第16話
もうすぐ私は16歳になる。
そろそろ魔法学院に入学する時期ね。原作キャラには会わない様にしたいけど、まあ何とかなるわ。私は何だかんだで鍛えられたし、ざまぁされそうになったらその時は逃げればいいわ。
その時は家族が割りを食うだろうけど、関係無い。生き残る為には私は家族を見殺しにする悪党にもなってやるわ。
「駄目駄目、ネガティブな事ばっか考えてとら上手くいかないわ。それに必ずしも悪役令嬢と関わる訳ではないんだし、ざまぁされそうになった時に考えればいいわ。」
「とにかく今は勉強よ!入学する為にも勉強はしなきゃね」
お父様やお母様もその為にお金を出してくれているから、ちゃんと勉強しなきゃね。
よし、頑張るぞ!
あれから必死に勉強してランベール王立魔法学院に受かった。勉強はそれなりに大変だったけど、やりがいはあったし受かった時は努力が実って嬉しかった。
試験の成績は9位。かなりいい成績で嬉しい。
「受かった様だね」
フランツが声をかけてくる。
「ええ受かったわ。私は9位を取ったわ」
「流石だな。僕は18位だ。」
「あなたなら首席ぐらい取れるでしょ」
「王子殿下の方々に対する忖度も兼ねてこれぐらいの点数にしたんだ」
「悪目立ちしたくないのね」
「僕はあまり目立ちたくないからね。だが、僕や君の優れた才覚はわかる奴にはわかるからバレるのも覚悟しなきゃならないよ。君の言う原作キャラにもバレるかもしれないな」
「そうね。原作キャラは皆が皆、優秀な実力者ばかりだからね。できれば関わりたくはないわ。」
「君はヒロイン(笑)だったね。」
「ええ、残念な事に。」
「僕達はラルド殿下とはそれなりに親しいからそれが原因で君の言う悪役令嬢とも縁ができる可能性はあるよ。」
「ラルド殿下とは親しいからパトリシアと知り合うかもしれないわね。」
「もし君がざまぁされても僕は助けられないけどまあ頑張ってくれ」
「そこは体張っても助けなさいよ」
「ざまぁとかいう低俗な事柄には巻き込まれたくないんだ」
「本当にあんたって奴は」
フランツの奴を巻き込もうと思ったのにちったあ私を助けろよな。
とはいってもどれだけ泣き喚こうが誰も助けてはくれないから、自分で助かるしかないわ。
本当に悪趣味な漫画の世界に転生したわね。
「逃げる算段ぐらいは考えといてよね」
「それぐらいならいいよ」
「とりあえずどのクラスになるのか見ましょうよ」
二人はクラスを確認しに行く。
ルシアはクラスにどんな人が所属するのか確認する。生徒の名前が載っている紙を注意深く見ていると、急に地面に突っ伏した。
「どうしたんだ?」
不可解な行動を取るルシアにフランツは語りかける。
「なんで、何であいつらと同じクラスなのよーっ!!!」
ルシアのクラスの生徒の名前が書いている紙には以下の名前があった。
レスター・ランベール
ラルド・ランベール
アルベール・ダヴィット
コンラッド・ローラン
パトリシア・フォンティーヌ
全員、「婚約破棄されて追放された悪役令嬢ですが、精霊と力を合わせて復讐しますわ~」の原作のキャラクターだ。
「原作キャラのクソ共に関わりたくなかったのに、何であいつらと一緒のクラスなのよ!!!?」
「それでショックを受けてたのか」
「ちくしょー!あいつら私の関係ない所で死んでくれよーっ!!!」
ルシアの目元は涙ぐみながら叫ぶ。
(相変わらず口も性格も悪い奴だな・・・)
フランツは暴言を吐くルシアを冷めた目で見る。
+++++
ルシアはクラスで簡単な自己紹介をして、席に戻る。レスターはイケメンで物腰も柔らかい立ち振舞いで女子から黄色い声援を浴びている。
「レスター殿下モテモテね。まあモテるだけの魅力はあると思うけど」
「流石はレスター殿下だ。」
ルシアはレスターを眺めながらフランツとレスターの批評をする。
レスターはふと、ルシアの方向を見る。ルシアはレスターと偶然、目が合う。
(ゲッ!レスターと目が合った!?)
すると、レスターはルシアに微笑む。
(笑顔は爽やかね…一応愛想笑いぐらいはするか)
ルシアはレスターに当たり障りない愛想笑いを返す。
自己紹介が終わった後、学院の説明を聞いてからお開きとなった。
「一緒に帰りましょ」
「ああ。」
ルシアはフランツを誘って帰ろうとする。
「君がルシアか?」
すると誰かがルシアに声をかける。
「貴方はレスター殿下!」
レスターだ。レスターがルシアに話しかけてきた。
「これはレスター殿下。初めまして、ルシア・フルニエです。」
「僕はフランツ・ガルシアです。」
「いきなり話しかけて申し訳ない。私はレスター・ランベールだ。君達も知っている通り、ランベール王家の第一王子だ。」
「それで、しがない男爵令嬢の私に何か御用でしょうか。」
(クソッ何の様で話しかけて来やがったんだよクソッタレのレスターめ!!こっちはあんたと関わりたくねえのに!)
ルシアは内心毒づきながら表面上は礼儀正しく対応する。
「君が余りにも可憐で麗しいからつい声をかけたんだ。」
「そうですのね。王子殿下にお褒めに預かり光栄でございます。」
(まあ褒められるのは悪い気はしないわね。レスターも見る目はあるわ)
レスターに褒められたルシアは満更でもない。
「ルシア、予定がなければこの後街に遊びに行かないか?」
(コイツ、婚約者がいるのに私にコナかけにきやがった!ふざけんな!テメェとなんて死んでもゴメンだわ!!つーかテメェのせいでパトリシアのアホに目をつけられんだろーが!!)
「申し訳ありませんが、それは出来ません。王子殿下、貴方には婚約者のパトリシア様がいるではありませんか。」
ルシアは心の中で毒を吐きながらも、丁寧に断る。
「そ、そうだったね。僕とした事が婚約者を疎かにしていたよ。感謝するよルシア。」
レスターはそのまま後にした。
「っぶねーな。レスターの野郎め、ファッキンパトリシアに絡まれるだろーが!」
「君の性格が終わってるのはいまに始まった事じゃないがどこで誰が聞いてるのかわからないのにそういう事を言うのはやめときなよ」
レスターが居なくなるや、レスターとついでにパトリシアにかなり失礼な事を言うルシアをフランツはたしなめる。
「レスターの野郎と縁が出来やがったから、パトリシアや他の原作キャラとも御近づきになるわね。こうなったら本格的に奴らをぶっ殺して逃げる算段を考えなければならないわ。」
「何でそうなるんだ?相変わらず野蛮だね」
「う…確かに殺すのはやり過ぎね…でも、クソ原作のクソキャラ共と御近づきになったらろくな事にならないのよ!!フランツもどうにかしなさいよ!」
「どうにかしろと言われても僕ではどうにも出来ないよ。とにかくのらりくらりと当たり障りなく立ち回るしかないよ。」
「そうね。とりあえず今は適当にあしらうぐらいしか無いわ。とりあえずどっか適当な喫茶店でお茶しない?何か紅茶が飲みたくなったわ」
「いいね。僕も飲みたくなったしいこうか」
考えても埒があかないので喫茶店で紅茶を嗜む事にする2人であった。




