番外編02 団子3兄弟
「完成だ!」
「時間かかったな。ちゃんと走るといいが…」
「ペイントがまだじゃないか、自分がエンジンを用意したんだから、それだけは譲らないよ。」
「そうだったな。ペイント頼むよ。」
中学生になった彼らはスクラップでレイジングカートを完成させようとしていた。
シュー シュー シュー
「よし、完成だ。」
ネイサンが完成の声をあげる。
「なんだよ、このペイント。落書きに見えるぞ!」
ジョナサンがツッコむ。
「性能に関係しないから別にいいじゃないか」
ネビルは無関心だった。
完成したカートを走らせることに。
コースはスクラップ場。小学生の頃からコツコツコースを作っていた。
エンジンをかける。
「ジョナサン、テスト運転だ。ガチになるなよ?」
「分かってるさ、ネビル。」
ネイサンは黙ってカート(ペイント)を見つめる。
「「「走ったぞ!」」」
ネビルとネイサンはハイタッチをする。
「よし。いくぜ!」
カートを急加速させた。
「「よせ!!」」
バゴーン
「「マジかよ………」」
ある日、ネイサンが新聞を見せてきた。
「見ろ!アマチュアのレイジングカートレースが開催されるみたいだ!」
「なんだって!?出よう!」
ジョナサンは即答だった。
「でも会場まであいつをどう持っていく?」
「「「・・・・・」」」
彼らが頼んだのは、ジョナサンのおじさん。
交渉はかなり苦労したが、やっとの思いで説得することに成功。
意外にも夢を追いかける系の人間が好きなみたい。
初めてのレースの日。
「おい!見ろよあのマシーン!!本気か!?」
レース会場に行くと、笑いの的であった。
「気にするな、お前らはお前らの仕事をしろ。」
おじさんは知らなかったが、いい人だった。
3人は決戦の時を迎える。
しかし…勝てるはずが無い。
「なにがいけなかった?」
ジョナサンは悔しがり、
「ジョナサンのテクは悪くなかった。
やっぱマシンがな…」
ネビルはカートを問題にあげる。
「あいつら、ペイントバカにしやがって」
「「ペイントはどうでもいいだろ!」」
2人の声はハモったのであった。
「走りを見させてもらった。俺にもロマンを感じてしまったよ。これからもお前らに協力しよう。」
それからおじさんとスクラップレース場で、試行錯誤を繰り返し、繰り返し、繰り返した。
が、優勝するまでには至ずじまい。
結局、彼らは結果を出せず、ずるずる日々を過ごすことになる。
いつしか母親はどっかの男のとこに行き、空いたスペースに、似た境遇のネビルと、勘当されたネイサンが転がり込むようになり、シェアハウスがスタートした。
「俺は整備の仕事をみつけたよ。お前らはどうなんだ?」
「「・・・」」
「おじさんのために、家賃を多く払おうって決めたじゃないか。くそ。俺は仕事いってくるからな」バタン。
ジョナサンはドライバーの夢が捨てきれず、ネイサンはデザインの勉強を独自でやっていた。
「なぁ、ジョナサン、この落書き知ってるか?」
「いや、知らないけど、なんだって言うんだ?」
「six deadのシンボルだ。自分達もsix deadに入れてもらわないか?」
「本気か?ネイサン!?」
「手っ取り早く車と金を用意するなら、これしかないと思う。」
2人はsix deadのメンバーになることを目指したが、結局メンバーにもなれないチンピラ同然に成り果てていた。
「ネイサン、ベビーカーを使った強盗知ってるか?」
「ここ最近増えてる強盗の手法だったか。」
「俺たちは犬を使って、車を盗まないか?」
ジョナサンは犬をパクって街に放し、車から降りたやつの車を盗む計画を話す。
「それはまずいって、そこまでしたら俺達もう戻れないぞ。」
「大丈夫さ、犬にはチップが入ってるんだ、犬も無事だし、1台盗めりゃいい。」
数日をかけ、やっと1人がひっかかる。
「やったぜ!これ新型スープラだ!」
「うまいこと行ったな!」
「おい、この車どうしたんだ?」
ネビルのいる整備場にスープラを持って行くと、ネビルが2人に質問する。
「「・・・」」
「おい、まさか…ありえない。」
ネビルは呆れた顔をした。
「待ってくれ!これがあれば、ストリートレースに出れるんだ!そしたらまた俺たちやり直せる!」
「・・・ちょっと待ってろ。」
ネビルはパソコンで何やら調べる。
「盗難届け出てない?お前ら本当にこれどうしたんだ?」
ジョナサンとネイサンは代車を借り、帰っていると、1人の男が目に入る。
「ジョナサン、あいつスープラのオーナーじゃないか?」
「多分そうだ…なんでやつは警察に通報してないんだ?」
そんなジョナサンは、良からぬことを考える。
「なぁ、あいつはカモだよ!やつの金品盗んでやろうぜ!」
「それこそまずいって!自分にはできない。」
「改造費が入ればレースに勝ちやすくなる!そしておじさんに恩を返せるじゃないか!」
そう言って、代車に載っていたハンマーを持って外へ出て行った。
「ジョナサンさん!待て!」
ドス
倒れたスープラの元オーナーを車に乗せ、スクラップ場へ向かった。
「これはやり過ぎだ!」
「金目のもん盗んだら病院に連れて行くから大丈夫だ!」
スクラップ場に着くと、金品を漁った。
「なんもないじゃないか、早く病院に連れて行こう。」
「ちゃんと息もしてるし、頭部は陥没していない!充血もしてないし、瞳孔も機能してるから問題無い!」
ジョナサンは彼を椅子に座らせ、手足を縛る。
「なにしてんだよ!」
ネイサンは怒り、外へ出て行ってしまった。
「ネビル、やばい。俺たちやばいよ…」
ネイサンは洗いざらいネビルに話し、
ネビルもこちらに向かうと、電話を切った。
切ったタイミングでジョナサンが外に出てきて数十分揉めることとなった。
「そろそろ起きてるかも知れない。いいな、俺たちはギャングだ。ギャングっぽくするんだ。」
ジョナサンの役者指導に、ネイサンさんは渋々頷くのだった。
※街に暮らす編03に続く。
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