街に暮らす編05
「それじゃあ、ジュリ。世話になったよ。」
「寂しくなるな。リフォームが終わったら招待する。それにガレージはそのままにしてあるから、遊びに来てくれ。」
ゼリオは片付けをしに来たジュリに感謝と別れを言って、新居へ向かった。
「今日からよろしく。」
「はい、よろしくです。俺らうるさいかも知れないですが、大目に見てくれると…」
「いいんだ、楽しそうな声がした方がいいよ。」
「ありがとうございます!そういえば、仕事も決まったそうですね?」
「ああ、近くのステーキ店に受かったんだ。肉の旨さを語ったら気に入られてね。」
「もしかして、あの高級ステーキ店ですか!?
今度、頑張って3人で食べにいきますね!」
「あぁ、仕事に慣れた頃に来てくれ。」
隣人に挨拶を済ませ、自分の部屋に入ると、食事が用意されていた。
「すごく美味しそうだ。」
「へへ、頑張っちゃった!」
テイラーが引越し祝いと言い、料理を作ってくれていた。
「これはなんて料理?」
「かき揚げの天ぷらと、おひたしと、そばって言う和食よ。日本では引越した日に蕎麦を食べる風習があるの。」
「和食か、初めて食べるよ。」
「舌に合うかな?食べましょう。頂きます。」
「頂きます?」
「ええ、食材の命や、作ってくれた人に感謝って意味なの。」
「いい言葉だね。頂きます。」
サクサク。
「この天ぷらすごく美味しい。フライとは別物に感じるよ。色んな野菜が入ってて食感が楽しいね!」
「嬉しい!蕎麦のつゆにつけても美味しいから試してみて?」
テイラーに日本人風の食べ方を教わりながら、綺麗に平らげた。
「すごく美味しかった、塩とつゆでも味が全然違うけどそれぞれ美味しいし、食べ方が無限に感じるよ。」
テイラーが何やら持ってくる。
「引越し蕎麦は、お隣さんにも配るの。一緒にあげに行こ?」
ゼリオとテイラーはお隣さんに蕎麦を渡しに行ったが、食べ方がわからないのと、普段から料理しないため、結局ゼリオの部屋で食べることになった。
「おしゃれな家具ですね!自分、デザイナー目指してるんで、センスいいのを感じます。」
ネイサンが興味深そうに観察している。
「テイラーに選んでもらったんだ。デザイナー志望か、かっこいいね。」
そんなこんなで蕎麦が茹で上がり、テーブルを囲った。蕎麦の味はわからなかったらしく、特にリアクションは無かった。
「ジョナサンとネビルは何か目指してるの?」
先程、ネイサンの話を聞いていたテイラーが質問する。
「僕はレーサーになりたいんです。」
「俺は整備士っす。」
2人はすみませんの顔をゼリオに向けた。
蕎麦を食べ終わると、3人はお邪魔だと思い、そそくさと帰って行ったのだった。
2人になった部屋でくつろいでいる時、ゼリオはテイラーに言葉をかけた。
「忙しいのに、色々手伝ってくれてありがとう。
本当に感謝してるよ。」
「私は選んだだけだから楽しかったわ。
運ぶのは、あなたの魔法のおかげで何もやってないけど、魔法って本当に便利ね。」
「自分でもそう思うよ。」
2人で微笑んでいると、テイラーが聞いてきた。
「出所してから、rib wreathについて調べてるけど、自分の調べたいことあるんじゃないの?」
「あったよ。けど…今は調べたくないんだ。
調べたとこで、虚しくなっていく気がして。」
「そうなのね。変なこと聞いてごめん。」
「いいんだ。」
「目覚める前の話は聞いていい?」
「あぁ、少しだけね。」
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