帰路編02
「パパ!歩けるようになったよ!」
「おお!本当だ!なんて回復が早いんだ!」
「もっとちゃんと元気になったら学校に通いたい!」
「いいとも、したいことをして欲しい。それがパパの幸せだよ」
ホテルには18:00頃着き、チェックインを済ませようとしたところ、なにやら揉めていた。
「1部屋も空いてないんですか? どこのホテルも空いてないんです。子供が具合悪いので早く休ませてたいんです。なんとかならないでしょうか。」
「申し訳ありません、本日は予約でいっぱいでして…」
「そうですか…すみませんがこの周辺で泊まれそうな施設は他にあるでしょうか」
そんな話を聞いていたテイラーが、先客に声をかけた。
「私達は2部屋借りているんですが、1部屋で十分なので、1部屋使ってください!」
「本当ですか!?いいんですか!?ありがとうございます!!ありがとうございます!!」
「お客様、よろしいのですか?」
「大丈夫ですよ、彼も私の意見に賛成のはずです。」
ねっ?っと言わんばかりの笑顔をする。
「その通りだよ、テイラー」
と、笑顔で返した。
ディナーに向かうため、先早にゼリオはコーディネートを済ませ、テイラーはバスルームで支度をしていた。
ガチャ
「どう?似合うかな?」
「とても素敵だ。」
彼女の美しさに、それ以上の言葉が出なかった。
「ありがとう。あなたもすごく素敵よ。」
この日のディナーも、完璧であった。
ディナー後、部屋でワインを開ける。
「このワイン、美味しい。」
適当に買ったワインだが、雰囲気もあってか、かなり美味しく感じられた。
「子供の体調大丈夫かな?」
テイラーは先客の親子を心配していた。
「きっと平気さ、おまじないかけといたから」
「・・・・・。ねぇ、緑色のガラスで私を守ってくれたのも、おまじないなの?」
その言葉に、彼女から目を外し、
「やっぱり君には見えてたか。おまじないのようなものなんだけど…」
目を見つめ直し、ゼリオは初めて魔法について口にした。
「魔法なんだ」
「魔法!?」
「そう、ほら」
結界魔法を使う。
「綺麗!!なんて神秘的なの!魔法って実在したのね! 」
「怖くないのかい?」
「それで私を守ってくれたんでしょ?」
「そうだよ。」
ゼリオは微笑んだ。
「私には見えたって特別なことなの?」
「あぁ特別だ。君に魔力があるから見えたんだ」
「えっ!?本当!?」
「けど、魔力があってもこのガラスは本来、見えないはずなんだ。」
「どう言うこと?」
「魔力の器は、人それぞれ違って、同じ魔法を使える人はいない。結界魔法は本来、その器を持った者しか扱えないし、見えないはずなんだ。」
「それじゃあ、ゼリオの器は結界魔法で、なぜか私も同じ器ってこと?」
「半分正解だね。」
「???」
「結界魔法は、私の友の魔法。
その友と同じ器を持っているということになる。」
「でも、ゼリオも使えてるじゃない?」
「僕の器は魔力をあげたり、もらったりできるんだ。イメージで言うと透明って感じ。
あげる時は、ただ魔力の補充してあげるって感じなんだけど、貰う時は貰った人の魔法を使えるようになるんだ。」
「なにそれ!ずるいじゃん!!どのくらい使えるの?」
「大抵は使える。けど、精神系の魔法は持ってないよ?」
「本当にぃ??私を魔法で惑わそうとしてない?」
「できるならそうしたい。」
テイラーはイスから立ち上がり、ゼリオの頬にキスをした。
「私を助けてくれてありがとう。」
ゼリオも立ち上がり
「君を失わなくてよかった。」
2人は見つめあった。
自然と距離は短くなり、ゼリオは腰に手を回した。
唇を交わす。
キスをしながらベッドに倒れ込んだ。
「電気消せる?」
「多分ね?」
バチーン、ヒューズが飛んだ。
「やりすぎよ」
2人は笑いながらキスをした。
ベットで寝転んでいると、
「ねぇ、私にも魔力あるんでしょ?魔法使いたい」
「今のままじゃ使えないんだ。魔力がかなり少ないから。」
「増やしてほしーなあ」
ゼリオの方を向いて見つめる。
その視線に、にやけてしまいながら
「手を貸して。」
ゼリオは魔力を流し込んだ。
「これで使えるはずだ。イメージして、守りたいって気持ちを」
・・・・・
「魔法って難しいのね」
良ければご感想お願い致します。
初めての投稿です。御指南頂けるとありがたいです。
ブックマーク、ご評価よろしくお願いします。