出会い
フィーデル王国、国王からの有難いお言葉をもらった新人貴族たちは各々歓談し、交流を深め合っていた。
無論、私を除いて。
そもそも何故か人が近寄ってこない。
たまにちらちらと見られれている気がするが、既に壁の花と化している。
少し外の空気でも吸いに行こう。
規則的に植えられた花々は夜でも美しく、1輪も枯れていないことから王室お抱えの庭師はかなり腕が立つのだなぁと感じる。
「ご令嬢。お一人ですか?」
所々に配置されたオブジェも季節感があることから、定期的に変化しているのではと推測。
「ご令嬢!」
「?わたくしでしょうか?」
「!?えぇ・・・。ご令嬢、私はルーズベルト・フォン・ルイス・フィーデルと申します。お名前をお聞きしても?」
「帝国の太陽に連なる聖なる星第2皇子殿下にご挨拶申し上げます。グレンダ伯爵娘ネイリンと申します。」
「そんなに固くならず、ね?私のことはルイスと呼んでくれ」
何を言ってるんだこの王子は、綺麗なのは顔だけにしてよ。
話しかけられた時から謎のオーラを感じると思ったらまさかの第2皇子だった。なぜ外に・・・。
それにこんなところで不敬罪で捕まりたくない。
「いえいえ。大変恐れ多いことでございます殿下。わたくしのような者にまで目をかけてくださり感謝いたします。」
「そういうことではないよ。ネイリン嬢と友人になりたいんだ。王子という身分では難しいか?」
難しいですうううう!
いや待ってなんでこうなった?でも、友人くらいなら・・・。
「わたくしでは事足りないことも多いかもしれませんが、友人ということなら・・・」
「そうか!よかった!それなら友人の証としてこれを預けよう。」
と渡されたものは透き通った碧いピアスだった。
「殿下、わたくし耳には・・・」
「ルイスだよ。友人でしょう?任せて」
ふわっと手からピアスを取ると一瞬耳に熱が集中した。
「い”っ・・・・」
「ごめんごめん。じゃあまたね?」
一瞬にして目の前から消えた皇子。
まだ耳に熱が残る。
嵐のような人だった。
原作では魔法が使えるため後継者争いから逃れようと隣国に留学していたという情報しか知らない。
「そろそろ戻るか・・・・。」
戻ると、煌びやかな場の雰囲気に少し胸やけした。
「お姉様!もう!どこに行ってらっしゃたの!お友達を紹介するわ!」
連れてこられた場には何人かの令息・令嬢達がいた。
どうやらあまり歓迎されていないようだ。
「皆様!わたくしのお姉様ネイリンですわ!よろしくお願いします!そうだわ!お姉様の分の飲み物を取って参りますわ!」
「ありがとうエレノア。」
「平民のくせに貴族の新人式にいらっしゃるなんて・・・」
「恥ずかしげもなく純血のエレノア様を呼び捨てにしてるわ。」
「見た目はいいけど中身は相当酷いって聞くよな」
「陰で虐めてるって聞くけど、今もこき使っているみたいだな」
ひそひそと話される割には聞こえる声量なのは貴族の嗜みなのかもしれない。
事実無根であることも言われているけど、今までのことから物語関係なく純粋に平民だから嫌われているのだろう。
「お姉様!お待たせしました!あら?皆様なぜそんな離れているのです??」