イスラエル編05
街の景色は異様であった。
建物はミサイルで壊れているのに、人々は普通に生活をしていた。
犬の散歩をしている人がいれば、ジョギングをしている人、デートをしている人。
「何だか不思議な光景ね。」
「これが彼らの日常なのか。」
分離壁に近づくと緊張感が増してきた。
「現在、別の場所で攻撃が行われています。
その間に侵入します。
分離壁までは、我々も付いていきますが、
1人でも人影が現れれば作戦は中止です。全員すぐに撤退してください。いいですか?」
2人は頷いた。
慎重に慎重に前進し、人影を見ることなく分離壁までつくと、アイザックが中の様子をスコープカメラで確認し、GOサインを出した。
「お気をつけて」
家に向かうと、老夫婦が出迎えてくれた。すぐに着替え、目的地を目指す。
目的地に問題なく到着すると、モーガンの協力者、エールリヒと落ち合えたのであった。
「ご無事でなによりですが、時間がない。こちらへどうぞ」
足早にシンボルに案内してくれた。
案内の途中、エールリヒが疑問を漏らした。
「このような危険な目に合うなら、私から写真をお送りすればよかったのではないですか?
彼は頑に、電話のみのやり取りを望み、隠語まで使っていましたので、なにかあるのだと思いますが、来るよりはマシでしょ?」
「確かにそうなのですが、ある組織に見つかる可能性を少しでも減らしたかったのです。」
「やはりそう言うことなのですね。
安心して下さい。ここは今や、私しか知り得ない場所です。」
テイラーにも一連の話を伝えた。
「写真だとわからないことも多いし、実際に見ないとわからないことが多いから、来ることに意味があるのよ。」
と、誇らしげに言った。
地下深くまで続く道を進むと教会が現れた。
「わー!すごい!ここはどういう教会なんですか!?」
「ここはかつて、ある一族が代々守ってきた教会だと思われます。
その昔、アラブ人かユダヤ人か、定かではありませんが、この地を攻めてきた際、一族はこの教会を守るため、一族諸共、自ら幽閉し、固く閉ざしたのです。」
「それをどのように推察したのですか!?」
テイラーは好奇心旺盛に質問した。
「私がこの場所を知り得たのは、2000年初頭でした。ユダヤ人とアラブ人の争いの中、私の兄が偶然見つけたのです。
その頃、考古学の学者をしていた私に、兄が連絡をくれたことで、私はここを知ることができました。
そこに眠っている方々を調査すると、全て血縁関係であったため、そのように推察致しました。」
エールリヒの目線には数多くの白骨した遺体があった。
「彼らの思いを無碍にしたく無かったので、私がここを守っております。」
「なるほど…でもわざわざ自分達も一緒に幽閉する必要があったのでしょうか」
「一族の誰かが、口から漏らすことを恐れたのだと思います。」
テイラーは他にも聞きたいことが山ほどありそうであったが、次の質問をさせないように、ゼリオが本題に迫った。
「シンボルはどこにありますか?」
シンボルはこの奥の部屋です。
最奥の部屋に案内され、
「上をご覧下さい。」
2人は上を見上げた。
数秒の沈黙の後、ゼリオが声を放った。
「あのシンボルと少し違くないか?」
「えぇ、けど…」
心臓部分の骨が無く、リングも無かった。
考えていたテイラーが口を開いた。
「ベック曰く、組織は伝承をしているって言ってたじゃない?リングと心臓部分の骨が無くなっているって言うことは、それを伝えたいことが起きたんじゃないかな?」
そう言うと彼女はまた考えだし、突然、興奮気味で話した。
「これってアダムとイブを表してるんだよ!神はアダムの肋骨からイブを産み出した。だから骨が無いのよ!」
「彼らはアダムを崇拝しているってこと?」
「そうかもしれない。リングは…」
ドドドーン
「まずい、もう戻られた方がいい!」
「でも写真がまだっ」
「テイラーが考えてくれている間に、隅々まで撮っておいた!戻ろう!」
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すべてフィクションです。
実際の情勢を書いているのは、実際に起きていることを知ってもらえたらなとも思ったからです。
決して、彼ら彼女らを、出汁に使っているわけではありません。
一刻も早く、状況の改善を願っています。