魔法のルーツ編02
「王子様はまだ魔法使えないらしいぜ。この国、ルーブルトの行く末が心配だよ。」
学校でも、いまだ魔法が使えないゼリオに白い目が集まっていた。
「気にすんなよ、ゼリオ。きっと使えるようになるさ!」
クラスメイトで親友のグリフィスはゼリオの良き理解者であった。
「ありがとう。そろそろ先生が来る。席に座ろう。」
ガラガラ
「本日より、私がこのクラスを担当します。
エムリス・マルジンです。よろしくお願いします。」
すると周りの生徒がヒソヒソ話し始めた。
「噂は本当だったんだな。」
「前任の先生が、王子は魔法を使えないって、アーロン王に伝えたらクビになったって話しだろ?」
「災難だよな…」
「最初の授業なので、魔法の基本について学びましょう。自分の中にある器を感じとって下さい。」
生徒達は目を瞑り、器を感じ始めた。それを出来ないゼリオは感じとる努力をした。
「感じているその器は、あなた自身の魂です。
感情によって、精度や威力が大きく変化します。魔法をうまく扱うためには自分を理解し、コントロールすることが大切です。」
依然として器を感じ取れないゼリオは、自分を理解することから始めた。
『魔法を使えるようになりたい理由は、
父に認められたい。母に喜んでもらいたい。
皆んなと友達になりたい。
普通になりたいんだ。』
脳裏に母の言葉がよぎる。
「あなたは特別な子よ」
『特別…そうか、べつに普通にならなくたっていい。自分ができることをすればいいんだ。』
それから、国外情勢や、政治、経済を学び、国の人々を知って行った。
「本当についてくるの?」
ゼリオは国外情勢を知るために、戦争の最前線に向かおうとしていた。
「俺も今後のために、戦争を見ときたいんだ。
弟がいれば安全だし、何かあったとしても、俺がいるから問題ないだろ?」
グリフィスは、弟のゼンフィスを連れてゼリオに着いて行くこととなっていた。
「ゼンフィス、怖くないか?無理に着いて来る必要はないよ」
「弟は、俺が行くところには必ず着いてくるよ。なっ。」
「兄さんは、僕が必ず守る。あと王子も。」
ゼンフィスの結界魔法を頼りに、最前線に向かった。
「なんだこの争い…ひでぇ」
「おい!グリフィス!前に出るな!」
あまりの惨劇に固まってしまったグリフィスは、ゼリオの声が聞こえていない。
「助けてくる。」
そう言って、2人を置いて無惨な街に向かって行ってしまった。
慌てて2人は、グリフィスを追いかけた。
「大丈夫ですか!?聞こえますか!?今治します!……クッ、死んでる…誰か生きてる人いませんか!?」
街には、流れ弾(魔法)が飛び交っていた。
「ゼンフィス、魔法を!!」
「あぁあああ、魔法が出ませんっ」
恐怖で感情をコントロールできていなかった。
ゼリオは落ち着かせるために、ゼンフィスの手を握った。「兄を守るのだろ?守りたいって願うんだ。」
この時、初めてゼリオは器を感じ取った。自分のでは無い器を。
「なんで出ないんだっ、守りたいのに、守りたいのに!」
ゼリオが結界魔法を放った。
が、グリフィスは倒れていた。
「ごめん、ゼリオ。ごめん、ゼンフィス。」
「自分で治癒魔法をかけるんだ!早く!」
「魔法が 使えないんだ。」
ゼリオはグリフィスの手を握り、器を感じ取って、治癒魔法をかけた。
「起きろグリフィス、起きろ!」
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