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第22話



パトリシアと友達になったルシア。そんなルシアは今、パトリシアと剣について語っている。


「あなた達の剣は何というか、殺しに特化しているわね。」


「そうですかね。私はあんましそういう感じとかわからないですけど。私を鍛えてくれた人の剣術をそのまま使っていまして・・・・」


「成る程・・・つまりは、あなた達の師匠は戦いの玄人なのですね」


「あの女は私達を弟子だと思ってはいませんよ。ただ気紛れで私達を鍛えただけですので。」


「そうなのですか。それは変わった人なのですね。」


「あいつはドワーフの神を自称してる変な奴なんです。ですがあいつが一番強いです。少なくとも、私が出会った人の中で誰よりも」


「貴女がそういうのならそうなのね。それ程にお強いのなら私も一度会ってみたいわ。」


「あいつは風来坊ですのでいつ会えるか分かりませんが、また機会があったら言っておきます」


「ええ、宜しくお願いするわ。そういえばフランツは?」


「あいつはラルド殿下と居ます。あそこで仲良くしていますよ。」


ルシアが指差した方向にフランツとラルドが楽しそうに会話をしている。


「フランツは凄いわ。ラルド殿下とあそこまで打ち解けているのは他に居ませんわ。」


「そうなんですか…ラルド殿下の周りにはもっと人が居ると思っていましたけど」


「…ラルド殿下は変わった言動をしていまして、私も少し、苦手ですの」


パトリシアは目を逸らす。


「そうですか・・・・」


(まあ、ラルド殿下は抱いている野望がアレな所があるからね。そりゃ大抵の人からはドン引きされるわ…)


ラルドが戦場で略奪や強姦、虐殺をするのが夢だと語っていたのを思い出して周りから引かれて当然だ、と納得する。


「そういえば、パトリシア様。レスター殿下とは上手く行ってるんですか。」


レスターとの仲が気になったので訊いてみる。


「レスター様は私の事にはあまり眼中にはございません。」


パトリシアはどこか暗い表情で答える。


「そうでしたか…失礼致しました」


(やっべ地雷踏んじゃったか)


ミスったか?と思いながら、婚約者の事でパトリシアに質問した事をやや後悔する。


「大丈夫ですわ。所詮、政略結婚なので。仮にレスター様が他に愛する人が居ても私は認めたいわ。」


(パトリシアいい女すぎるだろ!!レスターの奴もこんないい女ほったらかしにして私に粉かけんじゃねえ!)


レスターを想っているのに、そんなパトリシアを放って置いて自分に言い寄るレスターに憤りの気持ちが湧いてくる。


「レスター様は貴女によく話しかけてますけど、貴女を好きになったのかしら」


「いやいや、いくらなんでも私は男爵令嬢に過ぎませんし、レスター殿下が私を好きとか恐れ多いですよ!!」


自分によく話しかけて、遊びに誘うレスターを思い出しながらも、慌てて否定する。


「そうかしら?貴女と接する時は少し楽しげに見えますけど」


「多分、私が珍しかったからじゃないですかね?私は女でありながらクラスで二番目に剣が強いですから、多分きっとそうだと思いますよ」


「…そうかもね」


目を逸らしつつ、一応納得するパトリシア。


「では、私はもう行きますわ」


「あ、はい」


パトリシアは立ち上がり、踵を返す。


「何か、パトリシア様元気無いけど大丈夫かしら…まあ、あんまり深入りしない方がいいわね。

巡り巡ってこっちが面倒に巻き込まれそうだし。」


パトリシアを少し心配したが、面倒事を回避する為にとりあえず放置する事にした。



+++++



魔法学院の広場はかなり広く、400m近い広さがある。魔法を駆使した模擬戦を行う為にここまで広く作られている。ここでは魔法の練習や模擬戦が定期的に行われている。今日もまた、模擬戦を行う者達とその野次馬が広場にいる。


広場の中心には2人の生徒が居て、今日はこの2人が戦う。


「お前に勝てる技が完成したから見せてやる」


アルベールが対戦相手に啖呵を切る。


「自信がある様だね。だが、僕は一筋縄では行かないよ。」


対戦相手のフランツも自信に満ちた目で返す。


「アルベールとフランツが戦うのか!こいつは見物だな!!」


「剣術だとアルベールが負けたけど魔法もありだと分からないわ」

 

