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第21話


一行は魔物と戦うべく、魔物を探している。


「どんな魔物と戦おうかしら」


「骨のある奴が居たらいいね」


「私達を満足させる相手はそうそう居ないわ」


辺りを見回すと魔物と戦っている生徒が何人かいた。


ある班はゴブリンを魔法による集中砲火で倒したり、またある班は武器で袋叩きにして安全に倒していた。

ルシア達と比べれば稚拙という他ない。


「何というか、少し臆病、というか稚拙すぎないかしら?」


「それはしょうがないよ。僕達みたいな強者ばかりではないし、初心者が多いからああいう戦い方になるのも無理はないさ」


「そうですわね。彼等はまだまだですからこれから強くなればいいわ」


「ええ彼等にはこれからに期待しますわ」 


「それに初心者ばかりでは無いよ。それなりに戦える人もいる。」


臆病だったり稚拙さがある者が多いが、生徒の中には戦い慣れてる者もいる。ルシア達や原作のキャラ程では無いが、弱い魔物なら容易く倒せたりそれなりに魔物と戦えている。


「中々見所がありますわね。まだまだ荒削りではあれど、確かな素質を持つ者もいますわ。」


「この中から魔導騎士団や冒険者として頭角を現す者が現れるだろう。」


「将来に期待ね。もっと奥に行きましょ。」


「ああ。」




ルシア達は森の奥へと突き進む。最初は魔物が見つからなかったが探していく内に少しだが魔物と遭遇した。ゴブリンが2体現れた。


「お二人に任せるわ」


「分かりました。」


「さっさとやっつけましょ」


ルシアは拳銃を取り出してゴブリンを射殺した。もう一体のゴブリンもフランツの魔力弾で倒された。


「ざっとこんな物ね」


「骨のある相手は中々現れないな。」


「私達が強すぎるから仕方ありませんわ」


「とりあえずもう少し進んだら見つかると思いますよ」


「そうですわね、なら進んでみましょう。」


一向は雑談しながら森を深く進む。


「ねえ貴方達は私より強いけれど、どこでそんな強さを身に付けたのかしら?」


「私達はあるドワーフの女性から鍛えて貰いまして、ここまで強くなりました。」


「ドワーフの女性からですか…そのドワーフは相当の実力者なのですね」


「はい、彼女は今の僕とルシアが二人がかりでも勝てない程に強いです。」


「それ程の女傑には私もお会いしたいですわね。」


「僕も再び彼女に会いたいと思ってましてね。」


「パトリシア様、私達を鍛えてくれた人がフランツの初恋の人なんですよ」


「な、おいルシア!?」


フランツはいきなり初恋をバラされて取り乱した。


「あら…そうなんですのね」


「バラさないでくれよ!!?」


「私はいいと思いますわよ。素敵ではありませんか。是非詳しく聞きたいわね。」


「分かりました。なら話しましょう。最初はですね…」


ルシアはフランツの初恋の話をパトリシアに聞かせた。フランツはいつも自分をディスるので、その意趣返しに喋りまくる。


「フランツもおませですわね」


「本当にそうですわね。」


「もうやめてくれ…」


フランツは絞る様な声で許しを乞う。


「とりあえずこれぐらいにしとくわ」


「ルシア、僕に恨みでもあるのか」


「だってあんた私を扱き下ろしているじゃないの」


「お二人は仲がよろしいのね」


「まあ腐れ縁ですので」


「私はお似合いだと思いますわよ」


「それは無いです」


「ええ、全く」


(喧嘩する程仲がいいと言うけどこういう事なのね)


2人のやり取りを見たパトリシアはそう思った。


3人は森を進む。ゴブリンやコボルトの他にキラーグリズリーやサラマンダーといった魔物が現れるが難なく撃退していく。


「そろそろ戻りましょうパトリシア様」


「ですわね。ルシアもそれでよろしいかしら」


「私も構いません」


粗方魔物を倒した皆は、戻る事にした。

だが、戻ろうとした瞬間、周囲の地面が盛り上がる。


ボゴゴゴッ!


