第17話
ランベール王立魔法学院に入学して初めて授業を受ける日だ。学院では主に魔法に関して学ぶ事に力を入れている。最初は魔力量を図る。
魔力量には個人差があるが、鍛え続ければ自分より魔力量が上の物を追い越す事も出来る。魔力量が多い方が魔法を使った戦いに有利だが、かならずしも勝てるとは限らず魔力量が下の者が自分に勝る魔力を持つ者に勝利した例も少なくない。
ルシアの番が来た。
「ルシア・フルニエ、前へ。」
「はい」
ルシアは魔力を観測する装置に手をかざし、早速魔力を図る。
「魔力量がこれ程とは…素晴らしい」
魔力の計測を担当する教師は感嘆の声を漏らす。
「素晴らしい魔力の持ち主ですね。」
「いえいえ」
担当の教師に褒められてルシアの鼻が高くなる。
「パトリシア・フォンティーヌ、前へ」
「はい」
パトリシアは前に出る。
「魔力量がこんなにもある…だと!?」
パトリシアの魔力量に教師は腰を抜かしかける。
「す、素晴らしい魔力だ!彼女はランベール王立魔法学院において歴代でも有数の魔力量の持ち主だ!!」
教師はパトリシアの規格外の魔力に興奮を隠せないでいる。
(嘘!?私よりも遥かに魔力があるじゃないの!!?もし敵対したら私がヤバいわ!!)
ルシアはパトリシアの魔力量に強く警戒する。
パトリシアに続いて他の原作キャラも魔力を図る。
レスターはパトリシアの次に高く、ラルドはその次に高い。アルベールは原作キャラだと一番魔力が低く、コンラッドはラルドとアルベールの間ぐらいの量はある。
魔導騎士団の団員の平均的な魔力量は上級魔法を数回は使える程で原作キャラの魔力量は騎士団員の平均値を優に超える魔力量を持っており、全員が規格外の魔力の持ち主である事がわかった。
(やっぱり原作キャラなだけあって凄い魔力ね。)
ルシアは素直に感心する。
(そろそろフランツの番が来るわね)
「フランツ・ガルシア、前へ」
「はい」
名前を呼ばれたフランツは教師の指示に従い、魔力を図る。
「魔力量は・・・・・な!?ここまであるのか!!!?」
教師は生徒の中で誰よりも高い魔力量にひっくり返る。
「有り得ない!!パトリシア・フォンティーヌを超える魔力があるなんて規格外にも程がある!!歴代でも一、二を争いますぞ!!!」
教師は驚きの余り、声を荒らげる。
周りの生徒もフランツの膨大な魔力量に驚きを隠せない。
(流石はフランツね!バグなだけあって、パトリシアより優れてるわ!!フランツが味方になってくれたら心強いのに!)
フランツが戻るとルシアが話しかける。
「凄いじゃんフランツ!!あんたが一番魔力があるわ!」
「僕も鼻が高いけど、王子殿下の顔をつぶしかねないのが心配だ」
「大丈夫よあんたが居なくてもパトリシアの方が王子より魔力が上なんだから!」
「まあそれもそうだね。」
ルシアがはしゃいでいると誰かがこちらに近付いてくる。
「あなたがフランツ・ガルシアね」
声をかけてきたのはパトリシア・フォンティーヌ。原作主人公の悪役令嬢だ。
宝石の様に輝く金髪の髪もバランスの取れた顔のパーツもパトリシアの美しさを物語っている。
「あ…貴女はパトリシア・フォンティーヌ様。初めまして、フランツ・ガルシアと申します…」
相手が公爵令嬢というのもあってか、フランツは緊張しながらも礼儀正しく対応する。
「初めましてパトリシア・フォンティーヌ様。私はルシア・フルニエでございます。」
ルシアもフランツに続き、挨拶する。
「フランツ・ガルシアにルシア・フルニエね。二人共、そうかしこまらなくても構わないわよ。」
「そう言って頂き有難いです。それで、僕に如何様でしょうか?」
「あなたは私より優れた魔力の持ち主ですので、顔を見たく思いましてね」
「光栄にございます。ですがあなたも優れた魔力の持ち主ですし、魔法の技術に関してはあなたの方が勝ると思いますよ。」
