闇み上がり編04
「調子はどう?」
「あれからは悪夢は見てないです。」
「だったら大した悪魔では無かったのかも知れない。安心したよ。」
ゼリオとテイラーはお礼を兼ねて、フランシス神父に会いに行っていた。
「ところで、なんであなたがここにいるの?」
テイラーが不満そうに言う。
「先生が引き継ぎ期限間近で、忙しくしてるから、私やることなくて。」
テヘ
テイラーが『そんなことを聞きたいんじゃ無い!』と思っていると神父のお言葉があった。
「シェリルは見た目より少し幼いから、優しくしてやってほしい。」
ゼリオとテイラーが「「?」」になっているとシェリルが理由を話した。
「4年前だったかな?サマーバケーションでフィジーに行った時に、私、意識不明になっちゃったらしいの。」
それを聞いたテイラーは、ごめんないとハグをした。
「私は、あなたとハグしたい!」
テイラーのハグを解いてゼリオに抱きついた。
「ぬっ!?!?」
『相手は子供!』と自分に言い聞かせるのであった。
「悪い感じ無くなった!よかったね!」
「悪い感じ?私の中にあった悪い感じが何かわかるのか!?」
抱きつかれているゼリオが聞く。
「??何かって??」
「悪い感じの正体のことだよ!」
「私が愛しているのは、あなただもの。」
そう言い、ゼリオの元を離れ、神父の横に座った。
「答えになってないじゃないか!」
「愛してるって、あなた達、この前初めてあったのでしょ!?」
すると、フランシス神父が笑いながら言う。
「彼女は問題を抱えた人を笑顔にする魔性を持っているんだ。それは[あざとい]とも言うのかも知れないけど、彼女の場合、素敵な才能なんだよ。」
「色んな患者と仲良さそうでしたもんね。」
テイラーは腕を組み、ため息をついた。
「確かに、彼女は魔性を持っているようだ。」
「なに、まんざらでも無い顔してるの?信じらんない!」
テイラーはゼリオに少し煽りを入れ、怒こる素振りをした。
フランシス神父は話しを戻し、ゼリオに質問する。
「悪夢についてあなたは、最もなりたく無い自分になっているようだと、リーンに言ったね?」
「はい。」
「それこそが悪魔の所業なのだ。奴らは最も恐れていることを見せるのだよ。君は誰かに恨まれたり、古いレリックに触れたりした記憶はあるかね?」
「・・・特に思いつきません。」
「そうか。もしまた、救いを求めるのならば、
また神の元へ来なさい。」
そう言い、神父は祈りを捧げてくださった。
帰り際、ゼリオは質問した。
「神父様、悪魔とはなんなのでしょう。」
「あなたは、この本が何か知っているかね?」
フランシスは聖書を手に取った。
「正直…わかりません。」
「この聖書はね、神の救いの伝承なのだよ。」
聖書を広げ、言う。
「悪魔にも聖書が存在するのだが、その聖書は、悪魔の救いの伝承なのだ。」
そう言い、聖書を閉じた。
「神も悪魔も救いの想いがある。その想いはどちらも愛なのだ。その愛が届いた方が救いとなる。」
フランシスはゼリオに語りがける。
「悪魔とは、愛の行き場を無くし、憎となった想いなのだよ。」
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