくそう思えていた。だというのに――。

 あの目だ。あの憎らしい目だ。

 己の事だけを考えて己の利になること、己の鬱憤晴らしでしか行動できないあの目。

 容赦なく躊躇なく人を殺す。それはこの世界では仕方ない事だが――ならば、なぜオレはアイツを許せないのだろうか。

 考えてみろ。やつとオレに一体何の違いがある?

 考えてみろ。ヤツとオレは何も変わらないじゃないか。

 困惑する中で拳を交わした。

 だから分かったのだ。あぁ、コイツとオレは全く同じだ、と。

 だというのに外野が首を突っ込んだ。そんな奴らも、オレとは何も変わらない殺しに慣れた野郎共だ。

 しかしなぜかこの身体は気がつくと走り出していて、神父を守っていた。

 そうして気がつけば、なぜか衛士は半裸のまま、裸足のまま廃ビル群のさらに奥――袋小路にある警察署へと走り出していた。

 ――神父が警察に捕まった。

 その言葉だけは、頭から離れることがなかった。

 奥へ行けば行くほど、景気が良さそうに笑顔で話しあう男たちの表情が一時硬直する。そうした後に彼らが襲いかかってくるのは、もはやこの世界では常識となっているようだった。

 逃げた衛士は、ついに囲まれてしまう。

 男たちは皆火器を構えて前後左右、その全ての退路を断っていた。

「……お前たちは社会不適合者だ。この街にいてソレを否定できるわけねえよな? だけどさ、そういう事じゃないんだよ。ここに居るからとか、場所がどうとか、理由にはならねえんだ。な? お前等は人を殺すことに躊躇がない」

 だがこの世界に居るのだ。仕方がない。 

 少なくとも衛士にはそれを見下したり、クズだのなんだのと蔑んだりすることはできない。

 男たちはその言葉に反応するように声を荒げ言葉に口を挟むが、衛士は構わず続けた。

「法律の前じゃ人殺しは悪だ。だがこの街じゃ、オレたちが居る世界じゃ違うだろ? 悪だの善だの、そんなものは存在しねえしンな事言ってるのは堅気だ。この世界の人間じゃない」

 その最中に、背後に位置する男の一人が先走って引き金に手を掛け――衛士はそのまま一気に背後へと跳躍。彼は軽い身のこなしでその男の傍らに飛び込むと、そのまま銃身を掴んで制止した。

「あと少しで終わる。頼むから待ってくれ」

「て、め――」

 男が拳を振り上げる。

 だがそれよりも早く、衛士はすり抜けるようにして集団の中央へと戻っていった。

「お前たちは持ってなきゃならねえのが覚悟だ。この選択をして後悔をしない、何をされても構わないという決意。お前たちの銃は今オレを殺そうとしているな。あぁ、別に構わない。どんと来い」

 諸手を広げる。その姿はまるで熱弁かます政治家のようだった。

「だがな、オレは死にたくないから手を出さない。手を出したらやり返されるさ。この人数じゃ尚更だ――だけど、オレは死にたかねえから、お前たちが撃てば相応にオレも相手をする。自己防衛、それも正当すぎるな」

「てめえは一発で終わるがなぁ!?」

「だったら良いんだけどな。いいか? オレが言ってんのは死にたくなけりゃ道を開けてくれってんだ。最も、お前たちはこいつを挑発と受け取っちまって、誰かが、それか自分が死ななけりゃ分からねえ。みんながみんな大馬鹿野郎の馬鹿揃いだ。惚れ惚れするぜ」

 ついに発砲は、前と背後から行われた。

 タタタンという軽い、金網を揺らして鳴らすような音が連続する。同時に衛士は軽く横に飛ぶと、その直後。三人の男は胸を押さえ、それぞれ倒れ始めた。

「大の大人が、雁首揃えてよ」

 怯む間もなく、今度は一斉に銃声が鳴り始めたが――衛士はまた駆け、跳び込むような跳躍と共に倒れた男を飛び越え、一人の背中に回りこむ。

 今度は数人が、まるで学ばずに味方の射撃を受けて倒れる。

 衛士は背に回りこんだ男の後頭部を力一杯殴り飛ばし、怯んだ隙に銃を奪取。壁を背にするように跳び、未だ残っている数人目掛けて射撃。

 肩に鈍い反動を残して、たったそれだけの行動で総数十六人はそう広いとは言えない路上で呻きながら倒れてしまった。

 死者は数名。だがあの中での人数としては奇跡的でもあった。

「ホントに、馬鹿だよ……」

 衛士は大きく嘆息する。

 そうしてからその中で、一番軽傷そうな、腕を抑えて倒れこむ男の首元を掴んで無理やり起こした。

「警察署に案内してくれ」

 知らぬ間に留置所に入れられ、そして裏口……街の外から脱出した衛士には、警察署の場所は見当付けることすら出来無かった。

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