「あら、そうかしら。私は貴方の方が魔法にも優れていると思いますわ。」
「そうでもありませんよ。僕は属性魔法は初級魔法しか適性がありません。」
属性魔法の適性のある者は限られている。使えたとしても大抵が初級魔法か中級魔法止まりで上級魔法を使える者は一握りしかいない。
フランツは膨大な魔力を誇るが、どの属性も初級魔法しか使えない。
「それは勿体ないですわね。」
「ですが僕には膨大な魔力がありますので後は技術さえ磨けば充分補えます。」
「その前向きな姿勢は嫌いではありませんわよ。では失礼」
パトリシアはその場を去っていく。
「ちょっと性格キツそうだけどいい人そうだね。」
「ええ。でもざまぁする糞に成り下がるかもしれないから不安なのよ」
「まあ確かにざまぁする人間が性格がいいとは思えないよ。だけど、大勢が見てる前で婚約破棄されて国外追放されたら性格が歪むのも当然だよ。そして、自分を破滅させた相手に復讐できる力を手に入れたらざまぁしたいのも無理はない。それにそうなったとしても君よりはマシだと思うな」
「あんたは一言多いのよ!!」
「お~いルシア!フランツ!」
ルシアとフランツにラルドが話しかけてきた。
「ラルド殿下。お久しぶりです。」
「お久しぶりです。」
二人は挨拶する。
「うむ、久しいな。それからフランツ、お前は凄く魔力があるな!あのパトリシアを超える魔力量は恐れいったぞ!それに三種類の、属性を使えるとは恐れいった。」
「僕も殿下に評価されて光栄です。ただ、僕は初級魔法しか使えないのでこれからもより魔法を磨きます。」
「初級魔法しか使えないのか。だがそれだけ魔力があれば充分補えると思うぞ。」
「そう言って貰えて嬉しいです」
上級魔法は初級魔法や中級魔法よりも多大な魔力を使うがその分、威力も桁違いに高い。ただし、適性が無ければいくら魔力があっても使う事が出来ない。一応、上級魔法が使えなくても、初級魔法や中級魔法に膨大な魔力を注げば上級魔法に相当する威力を出す事ができる。
だが、それをするには中級魔法だと上級魔法の倍の魔力を使わなければならない。初級魔法だと更にその倍、計4倍の魔力を使わなければ上級魔法並みの威力を出せない。それ故に初級魔法や中級魔法の威力を上級魔法並みに底上げするのは現実的ではない。
「次の授業は魔法の試し撃ちだ。お前なら面白い結果を見せてくれるのを期待しているぞ。」
「殿下の期待に応えられる様、頑張ります。」
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午後になると、魔法を撃つ授業だ。生徒達が的に向けて魔法を放つ。放つ魔法に指定は無く、無属性の魔力弾や属性魔法などそれぞれが様々な種類の魔法を放つ。優れた者や劣ってる者、魔法の腕も千差万別だ。
「次」
「はい」
ルシアは呼ばれたので返事をして的の前に立つ。
「はあっ!」
ルシアは魔力弾を的に向けて撃つ。魔力弾は真ん中に当たる。
「素晴らしい。精度も高く、着弾した部分もひびが少なく、無駄な破壊が殆どない。これからも精進する様に。」
「ありがとうございます」
ルシアは一礼して下がる。
「次」
次はフランツだ。フランツは魔力弾を的に向けて放つ。的の真ん中に命中した。
「おお…!精度も申し分ないが、全くひび割れていない!無駄な破壊がなく完成された魔力弾だ!!フランツ・ガルシア!未来の魔法界の期待は君の双肩にかかっておりますぞ!」
「そ、それほどですかね…」
フランツは教師の称賛に嬉しく思いつつも若干、困惑している。
「君には期待してますぞ!」
「御期待に応えられる様、頑張ります。」
「ルシア君も期待しているから頑張ってくださいね。」
「はい!」
評価されてご機嫌なのか、ルシアは嬉しそうに返事をする。




