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ひとりの涙

作者: みゆう
掲載日:2025/12/27

この物語の主人公は不老不死である。


とある豪華な部屋の大きな天蓋付きベッドに、

齢八十の王と、齢十五の女の姿があった。

このふたりは親子であった。

お父様、お体の調子はいかがですか?

娘は問う。

とてもいい加減だ。お前の看病のおかげだな。

王は答えた。

娘は涙を浮かべたが、王は微笑んでいた。


十回、四季が回った頃。

そこには、王と、男と、娘の姿があった。

お父様、見てください。私の旦那様です。

女は言った。

王様、姫を絶対に幸せにします。

その女の隣に居る男は言った。

そうか。もうすっかり立派になったな。

王は瞳に女と男を瞳に映して言った。

女と男は手を繋ぎ、王は微笑んでいた。


さらに二十回、四季が回った頃。

そこには、王と、父と、母と、子二人の姿があった。

お父様、子供たちを連れて来ましたよ。

母となった女は言った。

お父様、この子達の名前はシンとシャンにしました。

父となった男は言った。

そうか。孫の顔を見れて、とても嬉しく思う。

王は言った。

ふたりは涙を浮かべたが、さんにんは微笑んでいた。


さらに二十回、四季が回った頃。

そこには、王と、娘の姿があった。

お父様、流行病で、旦那も子も死んでしまいました。

娘は言った。

そうか、悲しいなあ。こちらへおいで。

王は言った。

ふたりは静かに、身を寄せ合った。


さらに二十回、四季が回った頃。

そこには、婆と、王の姿があった。

お父様は、いつまでも変わりませんね。

婆は言った。

お前は、私よりも歳をとってしまったな。

王は言った。

王は微笑み、婆も微笑んだ。


一回、四季が回った頃。

そこには、ひとりの爺の姿があった。

私を置いていって、しまったな。

爺は言った。大切な、大切な、石の下に居る、娘に向かって。

ひとりの王は、涙を流した。

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