学院式
あれから何度か茶会は行ったそうだが、1度目の茶会以降私が呼ばれることはなく見事婚約者候補から外れ、エレノアはマルクス様の婚約者になった。
今日から学院が始まるのでここでも要注意なのには変わりない。
「お姉様!わたくしはマルクス様と向かいますので、どうぞおひとり快適に向かってくださいまし」
「ありがとう。そうさせてもらうわ。」
エレノアが何をどんな状況で仕掛けてくるかわからないので別行動は凄く安心する。
学院に到着すると、制服の違う平民も多く目につく。貴族の制服に採用しているものを平民で採用できるはずもなくデザインも大きく異なる。
平民でも優秀な人材を確保するべく試験に合格すると入学可能で、奨学金制度を利用しその後生計を立てるものも多い。校舎も別館になっており基本的には交流はないが、平民の中でも学年全体で優秀な10位以内の生徒は貴族の講義を受けることが出来る。
「遅刻遅刻~!!!ちょっとどいて~!!」
「もう~!アリスったらまた寝坊~?」
「アリス~学院式始まるぞ~~~!」
「アリス様御髪が乱れていますわよ。ほらこっちにいらして。」
「髪が乱れていても素敵だよなアリス様は」
私の前で何かを落とし、すごい勢いで走り抜けるピンク髪の美少女。
平民にも貴族にも好かれている・・・・?どんな人だろうと思ったのは私だけではなく近くにいた全員の視線は1人の少女に集中していた。
「あ、あの落としましたよ」
「え!?ありがとう~!大事なものなのっ!あれ?あなた新入生??すっごく美人!私は第5学年のアイリス・ビンセント!あなたのお名前は??」
「ネイリン・グレンダと申します。」
「ネイリン!素敵な名前ね!そっか!グレンダ伯爵の奥様美人って聞くもんなぁ!こんな美少女だとは思わなかったけど!あなたも大変だと思うけど、困ったことがあったら会いに来て!それじゃ!」
アイリス・ビンセント・・・全く知らない。
怒涛に話すからあまりインプット出来なかったけど、制服や我が家を知っているということは恐らく貴族だろう。貴族独特の話し方をしていなかったけど、不快感が全くなかった。同じ校舎にはいるしまた会えるか。
「ネイリン様!お久しぶりですわ!」
「ユミル様・・・お久しぶりです。」
「相変わらず言葉が固い割には近いわね!あなたわたくしと同じクラスなのよ!」
「光栄です。」
「当り前じゃない!わたくし達は”親友”なのですから!!」
夜会で仲良くなったユミル様。
一見気の強そうな顔立ちで誤解されそうだか、実際私に絡んでくれるということはかなり面倒見がいいと思う。
ツンデレ万歳だ。
「さ!学院式に向かいますわよ!」