「アルベールはもう上級魔法が使えるからな。今回はアルベールが勝つかもな!」


「でもフランツも上級生を倒したらしいから結果は分からないぜ。」


ギャラリーは2人の戦いを楽しみにしている。


「絶対に勝ちなさいフランツ!あんたに賭けてるんだから!!」


ルシアもフランツに声援を送る。


アルベールとフランツ。2人は相対して剣を構えて、相手を見据える。




「俺から行くぜ!」


十数秒の沈黙の後、先に動いたのはアルベールだ。


「ファイヤーボール」


アルベールは初級魔法のファイヤーボールを連発する。火炎の塊がフランツに迫るが、フランツは焦りもせず剣を高速で振る。


音速を超えた速度で剣を振る事によって大気を切り裂き、空気と空気の間に真空の溝が発生する。


アルベールの放った複数のファイヤーボールは真空の溝によって弾き返される。

弾き返されたファイヤーを避けながらアルベールは接近して斬擊を繰り出すがフランツは躱して距離を置く。


フランツはそこから剣を振るい、発生した真空波の斬擊を飛ばしてアルベールを攻撃するがアルベールも防御魔法で斬擊を防ぐ。


防御魔法はフランツの斬擊を防いだが、僅かに罅が入る。


「中級魔法ぐらいなら防げるんだがな」


フランツの技にアルベールは感心するが、より強い魔法で攻撃に入る。


「ブレイズ・キャノン!」


アルベールは火属性の中級魔法のブレイズ・キャノンをフランツに見舞う。


ファイヤーボールの7倍もの威力のある炎の砲弾が迫るも、フランツも防御魔法で防ぐ。


「まだまだ行くぜ!」


アルベールの連発したブレイズキャノンをフランツは防御魔法で防ぐ。




「アルベール凄えぞ!このままやっちまえ!!」


「フランツ!!お前に賭けてるから負けんな!」


ギャラリーは2人の戦いに盛り上がりを見せる。




「とっておきの技を見せてやる!」


アルベールは上級魔法を放とうと魔力を込める。


「プロミネンス・キャノン!!」


アルベールが上級魔法のプロミネンスキャノンを唱える。


10m近くはある摂氏4600℃の炎の塊がアルベールの近くに現れる。


「まだこんな物じゃないぜ!!」


アルベールが剣を掲げる。アルベールの掲げた剣がプロミネンスキャノンを纏い、アルベールの剣は炎の剣となる。


「フランツ!これがお前を倒す技だ!」


アルベールは剣を構えてフランツに突き進む。


魔導一閃(まどういっせん)!!」


上級魔法を纏った剣による攻撃がフランツに向けて放たれる。


(これは…かなりヤバいな。だけど防いで見せる!)


フランツも防御魔法により、魔力を込めて防御を底上げする。


ガキィィン!!


アルベールの炎の剣がフランツの防御魔法に直撃する。


アルベールの一撃はフランツの防御魔法に罅を入れるが、防がれる。


「何っ!!?」


フランツの防御魔法を完全に破壊するつもりが罅を入れた程度で済んだ事にアルベールは動揺を隠せない。


「上級魔法を完全に防ぐ防御にしたんだけど、罅を入れるなんて君もやるね。でも、これで終わりだ。」


フランツは防御魔法を操作して、小さい穴を開ける。そこから剣を出してアルベールに突き付ける。


「僕の勝ちだ」


勝負はアルベールの敗北に終わった。





「折角勝てると思ったんだが悔しいぜ!だけど楽しかったぞ!次は負けねえからな!!」


アルベールは勝負に負けた悔しさと勝負の楽しさを噛み締める。


「僕もあの技には冷や汗をかいた。あれ程高度な技を使えるのは魔導騎士団でも限られているよ。」


「ふっ、お前に勝つ為に作ったからな」


技を褒められたアルベールは嬉しそうに頷く。


「なあフランツ。お前は魔導騎士団に入るのか?お前ならすぐに頭角を表しそうだが」


「それも魅力的だけど、僕は見聞を広める為に旅に出る予定なんだ。」


「旅か。それもいいな。」


「僕は世界の色んな国に興味があるから世界を廻るのが楽しみだ。」


フランツは将来の事を楽しげに語る。


「やっぱりフランツは今の俺では勝てねえよ。だが、俺はお前に勝ってみせるぜ!」


「その時は全力で相手するよ」



+++++



「ありがとうフランツ!稼がせて貰ったわ」


ルシアが上機嫌で話しかけてくる。


「稼げたなら何か奢ってくれよ」


「じゃあケーキでもどうよ」


「いいね。いつもの店に行こうか。」


「ええ行きましょ」


「あ、そうだ。君にこいつを渡しておくよ」


フランツは懐から紙を取り出して手渡した。


「これは、空間移動魔法の術式かしら?」


「ああ、改良してインターバルを7分に縮める事が出来た。ついでに移動距離も27キロまで延ばしたんだ。」


「ありがとう。ぜひ役立てるわ」


「じゃあ行こう。腹が空いてるからおやつにしたい。」


「フランツったらがっつき過ぎよ」


「そうだったね。僕とした事が」


2人は笑いながらおやつを食べに学院の外に出た。




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