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第三話

私は町に来ている。今日はお忍びで町を見回る予定。


町を散策するのは楽しい。色んなお店があって活気に満ち溢れている。皆楽しそうで眺めながら歩くだけで楽しい気分になる。


「おや?あれはフランツ」


フランツが町を歩いていたから、気になって声をかける。


「フランツじゃないの。何をしてるの?」


「ルシアか。見ての通りに町を見て回っているんだ。」


「なら一緒に行かないかしら」


「知り合いの所に寄るけどいいかい?」


「構わないわ。」


「わかった。じゃあ行こう。」


そんな訳でフランツと町を回る。





「この店だ。」


フランツが目当ての店に来た。


「やあフランツ。また来たのかい」


「ああ、売れてるかいフィリップ」


「まあまあ売れてるよ」


店は何か食べ物を売る屋台の店で店主は私やフランツより何歳か歳上の青年。金髪でサングラスをかけていて17から18辺りの年齢に見える。


しかし、私はその店主の屋台に繋がっている物を見て驚きを隠せないでいた。








こ、これは車・・・車!?何でこんな国に車があるの!!?しかもやたらアメリカンな車じゃないの!!!マッスルカーとかそんな代物じゃないの!!


まさか異世界でマッスルカーを見るとは思わなかったわ…まあマッスルカーはいつか乗ってみたいと思ってたからこの世界にあるのは有難いわ。




私は屋台に繋がっているいかにもアメ車のマッスルカーな代物に夢中になっていると店主の男が訪ねる。



「気になるのか、お嬢さん」


「え、ええまあ」


「これは自動車という乗り物だ。市販の自動車をベースに私が改造したんだ。

自動車は馬を使わずとも自動で動く馬車みたいな物だよ」


「そ、そうなんですか…今まで見た事がなかったから思わず見とれていましたわ」


「そうかい。これは私の国で最近流行っている乗り物なんだよ。ガソリンという燃料で動いているんだよ。」


「すごいですわね。」


「この車は魔力でも動ける様に作ったんだよ。私は科学も魔法も天才なんだ。」


「その科学というのは何ですの?」


「科学は私の国で盛んに研究されてる学問で、魔法を使わずともとも生活を豊かにしたり、文明を発展させる事が出来るんだよ。魔法だと錬金術が科学に近いね。」


「それはすごいですわね。」


まさか科学があるとは思わなかったわ。これは嬉しい発見ね。科学が盛んに研究されてる国も気になるわ。


「ねえあなたはどこの国の出身かしら」


「私はマゼラン連邦という国から来たんだ。」


マゼラン連邦ね。最近、発展してると聞く新興国ね。


「あなたのお名前は?」


「私はフィリップ・マクスウェル。旅をしているんだ。」


「そうなんですのね。ねえ、フィリップさん、あなたは何を売っていらっしゃるのかしら」


「私はアイスクリームという食べ物を売っているんだよ」


「アイスクリームですのね。それは興味深いですわね。」  


「僕もアイスクリームにはまってて彼に作り方を教えて貰おうとしてたんだ。」


「なら私も買いますわね。」


「200Gだけどフランツのガールフレンドだから今回は無料でいいよ。」


「ありがとうございます」


やった!嬉しいわ!アイスクリームに再び出会えるなんてこんなに嬉しい事は無いわね!!


早速アイスクリームを貰った。フランツはストロベリーで私はチョコにしたわ。


「美味しい!」


「だろ?彼の作るアイスは格別に美味しいんだ」


「そこそこ売れてるんだよ。」


フィリップもバニラのアイスを食べる。




「私の国は新興国だからまだまだ国としては他の国からは軽視されてるし治安もあんまり良くないけど技術力なら大陸の中でもトップクラスさ」


「成る程ね」


「だが、新興国だからこそ新しい技術や文化を取り入れやすいし、新しい流行を生み出すのに長けているんだ。いずれマゼラン連邦は流行の最先端を行くと言ってもいい。」


アイスを食べながら雑談を交わす。


たしかにフィリップの言う通り、マゼラン連邦は凄い国ね。歴史は浅いけど、様々な民族や文化を取り入れてオリジナルに昇華するという点はアメリカにも通じる物があるわ。





「フィリップはいつまで居るんだ?」


「そうだね。そろそろこの国を経つよ。」


「それは残念だ。あなたとは色々と話して楽しかったが、事情があるならしょうがない。」


「そうだ、フランツに渡したい物がある。」


フィリップは紙を数枚出してフランツに渡した。


「これは君が欲しがっていた物だ。受け取ってくれ。」


「ありがとうフィリップ」


フランツは礼を言って紙を受け取る。



 +++++



フィリップと別れた後、私達は再び町を散策した。

市場には新鮮な野菜や果物が売っていて、美味しそうな屋台もある。アクセサリーや日用品、海外を渡ってやってきた珍しい代物が売っていた。

私達はそこで好みの物を見定める。


丁度、いい感じのアクセサリーがあったから手に取ってみた。


「フランツ、このアクセサリーどうかしら?」


「かわいいアクセサリーだね。僕は君に似合うと思うよ。」


「なら、早速買うわ」


私は店主にお金を払ってアクセサリーを買う。


「どうかしら?」


私は買ったアクセサリーを装着してフランツに見せてみた。


「いいね。よく似合うしいつもよりオシャレだ」


「でしょ。フランツは慧眼ね。」


やっぱり人に誉められるのはいいわね。





「美味しいわ、この肉の串焼き。スパイスが肉の旨味を引き立てるわね。」


私はお目当てのアクセサリーを買った後、牛肉の串焼きを買って舌鼓を打つ。


「この魚の串焼きも悪くないな」


フランツもマグロの串焼きを味わっている。


何かこうして見るとデートしてる恋人みたいね。フランツは顔は優れてるし、器量に優れてるし性格もそれなりにいいから私の恋人にしてあげるのもいいわね。フランツも喜ぶと思うわ。


「それにしてもさっきの紙は何よ?」


「見るか?」


「ええ」


フランツが渡した紙を見ると、銃器や車の設計図が載っていた。


「彼に頼んで貰ったんだ。僕は一から自分で作りたいから。」


「それは凄いわね。けど、出来るのかしら?」


「冶金技術はそれなりに出来るし科学もかじっている。足りない部分は学べばいい。」


「冶金技術まで、習得するなんて凄いわね。」


こいつはマジで出来る事多すぎでしょ。化け物ね。

とにかくこいつは味方に付けといた方がいいわね。





私は確信した。フランツはあの悪役令嬢のパトリシアを超える可能性があると。なら、いざというときの為にもフランツには味方になって貰わないとね。


もし、パトリシアと戦う事になったらその時は協力して貰うわよフランツ。


私はそんな事を企みながらも不敵の笑みを浮かべる。


そんな私を怪訝な表情で見るフランツに私は気付かなかった。



フィリップの乗ってる車は初代後期のフォード・マスタングとそっくりの外見です。

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