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第20話


剣術の授業を終えて帰り支度をしているとラルドがこちらにやってくる。


「お前達の戦いを見たぞ!ルシアはあのパトリシア嬢を倒したし、フランツは俺の予想を遥かに超える強さだ!!」


ラルドは2人の強さにハシャいでいる。


「殿下に評価を頂いて光栄でございます。僕も精を尽くした甲斐があります。」


「私の試合を見てくださりありがとうございます。」


「そう畏まらなくてもいいぞ。お前達は俺の予想を超えて驚かせてくれるから、これからも期待しているぞ。」


「はい。殿下の期待に添える様、頑張ります。」


「ルシア、君の強さには驚いたよ」


レスターがルシアに接近してきた。


「兄上!」


「レスター殿下!?お久しぶりです!」


「これはこれはレスター殿下。」


「楽にしてくれて構わない。ルシアはあのパトリシアに勝つなんて素晴らしいよ。私はパトリシアに一度も勝ててないのにやるじゃないか。」


「お褒め頂いて光栄ですわ。殿下も素晴らしい腕をお持ちですこと」


「そう言って貰えて嬉しいよルシア」


(私を評価してくれるのは嬉しいけど、レスターにはあんまし関わりたくないのよね。私も巻き込まれるかもしれないし…)


ルシアはレスターに表面上は礼節を尽くしているが、目を合わせようとはせず、一歩引いた態度を取っている。しかし、レスターはお構い無く距離をつめてくる。


「それにしても、そこまで優れた剣の腕を持っているなんてどこで身に付けたんだい?」


「フランツとよく鍛練をしているんです。それから少しの間、ある女性に鍛えてもらいました。」


「君をそこまで強く育てられる女性がいるなんて驚きだよ」


「私もそう思いますわ」


「話が変わるんだがルシア、学院での生活はどうかな?」


「順調ですわ殿下」


「もし何かあったら力になるよ。」


「ありがとうございます。ですが今は大丈夫です。それに私はしがない男爵令嬢です。私の様な低い身分の者と仲良くしすぎるのも気を付けた方がよろしいですわ。」


「そう卑下する必要は無いよ。君は優れた実力の持ち主だ。それに私は低い身分だからと蔑む気は無いから安心して頼ってくれないか。」


「必要でしたら頼らせて頂きます。」


「ああ。所でルシア、放課後は空いているかな?」


「申し訳ございませんが予定がありまして…」


「…なら仕方ないね」


レスターは何か言いたげだったがその場を去っていき、ラルドも後にした。




「レスター殿下もどうして私に構うのかしら?やっぱり私がヒロインだからかな?」

 

「君は王族に好かれる宿命でもあるんじゃないか」


「面倒ね・・・ハァ・・・」


レスターとは関わりたくないのに、しつこく迫ってくるレスターに溜め息を吐く。


「ねえフランツ、私の婚約者にならない?偽装でいいからさ」


「僕にだって選ぶ権利がある」

 

