第14話
「う、嘘…」
「あれはアースドラゴン…何でこんな所に…」
二人は本来、この地域には居ないドラゴンに驚愕を隠せない。
アース・ドラゴンは地中や荒野に生息するドラゴンで、飛行も出来るが地面を走ったり地中を掘り進む方が得意なドラゴンだ。幼竜の状態でも4~8mはあり、成竜になると20mを超える巨体になる。
中には50mを超える巨体もいる。
炎のブレスを吐く他に、土や石を操る事も可能である。
戦闘力は高く、確実に勝つ為には魔導騎士団の騎士を最低でも3人は必要である。
「アースドラゴンがどうしてここにいるのよ!!?この国には居ないハズよ!」
ルシアは本来この国には生息しないアースドラゴンの発生に狼狽えている。
「それに外見も変よ!何というかサイボーグみたい…」
ルシアの指摘した通り、このアースドラゴンは通常のアースドラゴンと外見に差異がある。
その肉体には大砲や金属のパーツがくっついており、メカニカルな外見をしている。
「とにかく逃げよう!」
「ええ!」
2人は逃げようとする。だが…
「グルルル…ガアアアアー!!」
「気付かれたか!!」
アースドラゴンが2人に気付いた。
アースドラゴンは2人に向けて、口から砲弾の如き炎の塊を連発する。
「おっと」
「危ないわね」
だが、2人は全て回避する。
2人が避けた炎は地面に着弾して10m近い爆発を起こした。
「これは直撃しては駄目だな」
「1発でこれだけの爆発を起こすなんて食らったら即死するわ。でも、ハルトの魔法に比べればまだマシに見えるわ」
「確かに。手強い相手なんだが僕らの感覚が常人離れしてるから少し手緩く感じるね。」
ドラゴンは生物の中でもトップクラスの強さを持つ存在でアースドラゴンはそのドラゴンの一種で強大で危険な生物である。
だが、ルシアもフランツもハルトに鍛え抜かれているので、ランベール王国に生息しないアースドラゴンとの遭遇には驚いてはいるが対して取り乱していない。
「ねえ私達で倒しましょうよ。倒したら箔がつくわよ」
「本来なら真っ先に逃げるべきだが、僕も自分の力を試してみたい。奴と戦おう。」
「そうこなくっちゃ」
「だが、いつでも逃げれる様にしときなよ」
「わかってるわよ」
「グアアアー!」
アースドラゴンは背中の大砲から砲弾と魔力光線を2人に向けて連射する。
ルシアとフランツは飛んでくる砲弾と光線を躱し続けてアースドラゴンとの距離を詰める。
アースドラゴンは肩のウェポンラックからミサイルを放つ。
ミサイルは二人を追跡するが、二人は追跡してくるミサイルを魔力弾で撃ち落とした。
「何だこの砲弾は?僕達を追跡してくるぞ」
「ミサイルまで使ってくるとは思わなかったわ。」
「そのミサイルという物はまた今度聞かせてくれないか」
「いいわよ。他にも面白い話を聞かせてあげるわ」
「それは楽しみだ。なら、このドラゴンを倒してから聞くとしよう」
軽口を叩きながらもアースドラゴンの猛攻に的確に対処する2人。
ルシア達は追ってくるミサイルを対処しながらも、ミサイルを放つウェポンラックに魔力弾を命中させる。
「ガアアアアアア!!!」
魔力弾の直撃でウェポンラックが爆発して、アースドラゴンにダメージを与える。
「背中は頑丈そうだから腹を責めるか」
フランツはアースドラゴンの腹部を狙う為に腹部に回り込む。
だが、腹から無数の電気がフランツに向かって放たれた。
「危ない!」
フランツは咄嗟に防御魔法で防ぐ。
「食らえ!!」
フランツはアースドラゴンの腹に向けて機関銃の如く複数の斬撃を飛ばす。
何十発もの斬撃を腹に食らったアースドラゴンは苦しみ悶える。
「私だって負けてられないわね!」
炎を噴き出す寸前のアースドラゴンの口が開いた瞬間に、ルシアは魔力弾をアースドラゴンの口の中に命中させる。
ドォォォン!!!
魔力弾の直撃で吐き出そうとした炎が口の中で暴発して大ダメージを受けるアースドラゴン。
アースドラゴンはルシアに背を向けて逃げる。
「逃げた様ね。追撃した方がいいかしら?」
「いや放っておこう。無理に追った所でこっちが手痛い反撃を食らうかもしれない」
「確かにね。なら帰って報告しよう」
アースドラゴンと遭遇して撃退した事をギルドに報告する。
「本当かいそれは?」
ギルドの職員が怪訝な表情で疑う。この国には居ないアースドラゴンが現れたと言われても疑うのは無理も無い。
「まあ疑うのは無理も無いでしょう。ですが、現場を見れば分かります。一応現場の写真を撮ってきました。」
フランツはカメラで撮ってきた写真を見せる。
「確かにこれはアースドラゴンの掘った穴だね。ドラゴンの写真は無いかな?」
「一応ありますがかなり荒いです」
フランツはアースドラゴンの写真を出した。
「ボヤけて見えるが確かにこれはアースドラゴンだな。とりあえず写真は預かりたい。」
「分かりました。お任せします。」
ルシアとフランツは後はギルドに任せて帰る事にした。
「それにしてもあのアースドラゴンはかなり変わってたわね。ミサイルとかキャノン砲で武装してるしあんなアースドラゴン居なかったわ」
「ドラゴンを兵器に改造するなんてかなり優れた技術力が無きゃ出来ないな。ミサイルとかいう兵器もそうだが、もしかして君以外に転生した存在も居るんじゃないかな」
「私以外の転生者ね・・・その線も否定出来ないわ。それかあんたみたいにこの世界のバグかも知れないわね」
「いずれにしても僕らにとって友好的とは言えないね」
「全くね」
「今は考えても答えは出ないし、晩御飯でも食べに行こう。」
「いいわね。私はステーキが食べたいわ」
「僕はTボーンが食べたいな」
「シャリアピンも捨てがたいわ。」
ルシア達が夕飯を食べに行ってる頃・・・
ここはかつて要塞として使われていた砦の跡地。ルシア達がアースドラゴンと戦った場所から数百Kmは離れた場所に存在している。
その廃城をある存在が研究施設として使っている。
「私が改造したアースドラゴンの状態はどうだ?」
全身にローブを纏った存在が部下に訪ねる。
「損傷率37%です。」
「中々の損傷率だな、すぐにメンテナンスだ」
「畏まりましたグレンオード様」
命じられた部下は下がる。
「私のサイボーグ兵器をあそこまで追い詰めるなんて手強い冒険者だ。」
「だが、彼らとの戦闘でいいデータは取れた。
いずれ起こる戦いの為に有効活用しなければな。」
「楽しみだ」
グレンオードと呼ばれた存在は不気味に笑う。




