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感謝と牽制



月日が流れるのは早くあれから3年が経っていた。

エレノアには10人ほど侍女がいるのに対して、私にも最低限の1人侍女がつけられた。

伯爵もエレノアの侍女を寄越してくれようとしたが、希望者もおらず私自身も自分のことはできるからと断った。

そのことでエレノアも少し満足したのか、何か吹っ掛けてくることは特になく穏やかに過ごせたのはありがたい。




今日は、エレノアと私はデビュタントの日で、王族主催のイブニングパーティに初参加のため、馬車で王宮まで向かう。

9歳までは夜の外出は不要不急での外出ははしたないとされていて、10歳になりやっと社交界では認められる。



「エリーもネイリンも愛らしくて自慢の娘だな!ははは!」




「こうしてドレスが色違いだとまるで双子みたいねぇ」




「…お父様、お母様まだまだ半人前ではございますが、まずはここまで育てていただきありがとうございます!これからもお2人の自慢の娘でいられるように精進してまいりますわ!」




「まぁ・・・」

「・・・大きくなって」




ちょっと嫌そうな顔してたな。

やっぱり嫌いなんだな私のこと。まぁ恨みは買いたくないけど



「お義父様、お母さま私も日々の感謝を込めて刺繡をそれぞれハンカチに思いを込めさせていただきました。」




「おぉ!なんと見事な刺繍だ!ネイリン。わが自慢の娘よ!」

「あなたいつの間に・・・違うわね、子どもはすぐ成長してしまうもの。ありがとう。」


平和ボケしている両親は涙ぐみながら喜んでいるが、横を見ると拳を強く握るせいで少し腕が震えているエレノア。

私は前世から言葉より目に見えるもののほうが信用できるタイプだ。

いくらエレノアが妖精のような可憐な容姿で甘い言葉を紡いできたとしても、その目やふとした時の態度で明らかに嫌悪しているのがわかる。

たとえ表面上は仲良しこよしでも。



「わぁ!お父様もお母様も羨ましいですわ!わたくしもお姉様の手作り頂きたかったです・・・。」




「エレノア。あなたにももちろんあるわ。いつもありがとう。」




「・・・・!?まぁ!素敵!流石お姉様だわ!大事にしますわ!」




そう。渡したのは渾身の出来策だ。

伯爵家の家紋と薔薇を加えたオリジナルデザイン。

目は口ほどに物を言うとよく言ったもので、まさに射るような目をしながら褒めてくるエレノアには感心する。



「そんなに褒めてもらえるなんて光栄だわ。エレノアの作品も今度頂けるかしら?」




「もちろんですわ!お父様もお母様も楽しみにしていて!」



「えぇありがとう。」

「たのしみだなぁ!おっと!そろそろ着くぞ!」




初めての王宮。初めての夜会。

前世の知識云々前にこういったパーティには初めて参戦で少しばかり緊張していた。



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