父の気持ち
「俺らに数で負けてるのに、どうやって勝つつもりなんだ?
いくら妖力が強くても…なぁ?」
「海面に火が…どうすれば…」
「ヒレに網なんてつけて…お洒落か?ははっ!
捕まった人魚コーデ流行ってんのか?あーっはははっ!」
「っ…気付かなかった…」
海音は急いでヒレに引っかかった網を取り悪霊を睨みつけた
「恥ずかしいなぁ?
しかもここまで人間を連れてきたら王国が人間に見つかっちまうな…
これは誰のせいだ…?」
「うるさいっ!!俺が…俺が悪いのは分かってる…
俺が皆を守るんだーっ!!」
勢いよく海音の目の前に青い光が目の前に広がるーー
「なんだ…この物凄い妖力…ヤバいぞ!皆にげっーーー」
一瞬にして悪霊達を光が飲み込み…海音の目の前から悪霊が消え去った。
「えっ…どういう…」
「海音!大丈夫か!?」
「お父様…!!」
海音は父に駆け寄る
「お父様…助けてくれてありがとう…ごめんなさい…僕のせいで…」
「そうだな、こうなったのはお前の責任だ。
だがお前は王子だ、これから王国と民を守らなければいけない。
いいか…お前は優しい子だ…人間と妖怪関わらず助ける…とても良い事だ。
でも、妖怪も人間も悪い心を持っている奴がいることを忘れるな。
お前の優しい心につけ込んでくるだろう。
それを見極められるようになるんだ…
そうすれば少女の心の声が聞こえたように心の声を聞ける能力が目覚めるはずだ。」
「お父様…僕、頑張る!お父様みたいに強くて優しい国王になる…!
でも、人間も僕たちが見守ってあげられれば…
海の事故で人間が命を落とすことは無くなると思うんだ…。」
「昔、私も今と同じような状況になった事がある…
溺れていた村の民を助けたんだ…だが、人魚の噂を聞いた村の民が王国を襲った。
人数が少なかった事が幸いだった…私の父が大きな嵐を起こし食い止めたんだ。
そこから人間と関わることをやめたのだ、身を隠しながら海の秩序を守ってきた。
血は争えないな…はははっ…。」
「だから…人間と関わっちゃいけないって…ごめんなさい…
僕、何も考えずに行動したから…」
「お前が悪い心を見極める事が出来るようになれば、
人間や王国の民も守りながら海の秩序を守れるようになるさ…
お前が王になったら新しい王国が始まりそうだな。」
父は海音を優しく抱きしめたーー