袋の鼠
「いい匂いがすると思ったら人魚のガキじゃねぇか…?
お前ら、これは上物だぞ?人間とは比べ物にならねぇ」
その声に気づくと、海音は数百体の悪霊に取り囲まれていた
「っ…今はお前ら下級悪霊の相手なんかしてる暇ないんだよっ!!
消えろおおおっ!!!」
海音はペンダントからハープを取り出し力を込めて奏でる…
すると妖力がこもった青い光が一点に集まり
目の前に居た数十体の悪霊達を消滅させる
「まだガキとは言えど、さすが国王の息子だな
そのくらい強力な妖力があるなら十分だ…俺が喰ったらもっと力を得られる!
俺を殺した野郎とあのクソ閻魔に思い知らせてやるんだ…」
「ふざけるな!!誰が悪霊ごときに喰われるか!
子供だからって舐めやがって…」
「ははっ!…そんな余裕ぶっこいてていいのか?
人間にも狙われてるくせに、
そんな血垂れ流してたらもっと多くの悪霊やら力のある妖が狙ってくるぞ?」
「余計なお世話だ…」
その頃、海面ではーーー
「クソっ…!渦潮と高波で他の奴らが…これもあの魚の仕業か…?
そのまま追える奴は一緒に来い!」
「「「おうよ!!」」」
「おい!ここで止まったぞ!!青い光が見える!お前等、準備しろ!!」
村の民は油を染み込ませた木の板に火を付け海面に投げる
「念の為に耳に綿を詰めろ!いかりで狩る奴は縄を船に縛り付けて行け!
網で捕まえる奴は広い範囲に網を仕掛けて捕まえるんだ!!
人魚を捕まえたらこんな命を張った仕事なんてしなくても金が稼げるぞ!
最後の一仕事だ…生け捕りが優先だが万が一の時は殺しても構わない!
気合い入れて行くぞ!!!」
「「「おう!!」」」