次の瞬間、地面から巨大なミミズの様な魔物が現れる。




「あれはギガントワームですわ」


「今まで倒した魔物よりも断然強いわ」


ギガントワームはミミズが巨大化した様な姿をしている魔物で土の中に生息している。穏やかだが、危害を加えられたら獰猛になり容赦なく反撃する習性を持っている。

主には森や砂漠に生息していて地面でも早いが地中だと地面の何倍ものスピードで動き回る。

火に強い耐性を持ち、火属性の魔法の魔法が効き辛いが水属性の魔法は効果がある。主な主食は土や屍肉、植物だが、稀に生きた生物を食べる場合もある。


ギガントワームはこちらに気付いていないのか、やる事と言えばただ土を食べてるだけだった。


「敵意は無いわね」


「ええ、そうですわ」


「結構可愛いかも」


「ルシア…あなた大丈夫かしら」


ギガントワームに可愛さを見出だした事に正気を疑うパトリシア。


「早く立ち去ろう。向こうも気付いてないし逃げるなら今だ」


「急かさないでよ。ったく…」


「ほら早く」


「急かすんじゃないわよ!すぐに行くから落ち着きなさいよ!」


「やけに帰りたがってますけどどうかしまして?」


「い、いや、そろそろ時間ですので…」


フランツはやや落ち着きが無く、周りを急かしている。目が泳いでいて、心なしか顔が青く見える。


「大丈夫?何か顔が青いけど」


「僕は大丈夫だ。早く帰ろう」


「そういえばフランツ面白い物を見つけたのよ」


「何だ?」


「ヘラクレスオオカブトよ!凄いでしょ!」


ルシアは偶然見つけたヘラクレスオオカブトをフランツに見せつける。


だが、フランツは何故か地面に突っ伏していた。


「何をしてらっしゃるの?」


フランツの行動のおかしさにパトリシアが突っ込みを入れた。


「いや、その、中々いい土だと思いましてね・・・ギガントワームがいる場所の土は良質だと聞いたが本当に頬擦りしたくなるぐらい質に優れていますな、ハハハハハ・・・」


「・・・・・・ねえ、フランツ?」


「どうしたんだ?」


フランツの不審な行動に疑問を持ったルシアは気になる事を思いきって訊いてみた。




「あんたさ、もしかして虫が苦手なの?」


「・・・・・・ルシア」


「何よ?」


「僕が強いのは君が誰よりも知っているよね。虫ぐらい、余裕で倒せるんだ。」


「知ってる。で、虫は苦手なの?」


ルシアは確信した。こいつは虫が苦手だ。

以前から、ヘルマンティスなどの虫系の魔物との戦いにやけに消極的な所があるのでもしかして、と思ったが疑問は確信に変わる。間違いなくフランツは虫が苦手だと。

いつも自分を容赦なく酷評するフランツの天敵を見つけたルシアはニヤけそうになるのを我慢しつつも、水を得た魚の様に生き生きと攻める。


「あのなぁ…虫ぐらいその気になったら倒せるんだから苦手な訳無いだろ。」


「じゃあギガントワーム倒してよ」


「だから相手に戦意が無いのに倒す必要は無いんだ。無駄に殺生する気は無いんだ」


「じゃあ、これを触ってみて」


ルシアはヘラクレスオオカブトをフランツに近付ける。


「それをこちらに近付けないでくれ。気持ち悪いから…」


フランツは一歩後退り、弱々しく反論する。


「まあまあ」


「だからやめるんだルシア。苦手では無いけど僕は虫が気持ち悪くて側に寄ってこられただけで気分が悪くなるんだ。」


「ちょっと触るだけでいいから」


「やめてくれないか。気持ち悪いって言ってるだろ」


「分かったわよ。もう止めておくわ。あんた虫が苦手だからね。怖いんでしょ?」


「いい加減にしてくれないかルシア。君もしつこい。僕は虫は苦手では無いんだ。ただ気持ち悪いから触りたくな」


フランツが言い終わる前にルシアはヘラクレスオオカブトをフランツの肩に乗っける。


辺りに声にならない悲鳴が鳴り響く。



+++++



「ルシア…マジでいい加減にしろよ…」


「ごめん、ちょっと調子にのり過ぎた」


フランツはまるで亡霊の様な雰囲気を纏っていて、疲れきった表情で睨んでくる。

流石にはしゃぎ過ぎたと反省するルシア。


(フランツには悪い事しちゃったわ…いつも私を扱き下ろしてくるからやり過ぎたわ。反省しなきゃね)


「少しよろしいかしら」


パトリシアが2人に問いかける。


「どうしました?」


「私のお友達になって貰えないかしら」


「私達がですか?」


「お二人は私よりお強い実力者で交流を深めればいい刺激になると思いましてね。それに、私は友と呼べる人が1人もおりません。」


「パトリシア様に友人が居ないなんて、本当でしょうか?」


フランツは申し訳なさそうに質問する。


「そのまさかよ」


「そうでしたか。これは失礼」


「構わないわ。それで、お友達になっていただけないかしら」


「僕でよければ」


「私も大丈夫です」 


「ありがとう。これからよろしくね」


「はい!」


「こちらこそよれしくお願い致します。」


(正直、パトリシアとは関わりになりたくないけど、何かかわいそうだし友達になってあげるか。)


あまりお近づきになりたくはなかったがパトリシアに哀れみを感じたのでひとまずパトリシアとは友達になった。


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