「どんだけ私が嫌なのよ!?」


「シンプルに性格が悪い所と僕を都合よく利用したりすがってくる所が受け付けない」


「いい加減にしろよ!!」


フランツの辛辣な発言にルシアはキレるのだった。



+++++



放課後になったのでルシアはフランツとカフェで寛いでいた。


「レスター殿下や原作キャラとどんどん縁が出来たんだけどどうにかならない?」


「退学して領地に引きこもるとかはどうかな?」


「まだ駄目よ。親が学費払ってくれてるし、それに私もまだ学院でやりたい事あるのよ。」


「そうか、なら仕方ないね。それからルシア、君に渡したい物がある。」


フランツは懐から小さい瓶を取り出した。


「何よそれ」


「毒薬だ。これを飲めば苦痛を感じずに眠る様に死ぬ事ができる。もう詰んだと思ったらこれで自害するといい。」


「お前は私に死んでほしいのかよ!!?」


「君がざまぁされそうになったらを考えて作ったんだ。ざまぁされるぐらいなら楽に死んだ方が救いがあると思ってね」


「そういう優しさはいいのよ!一応貰っとくけど!」


ルシアは何だかんだいって差し出された毒薬を懐にしまう。


「ルシア、僕に出来る事なんてたかが知れてるんだ。あまり頼りにされても困る」


「あんたは優れた能力があるんだから何とかならないの?」


「僕でもそういうトラブルに対処するのは苦手だ。それに、これは決まった運命なんじゃないかと思うんだ。」


「決まった運命?」


「ああ。この世界は漫画の世界なんだよね」


「ええ、その通りよ。この世界は「婚約破棄されて追放された悪役令嬢ですが、精霊と力を合わせて復讐しますわ~」の世界。略して、婚復の世界よ。」


「婚復って…もっといい略し方は無かったのか?」


「いいじゃん。そもそもタイトルが無駄に長いのよ。とりあえず婚復でいいじゃん。」


「分かった、ひとまずそれでいこう。」


「婚約破棄されて追放された悪役令嬢ですが、精霊と力を合わせて復讐しますわ~」のタイトルが長いので、婚復という略称で呼ぶ事にした。


「ええ。それで決まった運命ってどういう事?」


「この世界は婚復という漫画の世界で主人公の悪役令嬢が婚約破棄と追放された復讐に精霊と力を合わせて王子とヒロインにざまぁする運命があらかじめ決まっていて、どう足掻いても君は王子と共に復讐される運命なんじゃないかと思うんだ。」


「マジかよ!?だったら完全に詰んでるじゃん私!!」


ルシアはフランツの立てた仮説を聞いて狼狽える。


「とはいっても僕の立てた仮説に過ぎないから、そうと決まった訳ではないよ。」


「そうね、少し取り乱したわ・・・」


「ただ、その可能性も少なからず存在するから一応気を付けた方がいいね」


「マジでか・・・ハァ・・・とりあえず気を付けておくわ」


「お待たせしました」


ルシア達の注文が届いた。


二人はフルーツサンドとフルーツのジュースを頼んだ。


「このフルーツサンド美味しいわ」


フルーツサンドにはイチゴとキュウイとブルーベリーが使われていてルシアの口に合った。


「ああ、このジュースの味も格別だ。」


様々なフルーツを使って作られたジュースを飲んだフランツも満足している。


「美味しい物食べたら元気が出たわ!」


「それは良かった。」


「なら、これからざまぁされない様に頑張るわ!フランツも手伝って!」


「僕は手伝う事は出来ないが応援してるよ」


「そこは手伝いなさいよ!」



+++++



今日は魔物との戦いの授業で生徒は魔物と戦うべく、森に来ている。ランベール王国は魔物がよく発生する。魔法学院は魔物と戦う人材を育成する為の機関としての側面を持っている。


生徒達は各自、班を組んで魔物の退治に挑む事になる。班の人数は3人は必要で魔物と戦う事もあって、魔物との戦闘が得意な教師が10人以上もいる。


「フランツ、一緒に組みましょうよ」


「ああ分かった」


「後は誰か適当な人に声をかけるわね」


ルシアは他の人に声をかけようとする。


「共に組もうじゃないか」


レスターが早速、ルシアを誘いにきた。


「後1人必要だから、一緒に組まないか」


「申し訳ありませんが私はフランツと組んでおりまして…」


「それは残念だ…」


レスターは残念そうに去っていく。


「僕が殿下に目をつけられないか心配だ」


「何でよ?」


「君がレスターとの誘いを断る口実に僕を引き合いに出してるだろ?」 


「ごめん。でも実際あんたとの用があるのは本当だから勘弁してよ」 


「分かってるさ。ただ、僕も殿下からやっかみを受けるか心配なんだ」


「確かにね。殿下も婚復の原作では婚約破棄と国外追放して、悪役令嬢から復讐される人間性をしてるからその可能性もあるわね。」


「しばらく距離を置かないか?」


「それは勘弁してよ。私はあんまし友達いないし、いざという時にあんたを頼れないじゃん」


「後者が本音なんだね…まあいっか。何だかんだで君といるのは楽しいし」


「あんたも私に魅了されてるんじゃないの?」


「それは無いから」


駄弁っていると誰かが近付いてくる。


「ねえ、一緒に組んで下さらないかしら?」


「パトリシア様!」


パトリシアがルシアに班を組んで貰える様に頼みにきた。


「これはこれはパトリシア様、お久し振りです。」


「楽にして戴いて構わなくてよ。私はあなた達に興味あるから組みたいのだけれど構わないかしら?」


「どうする?僕は構わないけど」


「私も大丈夫です」


「なら組みましょうよ」


「ええ、お願いいたします」


「よろしくお願いします」


ルシアはフランツとパトリシアと班を組む事になった。


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